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魔王達の非日常  作者: 真っ黒チェイサー
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ラン・イン・ザ・ダーク(中編)

階段を降りていくと、しばらくして広々とした空間に出た。そこにはかなりの数の椅子が並べられており、会議か何かでも始めるかのようだった。

「・・・ここで、儀式をするんですか?」

「うん!」

子供達に問うと、子供達は笑顔で頷いた。どうやら彼らにとっては日常茶飯事のようで、その顔には不安やらそういったものは一切無かった。

(子供達が笑顔なところを見ると、あまり危険な内容の儀式ではなさそうですね。精々、呪文を唱えたり〜とかぐらいでしょうか・・・)

椅子に座って待っていると、みるみるうちに人の数は増えていった。終いにはその場にあった椅子が全て埋まってしまうほどになり、そこでようやく人が増えるのが止まった。

「おねーちゃん、そろそろ始まるよ!」

隣に座っている少年がティルに声をかける。すると、椅子が向いている方向の壁にある灯りがふと大きくなった。周りの人はそちらをじっと見つめている。

わずかな静寂の後、灯りの元へと歩いてくる一人の人影があった。

(・・・あ、あれって・・・!)

ローブを纏ったその男こそ、アルフレッド・フリーマン本人だった。彼の纏っているローブには一対の翼を象った金の刺繍が施されており、まさに神父といった風貌だった。彼は皆の前に立つと、両腕を広げて話し始めた。

「皆さんこんにちは、アルフレッド・フリーマンです。今日も翼を持つ者達に共に祈りを捧げましょう。・・・今日は皆さんにお知らせがあります。」

そこまで言うと、はたと言葉を切った。そしてティルにまっすぐな視線を向ける。

「今ここに、魔王様の家臣であるティル・レイライトさんがいらっしゃいます。」

「・・・・・・・・・っ!?」

心臓が跳ねた。名前が知られているのはまあ分かるとして、なぜ自分がここにいる事を知っているのか。もしや、彼やフェザー教の事を調査しているのがバレたのではないか。そんな彼女の心配をよそに、彼は優しげな微笑みを浮かべた。

「ティルさん、本日はようこそお越しくださいました。これを機にフェザー教に興味を示して頂ければ幸いです。」

「・・・あ、はい・・・。」

彼の反応が予想していたのと違い、ティルは拍子抜けした様子で頭を下げた。それに応えるようにアルフレッドも笑顔のまま頷き、いよいよ儀式が始まった。

儀式の内容はこうだ。まず全員で複数の円陣を組み、その中央に木材を並べて置き、祈りの文言を記した紙を置く。次に各円陣の代表者が紙に火を付け、煙を焚く(天井に換気扇があるから地下でも煙が籠らないとの事)。そして皆で目を閉じて祈りを捧げるという内容だ。地下での儀式はそれで終わり、最後に燃えた後の灰を入れた袋を神父が鳥の足に括り付けて飛ばせる事で儀式は完了となる。紙を燃やす際、願い事を記した紙を共に燃やすとその願いが叶うというおまけ付きだ。

(・・・・・・正直、胡散臭いです!)

子供達からその内容を聞いた時、ティルは真っ先にそう思った。そもそも地下で燃やすよりも地上で燃やした方が効果的ではないのかとも思ったが、何か事情があるのだと言う。流石に子供達はその事情は知らないらしいが。

(ま、ここまで来たんです。やってみるしかありませんか・・・)

椅子を退けてから子供達と数人の大人を交えて円陣を組み、中央に木材を並べて置く。置き方にも決まり事があるらしく、何やら複雑な置き方をしていた。

そしてその上に文言の記された紙を置く。子供達が持って来た紙も共に置いた。

「皆さん、用意は出来ましたか?」

アルフレッドが円陣の間を歩きながら声をかける。辺りを見ればほとんどの円陣で用意が出来ていた。

「よろしい。では、祈りを捧げましょう・・・」

彼の声と共に、代表の人が木材に火を付ける。木材はすぐに小規模な焚き火のようになり、紙を炎の中に飲み込んだ。わずかな灯りも消され、辺りには木材がパチパチと焼ける音が響くのみとなった。

(・・・・・・・・・静か、ですね・・・・・・・・・)

瞳を閉じて炎の音を聞いていると、心が安らいでくる気がした。ここしばらく仕事やら何やらで気が張っていたのか、久しぶりに穏やかな気持ちになった気がする。

(・・・・・・宗教に入る人の気持ち、今ならちょっとだけ分かる気がします・・・・・・)


気がつけば木材の焼ける音は途絶えていた。ふと目を開けると、灯りが灯っている。周りの人も次々に目を開けていった。

「今日はこれでお終いです。皆さん、お疲れ様でした。」

彼がそう言うと、辺りの人は次々に帰る支度を始めた。ティルも子供達を連れて帰ろうとしたが、ふとアルフレッドに呼び止められた。

「ティルさん、少し良いですか?お話ししたい事があるのですが・・・」

「?・・・ええはい、構いませんよ。」

仕方がないので子供達を先に帰すことにした。

「すみませんが、皆さん先に帰っていてくれませんか?」

「うん!道覚えてるから、ちゃんと帰れるよ!」

「そうですか、凄いですね♪」

子供達がはしゃぎながら帰るのを見送り、ティルはアルフレッドの方に向き直った。いつの間にか辺りに人はおらず、ティルとアルフレッドの二人きりとなっていた。

「それで、お話とは何ですか?」

「・・・それはですね・・・・・・」

アルフレッドは、小さく笑みを浮かべた。

前後半に分けると言いましたが、上手くいかなかったので中編を挟むことに。

管理がなってないですね、はい((

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