第11話
先週の日曜日にバトルシティの方に行って来ました! 4年ぐらい前に一度だけ行ったことのある場所だったので、フィールドを見た時に「こんな感じの場所だったけ?」なんて思ってしまいました。
1回しか行ってない上に4年も前だとこうなるんですね。
エイミーさんで遊び尽くした俺達は、果てた姿を見下ろしてた。
「ちょっと・・・・・・やり過ぎたかな?」
「そうかもしれないわね」
「み・・・・・・みんなヒドい」
涙目で俺の顔を見つめてくるので、罪悪感を感じてしまう。
うん、半泣きになるほどイヤだったのか。なんかゴメン。
「その顔を見ていると、なんだか唆られるのさ・・・・・・」
「アイーニャ様、これ以上やるんなら怒りますよ」
ジト目でアイーニャ様を見つめたら、バツの悪そうな顔をさせた。
「じょ、冗談。冗談なのさ!」
目を泳がせてる時点で、怪しいんだが。
「まぁアイーニャ。今日はその辺にして、もう帰ろうじゃないか」
今まで空気になっていたベルデック公爵様がアイーニャ様に話し掛けると、アイーニャ様は 助かった! と言わんばかりの顔でバルデック公爵様の元へと行く。
「そうさね! そろそろ帰ろうか、ネルソン!」
「あっ、逃げた!」
その言葉に反応するかの様に、バルデック公爵様の腕に抱きついた。
「とにかく、エルライナは現場の偵察をする事なのさ! 行くのさ、ネルソン!」
「あ、ああ。エルライナ、頼んだぞ」
「分かりました」
俺の返事を聞くと、バルデック公爵様達は家を出て行ったのであった。
「逃げたわね」
「逃げた様な気もしなくはないけど、仕事もあるんですからぁ」
そう言いつつも、ミュリーナさんと同じく 逃げた。 と思っている。
「それもそうねぇ〜。っと、明日現地に向かうのだから、準備をしておいた方が良いんじゃないかしら?」
「確かに、エイミーさんの言う通りですね」
店が開いている内に準備を済ませた方が・・・・・・てか、エイミーさん。復活してたんだ。
「とりあえず、食料とかを揃えたいので出かけますが、エイミーさん達はどうするんですか?」
「私達は自分の装備を取りに行ってからぁ〜・・・・・・うん、私達は私達で準備してから、ここに戻ってくるわ」
「エルライナと一緒の方が絶対に楽しんじゃない?」
「楽しいとか、面白いだけで一緒に行動するのは良くないわよ。遊ぶ時だけにしなさい」
エイミーさんの言葉に、ミュリーナさんは耳をシュンとさせてしまった。
「そうね。ゴメンね、エルライナ」
「いいえ。気にしてないので大丈夫ですよ」
むしろ今の言葉でミュリーナさんを説得出来るエイミーさんが、スゲェと思ってる。
「リズリナさんは、どうするんですか?」
「私は、ここでゆっくりしてるね」
「夕飯の支度とか、してくれないんですか?」
「いや、まぁ・・・・・・私よりもエルちゃんが作った料理の方が美味しいからぁ」
ああ、つまり俺が作った後だから、自分の料理に自身がないって事ですね。
「ハァ〜・・・・・・分かりました。今日も私が夕食を作ります」
「やったぁ! ありがとうエルちゃん!!」
そう言って俺の身体に抱きつくリズリナさん。
「はいはい。大好きなのは分かりましたから、離れてください」
「やぁ〜だもん」
リズリナさんがそう言うと、俺の胸元に顔を埋めて来た。
「あら、リズリナってば大胆ね」
「私も今度やってみようかしら」
なんだよ、やってみようって。俺の胸を散々弄んだくせに、アンタはまだ足りないって言うのか!?
「リズリナ。今から買い物に向かうのだから、離れてあげたら?」
「はぁ〜い」
リズリナさんはそう言うと、名残惜しそうな顔で俺から離れた。
「それじゃあ、買い物に行きましょうか」
「・・・・・・はい」
「レッツゴォー! アクセサリー店にも寄ってね、エイミー」
「はいはい。それぐらい寄ってってあげるわよ」
ああ〜・・・・・・ミュリーナさんに付き添うと、こうなるのかぁ。覚えておこう。
「リズリナさん。お家の事は任せました」
「任せて、エルちゃん!」
なんか、目を輝かせているけど、なんにも問題を起こさないよね? ・・・・・・まぁ良いや。
「お留守番、頼みました」
「私に任せておいてね!」
リズリナさんはそう言うと、台所に行ってヤカンの中に水を入れる。
寛ぐ気満々じゃないか。
「買い物に行きましょう。エルライナ」
おっと、そうだった!
