初ダンジョン
午後からは、ダンジョンに挑戦することにした。
本来は推奨レベルは少し上なのだが・・・何とかなるだろう。
「ダンジョン・・・怖いです・・・」
リパーが言う。
「大丈夫、僕が守るよ」
ジリアンが言う。
「ランク2の中盤から、1階層が推奨レベル。ランク2の間は1階層~5階層で、6階層からは最低がランク3、と言われてますね。ダンジョンによっては、それがずれる事もありますが・・・基本的には5階層毎にランクが上がるそうです。不思議ですよね」
エイプリルが言う。
面倒だったんじゃないかなあ。
「ダンジョンの中は、今までの外と違い、他PTとの遭遇確率が上がる。十分注意して行動して欲しい」
ジリアンが言う。
面倒だなあ。
「正規ルートを外れれば人が少ない。そういう場所を使うのも手かな」
俺が言うと、
「正規ルートを外れると危ないよ」
ジリアンが反対する。
「ちゃんとマッピングすれば大丈夫だと思うけど・・・リパー、マッピングは任せていいか?」
「はい、地図は得意です。任せて下さい!」
リパーがピシッと敬礼しながら言う。
「確かに、人が多いと狩りにくいから、十分注意してだけど、ルートから外れるのはありだと思う」
エイプリルが言う。
「う・・・」
ジリアンがまだ不安気だ。
「大丈夫だよ。マッピングはするし、危なくなったら引き返す。少しずつ確かめながらだし、俺が護るよ。俺を、みんなを信じてくれ」
多分、一階層くらいの強さなら問題がない。
「わ、分かった!・・・顔近いよ」
そう言って引き下がるジリアン。
ジリアンは女の子と話す時はかなり顔を近付けているのだけど・・・同性だと気持ち悪いというのだろうか。
別にそこまで近くは無かったのだけど。
ダンジョンに入る。
確かにちらほらPTが居る。
壁は土で、まさにダンジョンって感じだ。
所々光る石が嵌め込まれていて、松明は要らないようだ。
「タゲ被り、他PTの獲物を取らないように注意して。魔物を遠距離から攻撃すると、特に発生しやすいので、必ず近くに他PTが居ない事や、近接職がタゲを取ってから」
俺が言うと、
「成る程。ダンジョン攻略に関して色々調べているね」
ジリアンが感心する。
「いや、これは転生前やってたゲームの知識だな」
俺が答える。
VRMMOは結構やり込んだ。
「成る程。頼りになるよ」
ジリアンが頷く。
「俺とリパーでタゲ取り、ジリアンがエイプリルを護れば良いかな」
俺が布陣を提案すると、
「あ、僕突っ込んで斬りたい」
ジリアンが希望を述べる。
「あの・・・私も、積極的に攻撃するよりは、防衛の方が」
リパーもおずおずと言う。
「じゃあ、俺とジリアンで切り込み、リパーがエイプリルを守ってくれ」
「はい」
みんなが強く返事をする。
・・・もう少しPT増えても良いような。
少し歩くと、腰の高さくらいの顔の大きさのワームが現れる。
壁からうにゅーって生えてきた。
ザク
眉間を槍で突くと、消えて魔石になる。
しばらく行くと、エイプリルの脇に腰の高さくらいのカエルが生えてくる。
ザク
俺がカエルを貫くと、今度は何も残さず消える。
「わ、有難う」
エイプリルが礼を言う。
「湧きが少ないね・・・やっぱり道を外れたほうが良さそうだね」
ジリアンが言う。
「・・・オーディンさんの火力が異常な気がします・・・?」
リパーがそう言って指差す先には、初心者っぽい6人PTが、さっきのワームと戦っている。
二人で牽制しつつ足止め。
僧侶が回復と支援。
魔法使いが次々に魔法を放ち、弓士と盗賊が攻撃を加える。
「バランスがいいPTだな。連携も取れている。まずは構成メンバーが少ない弱点をどうカバーするか・・・」
俺が評すると、
「守備より構成みたいですね。この世界では火力重視と防御重視どちらが良いのでしょうね」
エイプリルが考察に参加する。
「うう・・・そうじゃなくて・・・そうなんですけど・・・」
リパーが不満げに言う。
「倒すのが遅い理由は簡単だ。純粋にランクが足りてないのだろう」
「うう・・・あの人達、全員ランク2、レベルも30超えてますよう」
あれ、結構高いな。
「どうして分かったんだ?」
「私のスキル、真贋見抜く神眼です。スキルまでは分かりませんが、レベルやランクもある程度分かります。いわゆる、鑑定ですね」
成る程。
「便利なスキルだな」
「はい!」
・・・そうなると、
「スキル無しなのかもしれないな」
俺が言うと、ジリアンが納得する。
「成る程。例え適正レベルでも、スキルがないならもう少しレベルが必要そうだね」
「・・・確かオーディンさんはスキルが・・・」
エイプリルが何か引っかかるようだ。
「とりあえず、正規ルートを外れよう」
正規ルートを外れると、一気に人気が消えた。
「リパー、マッピングはいけそう?」
尋ねると、
「はい、大丈夫です」
と、光でマップが空中に描かれる。
「これは、魔法?」
「レンジャーのスキルですね」
成る程。
「便利だなあ」
リパーは非戦闘部分をどんどん極めていくなあ。
ガサ
さっきと同じくらいの大きさの甲虫が現れる。
ジリアンが斬り掛かると、斬る直前に光を発する。
ジリアンの剣が折れ、飛ぶ。
「く」
「くらいなさい!」
エイプリルの放った炎が、甲虫に当たり、後退させる。
「今だ」
ぐるんぐるん、槍を回しタイミングを計り・・・
ザグ
光が途切れた瞬間、貫く。
コトリ
魔石を残して崩れる。
ちょっと大きい魔石だ。
「オーディンさん・・・格好良いです」
リパーがうっとりして言う。
槍を回すのが気に入ったらしい。
「成る程、タイミングが重要か・・・一筋縄では行かないね」
言いつつ、予備の剣を出すジリアン。
「後は、剣に魔力を纏わせる事かな」
「それはやってるんだけどね」




