空遊び
そっと画面に触れれただけなのに波紋は広がる
8インチにも満たない小さな世界はワタシを等身大で受け入れる
何をしても許されるけれど 何も許されない場所が落ち着く
鳴りを潜めることもあるけれど 鳴り止まない蝉しぐれがワタシを夏に連れて行く
気づけば線香花火も消えていた 名も知らない火だまりが落ちたことも知らずに
ワタシは覚えてる 誰よりも静かに火花を散らしていた繊細なアナタの閃きを
飾る思い出などワタシの中には残らない
ワタシの中にあるのは 窓辺で書いたアダムとイヴだけ
「また、会おうね」ってアナタは言う
いくら言葉を選んでも やっぱり頼れるものって脆くて透明なものだよね
誰の返事もない部屋でワタシは笑顔を作る
誰にも見せたことのない力いっぱいの表現が いっぴきの流れ星に届けと願いながら胸に手を当てる
「まだ、昼間だったね」と私は目をつむる
薄いまぶたの向こうに 見覚えのないワタシの部屋がぼやけて映る
ワタシはまた目を開ける
いま見た部屋より幻想的な現実にカラダがよれる
まだ明るいうちに帰らないとねって
そっと画面に触れて波紋を広げる
8インチにも満たない小さな世界はワタシを等身大で受け入れる