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静寂の図書室にて
ある日、彼は1人で本を読んでいた。ミステリー作品に異能物のライトノベル、探検小説などジャンルを問わず読み漁っていた。
「・・・・・・・・・・・・。」
広い図書室に、ページをめくる音が時折響く。それ以外は何も聞こえない、静寂の空間。
と、その静寂を破るものがあった。扉を開け、彼を呼ぶ声だ。
「主様ー?・・・何処にいると思ったら、こんな所にいましたか。」
彼はようやく本から顔を上げ、声の主に応えた。
「ああ、ごめん。今行くよ。」
「もう、ちゃんと何処に行くとか言って下さいよ。探すの大変なんですからね?」
愚痴る声の主。それに苦笑しながら、彼は本を抱えて立ち上がった。
これは彼と彼らの物語。善ではない、しかし悪でもない者たちの物語。
魔王達の物語である。