木の弓
朝から、リパーが訪ねて来た。
アジトに迎え入れる。
「おや、ようやく番いになりましたか?私は席を外しましょうか?」
アテナがおかしなことを言う。
リパーが困惑してるぞ。
「リパー、ネイムレス様の冗談は無視してくれ。今日は何か用か?」
「あ・・・はい。私、戦闘で役に立ってないので、何かアドバイスを頂けたら、と」
「リパー、君は戦闘以外で十分役に立ってて、助かっているよ。性格的にも戦闘は苦手そうだし、エイプリルの護衛も必要だ。今のままでも良いよ」
「でも・・・戦闘でも、オーディンさんのお役に立ちたいんです!」
みんなの役に立ちたい。
その気持ちは好ましいし、分かるのだけど。
そうだなあ。
「メイン武器、ナイフにこだわりはある?レンジャーと言えば、幅広い武器も魅力の一つ・・・戦闘職では無いし、どうしても専門職に劣るけど。弓を主な武器にすれば、もう少し楽かも?」
「弓・・・ですか?」
「うん。専門戦闘職、スナイパーに、弓の狙撃の威力は負けるけど・・・立ち回りつつ、逃げ撃つ。そんな中距離戦闘では、むしろレンジャーの方が強い事がある。レンジャーのメイン武器とも言える。敵と接敵するよりは、気持ち的にも楽だろうし」
「弓・・・やった事無いのですが・・・教えて頂けますか?」
「俺が教えられる範囲なら教えるけど・・・弓に詳しそうな人に頼んでみるよ。駄目だったら俺が教える。一旦アジトに戻って待っていてくれる?」
「はい!」
--
「いらっしゃい。オーディン。何時もジリアンがお世話になっているわね」
アルテミスのアジトに、リパーを連れて向かう。
アルテミスが出迎えてくれた。
「いえ、こちらこそジリアンにはお世話になっています」
「貴方が・・・リパーね。初めまして。ジリアンの主神、テミスよ。何時もジリアンと組んでくれて有難う」
「まさか神様に教えて頂けるとは・・・恐縮です。ジリアンさんにもお世話になっています!」
弓と言えばアルテミスだろう。
あまり人に肩入れしないので、触りしか教えないとは釘を刺されたけど。
「弓はこれを使うと良いわ。木で出来た安物だけど。貰い物なので詳しく知らないけど、軽くて使いやすいわ」
そう言って、アルテミスがリパーに木の弓を渡す。
名前:
木の弓
説明:
世界樹の枝と蔦で作られた簡素な短弓。
月の雫で清められている。
その他:
不壊属性付与
説明
壊れる事を禁じられている。
損傷出来無い。
付与者
識別不能
「わっ、凄い」
おい、何で鑑定した。
そして付与者ガードかけてあるのはグッジョブだが、世界樹とか月の雫とかも隠してくれると嬉しかったな!
「気に入ったならあげるわ。大量に押し付けられたので余っているの」
アルテミスが微笑む。
多分さっき作ったところだと思うけど。
「そんな・・・」
「良いから貰って頂戴。余らせていても勿体無いから」
「・・・はい、有難う御座います」
強いのだろうか。
まあ、壊れない武器程度の認識で良いか。
リパーは、緊張しながらも熱心にアルテミスの話を聞いている。
弓の持ち方、矢のつがえ方、魔力の込め方、ステップ、速射・・・丁寧に教えているようだ。
撃ってみている。
2m離れた的に当たらず、地面に落ちる。
再度構えを教え・・・見ていて勉強にはなるが、自分で動いていないので暇だ。
抜け出るタイミングを失った感がある。




