1つの奇跡から。
そもそもの始まりは、一つの奇跡からだった。
奇跡が生んだ、誰のものでもないこの地球に、奇跡が重なり生命が誕生した。その奇跡が進化を遂げ、知性を持った。
賢すぎるその生命は、地球を我が物顔でルールを決めた。自分を大切に思うあまり、自分を守るルールを決めたのだ。
そして、陸の取り合いまで始めた。同じ生命であるにも関わらず、自分のものとして、領土と名付け、それを広げ始めた。
その争いで、多くの灯火が消えていった。
それは悲しくも、今も変わらず続いている。
親を失い、子を失い、腕を失い、足を失い、目を失い、心を失い、感情を失う。
命あるもの、完全などあるはずはない。だが、あってこそのものを失うことは必要なのだろうか。
奇跡によって生まれた生命は、故意によってその命を奪い合う。そんな姿を、一体誰が望むのだろうか。
これもまた、奇跡にすがる他ないのだろうか。
今も、どこかで消えていく灯火は、偶然から生まれた必然であるのだろう。だが、私は最初の奇跡を恨む他ない。