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観測不能の侵略者  作者: 九月
第三章 DELETE

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100話 騎士団長弱くね?

 シャリテは考えていた。目の前の相手を殺す方法を。


 「貴様には儂を傷つけることなんて、出来ないじゃろうなぁ。何故なら儂は最強じゃからな」


 「うるせえよジジイ。能力(スキル)がちょっと強いだけの老いぼれが」


 「フン。その老人の前でボロボロの貴様は何の能力もない赤子か?ほれ、悔しかったらあがけあがけ」


 その言葉通り、シャリテはボロボロだった。騎士団長の能力は、<因果殴砲(リバースト)>。超簡単に言ってしまえば、反射だ。超簡単に言わなければ、まず自身と相手を対象として設定する。そして世界の記録(アーカイブ)にリアルタイムで記される情報を書き換える。相手が自分に攻撃し、それによって受ける影響が確定して記される情報をだ。自身が受けた攻撃を相手が受けたことにする。そういう能力。


 欠点もある。相手を対象として設定しなければ能力は機能しない。つまり散歩中にいきなり後ろから刺されてしまえば傷を負う。すぐに後ろを向いて相手を認識すれば、その後のめった刺しは避けることが出来るが初撃はもらってしまう。一度受けてしまった攻撃だとしても世界の記録とやらを書き換えられるんだったらそれも書き換えてしまえばいいじゃないかとそう思うかもしれないが、いや多分別に思ってはなかっただろうけれどそれは不可能だ。世界の記録は、世界の記録というぐらいだからそれはもう膨大な情報量が瞬きの間に流れ去るわけなのだが、この能力は自身と相手の両者が出てくる情報にしかアクセスしておらず、アクセス時点から過去の情報は海の中の砂粒に等しい。実行すれば死ぬ。死ぬし、結果は何も変わらない。書き換える前に情報量で死ぬのだ。多分。そんなわけで過去を書き換えることは不可能である。


 欠点はまだある。この能力は複数の相手を対象として設定することが可能ではあるが、設定は視覚による認知能力に依存するものであり、相手を認識できなければ発動しない。つまり大量の人間が押し寄せてきたらお終いだ。あと、複数といっても能力使用の負担が大きすぎるので精々5人程だろう。それもまあまあ短い時間。


 良い点もあった。一度相手を設定すれば視覚外からの攻撃も大丈夫。良い点はそれぐらい。




 だが。欠点なんてなんのその。彼は騎士団長である。決して能力の強さで成り上がったわけではない。騎士としての実力。当然この国でトップだ。故に、現在シャリテは追い込まれている。ように見えていた。


 「(くそっ!ジジイの能力がどんなもんか試してたら必要以上に傷負っちまった!銃撃つのはやめときゃよかった)」


 シャリテは騎士団長の能力を大体知っていたし、なんなら家族構成、人間関係、日常生活まで把握している。国家転覆の一番の障害となる()()()()人物だ。当然、諜報はしてあった。つまり、その段階でシャリテが能力を使っていたとすれば。これは茶番になるのだが。


 「(使ってるんだよなーこれが。もういいか?倒しちゃっていいか?だってもう痛いし辛いし。ゴール、しちゃってもいいよな?)」


 「どうした?動けないか?どれ、儂が介助してやろう。ほら、立てるか?ん?」


 シャリテが思考していると、騎士団長が目の前にやってきて手を差し出してくる。


 「ジジイの手なんか触れるかよ。ケツ拭いた後、手ぇ洗ってるかも怪しいぜボケ老人」


 「・・・すまん、耳が遠くてのぉ。訳の分からないことをぶつくさ言うのはやめてくれないかのぉ!」


 騎士団長が怒気を露わに豪速の蹴りを放つ。シャリテは片膝を着いた状態から、上体を軟体生物よろしくぐにゃりと反らす。が、仮面に蹴りが掠って飛んでった。


 「む?・・・その顔、いやまさかな。・・・待て、なら何故仮面を着けている?そういうことなのか?やはりそうなのか?貴様は」


 シャリテは答えを言わせなかった。騎士団長は既に、この世から消えていた。


 「あらら、やっぱりフルフェイスの方がいいのかね」


 落ちている仮面を拾って着け直す。でもやっぱり仮面がしっくりくる。まあ長年の付き合いだし。これでいいや。これがいいや。


 朝6時。朝食の時間だ。ゆーて被害受けたのは1番区だけだし、別の区域に行けば朝のハンバーガー食べれるはず。チャリとかねーかな。






 「点描穿ち(サウザンドピアス)!」


 レイピアの鋭い突きが幾重にもシガレットを襲う。それを事も無げに躱すシガレット。


 「おっほー!技名自分で言っちゃう感じだ!ね!これ能力使ってないよねこれね!かーっくいいー!!」


 「う、うるさいっ!!私だって好きで言ってるんじゃないっ!!」


 「ほほう?であるならばこれは一体どういった了見でございましょうか?(早口)」


 「か、彼氏がぁ」


 この時シガレット、悔しさのあまり涙目地団駄。相手は20代女性騎士彼氏持ち。片やこちらはアラフォーお菓子咥えおじさんヘルニア持ち。地団駄が腰に響く。やべぇ、めっちゃ痛い。あ?いやマジでヤバいかこれ。え?どうするどうする?病院行く?一回、病院だな?これ。

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