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人類に与えられし試練の続編

「すみません、御遣(みつかい)様」


穏やかな様子で、妖精──月花が、頭を下げてくる。

何度もかわしたやり取り。

恐縮させてしまったようだ。

俺自身はただの人間で、決して恐縮される様な存在では無いのだが。


大神アテナ。

俺が仕える、主神の名だ。

その主神の命により、こうして派遣されているのだ。


「構わないよ。我が神の命であるし、公共の益でもあるしな」


低級神の息抜きの場として、箱庭、というシステムがある。

まあ、言ってみれば、巨大なゲームだ。

自分の世界を持てない神々が、神様気分を味わえる場所。

主役は神々では無い。

神々に導かれる存在・・・人等の魂を召喚し、遊ばせている。

神々はその人達に仕えられる事で、神様気分を味わう。

そんな世界だ。


俺は、前世の知識を活かし、その箱庭で、アドバイザーをしている。

それなりに上手くはやれていて、その箱庭を運営する中級~高級神からはそれなりに評価されているらしい。


今やっているのは、その箱庭の改修・・・では無い。


箱庭とは別に、独自のゲームを作ろうとしていた勢力・・・というか、神がいた。

手詰まりとなり、悩んでいたところを、別の神が助言し。

伝手を辿って、アテナの元に辿り着いた、という訳だ。


神々の遊び場、というよりは。

主役となるのはプレイヤー、人間達の様だ。

箱庭とは、似て非なる存在。


箱庭の運営も安定しているし、俺達が派遣され、助力する事になった。


「ディーン、また混ぜられていたわ?」


エイプリルが、紙の束を持ってくる。

俺と一緒に派遣され、補助をしてくれている。


俺は、溜息をつくと、エイプリルから紙の束を受け取り。

目を通し、頷くと、エイプリル返す。


ぼっ


エイプリルが紙を発火させ、消し炭と化した。


「ちょっと、こんなところで火を使うとか・・・正気ですか?!」


抗議の声をあげたのは、ストラス。

俺に誓約を誓った悪魔・・・という触れ込みの、最高神。

大神アテナよりも偉い馬鹿だ。

尚、ストラスの正体に関しては、最高機密。


「丁度いいところに来たな」


みょーんみょーん


ストラスの羽を思いっきり伸ばす。


「いた・・・痛いです・・・動物虐待反対ですよ?!」


エイプリルが持ってきたのは、出鱈目の指示書。

混ぜたのは・・・恐らくこのストラスだ。

意味がある悪戯をする事もあれば。

無意味に悪戯をする事もある。


「梟さん・・・また何かされたのですか・・・?」


月花が、困った様な声を出す。


「梟とは失礼な?!私が梟に見えるのですか?!」


ストラスが叫ぶ。

見た目は完全に梟だしな。


「えっと・・・見えます・・・」


月花が困った様に言う。


「月花ちゃんを困らせてはいけないわ」


みょーんみょーん


エイプリルがストラスの羽を伸ばす。


「だいたい、俺はついてくるな、と言った筈だが・・・」


ゲームの方はかなり形になってきているのだが。

ちょくちょく、ストラスによる邪魔が入っている。


恐らく・・・何かやっているのだ。

想像はつく。

ゲーム自体への仕掛け・・・その可能性も勿論あるが。

恐らくは、人物への干渉。


この月花の主神や、月花自身、特定の人物に思い入れがある様だった。

このゲーム自体、その人物の為に準備している感すらあった。

その人物への不干渉を依頼されたのだが。


恐らく、手を出しているだろうな。

俺やエイプリルはおろか、月花や神の監視すらすり抜けて。


ストラスを監視しておくのは無意味だ。

その気になれば、化身を創り出すのは容易・・・いや、複数存在を行使する事すら容易い。

遥か未来や過去から干渉する方法もある。

阻止しよう、という考えすら無駄だ。


だから、俺に出来る事は。


「本当に助かります」


嬉しそうに言う月花に。


「構わないよ」


心の奥で、平謝りするしかない。

エイプリルも恐らく気付いているだろう。


月花と、その主神と、そして、世界を救った英雄とやらに。


俺にできるのは、せいぜい、このゲームを良いゲームにする事だけだ。


Next Last Judgement Online。


かつて、多数の命を奪った、人類に与えられし試練の続編。

英雄を虜にし、賛美させた世界の再編。

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