剣は難しい
ガッ
俺の放った槍が甲虫を貫く。
そのまま崩れていく。
「はっ!」
ジリアンが甲虫を蹴り上げ、
ガシュ
剣を両手持ちで振りかぶり、甲虫の腹を切り裂く。
甲虫が崩れる。
ジリアンとペアでダンジョンに来ている。
前衛同士だと気楽だ。
「なあ、オーディン」
ジリアンが話しかけてくる。
「何だ?」
「剣がしっくり来なくて・・・何か気付いた事とかないか?」
そうだなあ・・・
「ジリアンって時々女の子っぽい声あげたり、仕草するよな」
「なっ!」
ジリアンが怒ったような声を上げる。
「は冗談で、そもそも剣が向いてないんじゃないか?細かい技巧とか苦手だろ?」
ジリアンがたじ、と後ずさる。
「・・・良く見てるな。確かに、あまり考えるのは苦手だよ」
「力は強いし、メイスとかハンマーの方が向いてるんじゃないか?」
「う・・・」
言葉に詰まるジリアン。
「多分、意図的に、僧侶系が装備可能な武器避けているだろう?」
俺の指摘に、
「・・・流石オーディン。当たりだよ」
苦々しく認めるジリアン。
「スキルのせいで自分の選択狭めるのは本末転倒だ。僧侶との相性ならメイス、より力いっぱい暴れるならハンマーかな」
「・・・分かった、ハンマーに変えてみるよ」
「なら、心当たり当たってみるかな」
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一旦ジリアンと別れ、トールを訪問。
事情を話すと、快諾してくれた。
「ニール様、初めまして。テミス様のクラン、月の庭のジリアンと申します」
ジリアンがペコリと挨拶する。
「おう、堅苦しいのは不要だぜ。お前からは俺と同じ、細かい事は苦手そうな気配を感じる」
トールが豪快に言う。
無茶だよ。
神様相手に堅苦しくならないのは。
「そうかい、すまないね。確かに僕は難しい事は苦手だ。僕に槌の扱いを手ほどきして欲しい」
無茶じゃ無かった。
「おう、任せろ」
相性良さそうだ。
「ここに鉄の槌が有るから好きなのを使え。壊れてもいっぱい有るから気にするな」
「有難う。使わせて頂くよ」
ジリアンが鉄の槌の一つを持ち上げ・・・バランスを崩し倒れ込む。
「きゃっ」
だから、悲鳴の上げ方も、座り込み方も、男っぽく無いんだよなあ。
何とかバランスを取って立ち上がる。
「おう、基礎体力が必要だな。練習メニューをやるから、エイプリルと一緒に毎日こなしてくれ」
トールが言う。
「・・・エイプリルは勘弁してあげて下さい」
俺は思わず口を挟む。
魔法使いだよ。
その後は、トールがジリアンに槌の使い方の基本を教えていく。
ジリアン、頑張ってるけど、それ絶対、もう少し小さい奴にした方が良いからな?
ある程度練習したら、練習に丁度いいダンジョンが有るからそこに行くように言われた。
多分作ったんだろうなあ。
トールだから、力任せに突破するダンジョンだろうな。
「こんなダンジョンを知っているとは・・・流石神様だな、師匠は」
ジリアンが感心している。
「とりあえず入ってみよう。槌の練習らしいから、基本俺は手を出さないぞ」
「うん、分かったよ」
鑑定ないと仕掛けのあるダンジョンは厳しそうだけど。
うん、やっぱり心配は要らなさそうだ。
ゴーレムがのろのろと、次々に向かってくる。
先に進む扉の上に 0 / 50 と表示されている。
50体倒せ、だろうな。
「・・・倒せばいいんだね!」
ジリアンが鉄の槌を振り上げ、駆ける。
ガシャーン、ガシャーン
ゴーレムを次々と倒していく。
「魔石は出ないようだね!」
大分慣れてきたらしい。
だんだん動きに危な気が無くなってくる。
そして・・・
ガガガ・・・
50体倒したので、扉が開く。
やっぱりトールだから力任せだなあ。
「開いた・・・よし、行こう!」




