魔獣の日
魔獣の日
今日は命の危機にさらされた。
魔獣のせいだ。
魔獣とは、あの子より大きな人間が「ま、魔獣が」とか「だ、誰か助けてくれー」とか、必ず
どもりながら言っていた存在の事だ。
緑色で二つ足の者や、茶色で四つ足の者、赤くて四つ足の時もあれば、二つ足の者もいる。
大きな人間からするとみんな魔獣らしい。
大きな人間の考える事はよくわからない。
まあ、それでこそ大きな人間なのかもしれない。
あいつらは皆よくわからない存在なのだから。
大きな人間の事はいったん置いといて、私の命の危機についてだ。
今日、私は気持ちよくたたずんでいた。
いつもたたずんでいるのだが、今日は気持ちよくたたずんでいたのだ。
胞子でも作ろうか、と珍しく思っていたのだ。
なのに、なのに、あいつらときたら。
なにしたと思う?ねえ、なにしたと思う?
かじりやがったのだ。
茶色で四つ足のヤツの鼻頭が、ぬっと現れたかと思うと私の約4分の3をかじりとっていきやがったのだ。
いつも大きな人間か、白くてふわふわで尖ったヤツしか食べないくせに、なぜ私?ねえ、なんで私?
ああ、何てムカつくのだろう。
しかし私は無料では食べられない。
茶色で四つ足のヤツは私を食べて3歩でバッタッと倒れた。
フワァファワァッ
私の約4分の3は高いぞぉ。
今日は命の危機にさらされた。