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片思い

私とクローンと

見切り発車で着地点を見失った結果

私の名前は平野恵里。普通の高校生でした。


過去形なのは、もしかしたら私は普通じゃないのかもしれないから。というのもなぜか、眼前に私のクローン。驚きました。


どうやら彼女はサイボーグらしく、動きが少しぎこちないです。加えて驚いたのがこれ。距離を置いて観察してたら、突然私のは前まで来て


プシューカシャン(胸部が左右に開く音)

「!」

「どうですか? 羨ましいでしょう」


なんと! クローン体は私が欲してやまない、開閉式胸部装甲を備えてました……。ただ、こんなものを付けて私の元へ来るなど、嫌がらせです。もし羨んだりすれば、負けたような気になるので、務めて冷静に対応します。


「その調子だと、私の事は知ってるみたいですね。それを自慢しに来ただけなら、帰ってください」

「おやおや、羨ましい態度を見せれば負けとか思ってますね? 」

「!?」

「なぜわかったかって? それは、私はあなたのクローンだからです。それも高性能ですよ。あなたの思考言わば自分の思考みたいなものですから、読めて当然なんです」


うぅん、だとすると付け入る隙が全く見当たらない……。これから佐藤くんがこの家に来るのに。


「おや、面白そうですね。こっちの彼はどうなってるのでしょう」


しまった! 考えちゃった!


「ちょっと! もういいですから、帰ってください!」

「いやいや、こちらとしてもこんなに面白いイベントを逃す手はないですからね、あなたには少し大人しくしててもらいます」

「な、何をs」


突然急な眠気に襲われ、その先の言葉は発せなかったの。




目を覚ますと私は簀巻きにされて、ベッドに転がされてたの。頭にヘッドフォン、佐藤くんと私のクローンの声が聞こえてる。佐藤くんが来るのは、私が眠る前の時点で、一時間半後だったはず。何時間寝ていたのかな。


あとなぜか下着が湿ってる……。


会話を聞く限り、当初の予定通り二人で勉強してるらしい。クローンっていうくらいだから、そう簡単にはバレなさそう。……羨ましい、本当は私がその場にいたのに……。



することもないから、しばらく耳を傾けていると嬉しい変化があったの!



「なあ、こう言っちゃ悪いけど、あんたちょっとおかしくないか?」

「何がです?」

「動きがいつもより硬いし、なんか言動が少し他人っぽい。なんとなく違和感を感じるんだけど」

「うーん、ただの勘違いでは?」

「……本物の平野さんは別の場所にいるんだろうけど、何か事情があるんだったら、話してもらいたい。わざわざ代役を立てるようなことする人じゃないし」

「何を言ってるの? 私は私だって」

「いや、あんたが本物でないのはほぼ確信してる。感覚ではあるがね」


彼は相手がクローンにも関わらず、それが偽物なのを見破ってくれました。正直嬉しくてたまらない。


「だから何の話を」

「ここで一つ確認だ。その首の後ろの小さな穴はなんだろうな? 」

「! 何故それを」

「いや、普段通りを装った結果、隠すのを疎かにしていただけじゃないか?」


そんなのあったの!? 全然気づかなかった……。




「……ハァ、私の負けです。正直に話しましょう。私は少し時の進んだ並行世界から来た、平野恵里のクローンです」

「んー、なぜこっちの世界に?」

「驚かないんですね、まあ助かりますが。こっちに来たのはテストですね。元いた人間とそのクローンがすり変わっても、バレないかどうかのね」

「技術の発展はつくづく恐ろしいな、それで本物の平野さんはどこに?」

「それなら二階のベッドで簀巻きにしてありますよ。無事ですから、安心してください。それより最後に一つ」


プシューカシャン


「!?」

「この二つのビンの中には、本物の平野さんとクローンの私の体液があります」


! いつの間に採取されたの!?


「私は、もしバレた場合には親しい者に体液のテストもしてもらえ。という命令も受けてまして、折角ですから、飲み比べてみてください。本物を当てられたら私は完敗ということで、大人しく引き下がります」

「ん? その言い方だと、当てられなかった場合はどうなる?」

「またちょくちょく姿を見せます。気づいたら本物と入れ替わってるかもしれませんよ」

「あー、じゃあこれは負けらんないなぁ」

「……というか、あなたは受け入れすぎでは? こんなぶっ飛んだ言動する人なんて、無視したり、逃げ出したりするのが一般的だと思うのですが」

「なんかな、テレビで本物の悪霊が取り憑いたりだとか、そういうやつを見てると、実際何があってもおかしくはないんじゃないか、って思えてきてな。俺の通ってる高校にも、正直信じ難いくらい完璧な生徒会長がいてな、あんたのことはそれと同列に思えるわ」

「私と同列とは不思議な人ですね」


会長さんかぁ、あれは……うん。佐藤くんと同意見かな。


「こっちからもひとついいか?」

「何でしょうか」

「あー、さっき体液って言ったよな。……他人に飲ませるとかいうとんでもないことを、本人は了承したのか?」

「ええ、あなたならいいと。なので、上下の口から絞りとってきましたから」


了承してないの! 待ってやめて! あ、まさか下着が濡れてたのって!?


「これからまた現れるとか考えたらもう仕方ないか、飲むしか」

「あら、女性の体液には興奮しないんですか?」

「やめてください、平野さんに申し訳ないから、考えないようにしてたのに。そうですよ、俺も男ですよ。興奮くらいしますから!」


ええ! 嬉しい! 興奮してくれてる! ああ、死ぬほど恥ずかしいけどすごい嬉しいの! ごくごく聞こえる! 好きな人に飲まれちゃってる、私の体液!!




「さて、二本飲んで、どっちかわかりました?」

「ああ、恐らく右の量の少なかった方だ」

「……! 素晴らしい洞察力ですね、お見事です。決め手は?」

「飲んでて熱い何かを感じた。人間らしい、っていうのかな? 左のは無機質な感じがした。直感でしかないけどな」

「理屈では埋めきれない差があったということですね」

「言ってしまえばそういう事だな」

「これではクローンが完全に同一人物になりきれるのは、まだ先のようですね」

「そういうことだ。さ、もう帰ったらどうだ」

「ええ、そうさせていただきます」



それからすぐに佐藤くんが来て助けてくれたの。


「大丈夫か、っとこのヘッドフォンは何だ? 何かされなかったか? 」

直後そのヘッドフォンからもう一度流れる彼の声。

『大丈夫か、っとこのヘッドフォンは何だ? 何かされなかったか? 』


「まさか、全部聞いて……た? よね」

佐藤くんの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

「……聞いてました」

「うわあああ、ほんとごめん!」

そう言って、走って出ていっちゃった……。けど、彼が私のためを思って行動してくれたことに、変わりはないの。今度お礼に何か持っていこ。


あれも嫌じゃなかったし///



それらしく書いてみましたが、実際は体液に興奮とかするんですかね?

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