聖なる夜に天使の祝福を
「ねぇ、今日はどこで過ごそうか?」
「え~きーくんの部屋がいい~」
今日はクリスマス
街中ではクリスマスのイルミネーションやカップル家族で盛り上がっている
そんな中でひとりでいるのは私くらいだろう
なんで外に出てきてしまったのだろうか?
そんな疑問を持つがすぐに解決する
毎年の週間だからだろう。
以前は毎年、毎日のようにこの商店街に来ていた
本屋に寄って立ち読みしたり
服屋で新しい服を買ったり
いろいろなことをした
とても充実した日々だったのだろう
それなのに今は同じことをしてもつまらない
なんでだろう
そんなの決まっている
彼がいないからだ
彼がいたときのことは思い出したくない
目頭が熱くなってしまう
私にはまだ割り切れないのが現状だ
でも泣いてはいけない
いくら辛いことがあっても一人で孤独になってしまっても泣かない
なぜならば彼との最後の約束だから
☆
「祐也!!」
「咲、来てくれたのか」
祐也はそう言って病室で切なげに微笑んだ
とても嬉しそうなのはわかるが辛いということも分かってしまう
「来てくれたのじゃないわよ!あんたなんで黙ってたのよぉ」
勢いよく言った言葉も自然に語尾が小さくなりかすれていく
あれ?涙が出てきちゃった
どうして?泣かないって決めたのに
「咲も聞いたのか?俺が長くないってことに」
「うん」
祐也は交通事故にあった
なんでも歩道に飛び出してきた車から子供を助けようとし自分がひかれてしまったらしい
実に人思いの祐也らしいといえばらしいが、人のためと考えるなら自分のことも考えて欲しかった
なんとか一命を取り留め今みたいに元気な姿をしているが
実際のところは内臓系はほぼ全滅で、もって一日
日付の変わった時までだろうと言われている
今は午後11時、あと少しで祐也の光は失われてしまう
そう思うと悔しくなってきた
「なんでっなんで祐也なわけ?明日はクリスマスイヴなんだよ?」
「なんでって言われても俺に後悔はないよ。後悔があるとすればそれは……」
「それは?」
祐也は少し黙ったあと私の方を真剣な眼差しで見つめた
「咲、ひとつだけ約束して欲しい。いいか?」
「なによ?」
涙を流しながらそれでも必死に聞こうとする
これが祐也の最後の言葉になるかもしれないから
「泣くのは今日まで、明日からは辛くても泣いてはいけないよ」
祐也の言葉はとても辛く厳しいものであった
私には達成できるかわからない
祐也との楽しい日々を思い出して泣かないなんてことがない
それでも私は頷いた
涙を流しながら頷いた
祐也が私に残したメッセージだから
「ありがとう。」
祐也はそう言って静かに息を引き取った
顔はとても幸せそうで笑顔が溢れていた
私はその日から泣いていない
☆
彼の言葉の本心は私にはまだわからない
それでも一日たった今日はまだ守り続けている
でも、そろそろ目が疲れてきちゃったよ
彼のことを思い出さない時間なんてない
この街には彼との思い出が詰まっている
思い出を消すことはできないししたくもないことだ
本当なら来たくなかった
でも、何かに導かれるようにこの商店街の大きなツリーへと来てしまっていた
「はぁ帰ろうかしら。そういえば祐也は私に何を言おうとしたのかしら」
彼は死ぬ前に何かを言おうとした
それを私に泣かないようにという言葉に変えて最後の言葉とした
彼のことを思い出してしまい目頭が熱くなる
咄嗟に上を向くと頬に冷たいものが当たった
「……雪?」
そう、白く幻想的な雪が降ってきた
「わぁ~雪だァ~」
「こら~走り回らないの!」
「あれ?今日はふらないって天気予報で…」
「そんなこといいじゃん!!たっくんもうれしーでしょ!!」
周りで雪を喜ぶ声がする
私も不思議な気持ちになっていた
なんだろう?
なんでこんなに暖かいの?
雪がとても暖かい
この感覚、まるで祐也みたい
祐也もしかしているの?
今そこに
無事天国へ行けたのね
不思議と彼が天国に行けたことを知った
それだけで嬉しい
空を見ると彼がそこにいるような気がしてふと笑みがこぼれた
そう、あなたは大丈夫なのね
あなたにたくさんのお土産持って今度そっちへ行くわ
あなた…祐也が私に残した意味はまだわからないけど
それでも私がいなくなることを望んでいるとは思わない
だから私は祐也の分までこの世界のすばらしさを体で味わう
だから、私がそっちへ行った時はまた楽しく過ごしましょう
☆
―――うん。気持ちは伝わったかな
―――神様に内緒で降らせちゃったけど大丈夫だよね
―――これは今を生きる君に捧げる
―――咲なら大丈夫
―――僕の分まで生きられるさ
―――本当は死んでしまったのが悔しいんだよ?
―――悔しくて悔しくて仕方がない
―――もっと咲のそばで笑いたかった
―――咲に愛してると大きく言いたかった
―――本当に悔しかったんだよ
―――だって明日はクリスマスイヴ
―――一緒になろうと言おうと思っていた日だったんだ
―――思い返してみれば物心ついた時から一緒だったね
―――小さい頃からずっと一緒
―――泣き、笑い、喧嘩をした
―――いつしか一緒にいることが当たり前で本当のことが言えなくなってしまt
―――好きだよ?愛してる!!声を大にして叫びたい
―――それでも今は叶わない
―――あの時好きと言ってしまえば君は前に進めなかっただろう
―――君がいつか僕のことよりも好きな人を見つけて
―――楽しい時間を過ごすために僕は泣かないようにって言ったんだ
―――君には辛い思いをさせてしまうね
―――じゃあ、「また」ね
―――次会うときは笑顔で会おう
いかがでしたでしょうか?
これを歌詞にした話もあります
ブログにて掲載してますので読みたい方は言ってください
歌詞版の方は祐也視点の話になっております
ぜひ、感想などを送ってくださると嬉しいです
何分初めて書いた短編なので
でわでわ
ちょっと遅いけどメリークリスマス!!