「あ、はい」
鼻歌混じりにお湯を沸かしているリズリナさんを放って外へと出た。
「それじゃあ、また後で会いましょう」
「お夕飯、楽しみにしているわねぇ!」
「あ、はい」
夕食の方が楽しみなのかよ! って、そうだ。明日の準備をしないとっ!!
「保存食は持っているから買う必要はなし。テントはまだ使えるし予備もある。着火薬はストレージにたっぷり持ってる。医療品は一式揃っているし、その他は必要な時にショッピングで買えば良い・・・・・・ん?」
あれ? 買い物に出かける意味がない気がする。
「そ、そうだ! 明日から出かけるのを総合ギルドに報告しなきゃいけない!」
いやぁ〜、なんで肝心な事を忘れていたんだろう。アハハハ・・・・・・ハハ。
ちょっと気落ちしながらも夕食に必要な食材を買い、総合ギルドへと向かう。そして総合ギルドの中に入った瞬間、空気が変わった。
あれ? さっきまでの賑わいは、どこへ行った? しかも周りの視線が気になるし。
そんな事を思いつつも、冒険科の列に並んで順番を待つ。
前の人達が俺の事をチラチラ見てくる。おいおい、まさか俺って、そこまで有名人なのか?
「あの、エルライナ様でよろしいでしょうか?」
右側からそう聞かれたので、そちらに顔を向けると、ちょっと気弱そうな受付嬢が目の前にいた。
「え? あ、はい。そうです」
「良かった。エルライナ様が来た時は、別室にお通しする様に言われています。なので、ついて来てくれますか?」
別室に呼ぶとはぁ、なにかあったのか?
「分かりました。ついて行きます」
俺がそう言った瞬間、受付嬢が華やかとも言える様な笑顔になった。
「はい! 私について来てください!!」
「う、うん」
なんだろう。俺に対して憧れている様な感じが、しなくもない気がする。
その受付嬢について行くと、ラミュールさんのいる仕事部屋まで来て、ドアノブに手をかけようした瞬間に手を握った。
「ちょっと待って!」
「どうしたんですか。エルライナ様?」
「どうしたもこうしたもないですよ。別室って言うから応接室とかに案内するのかなぁ? って思ってたんだけど、なんでラミュールさんの仕事部屋に案内されなきゃいけないんですかぁ!?」
「ギルド長の意向なので」
オイオイ、ギルド長の意向って・・・・・・。
「このまま行ったら、 くだらない事でここに連れてくるな。 って言ってくるに決まってますよ」
「はぁ・・・・・・一応聞きますが、ギルド長になんと報告しにいらしたのですか?」
「明日先に集合地点へ行って、安全の確保をしに行きます。と伝えに来ただけです」
「ああ〜なるほど。そう言う事ですか」
ちょっと気不味そうな顔をする受付嬢の肩に、手を乗っける。
「そう言う事だから、伝えておいてください」
「はい、分かりました。私の方からギルド長に・・・・・・」
「その必要はない」
「えっ!?」
ドアの向こうから顔をヒョッコリと出して、こっちの方を見つめてくるラミュールさん。
「そこら辺の事については、総合ギルド長から話を聞いているから安心しろ」
あ、俺よりも先に話していたんですね。バルデック公爵様は。
「ミュリーナも連れて行くんだろう。なら、伝令の方はアイツに任せると良い。あんなヤツでもそれぐらいの事は出来るからな」
自分の娘をあんなヤツ呼ばわりですか。
「後は、お前の方からミュリーナに伝えてくれ。ちゃんとエルライナの役に立つ様に。とな。話は以上だ。帰って良いぞ」
ラミュールさんはそう言うと、ドアを閉めた。多分、仕事に戻ったんだと思う。
「・・・・・・私、帰りますね」
「あ、はい。わざわざここまで来て頂き、ありがとうございました」
「こちらこそ、案内して頂き、ありがとうございました」
俺は受付嬢にそう言ってから家に向かって歩き出したのだが、受付嬢がその背中を目を輝かせて見つめていたのであった。
いよいよ新作の方の投稿準備をしている段階に来ている状態で、とりあえず5話までは1日置きに投稿して行こうと考えております。




