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四日目の夜

「釘付けねぇ」


何が


・・・会場中の視線が、クラウス達三国の関係者に、である









ちなみに周辺国の面々はパーティーが始まる前に帰途に着いた・・・元々周辺国はエンチュウ被害の支援を求めにレインを尋ねたので、それぞれ復興の指揮に戻ったのである・・・


四日目の夜会には、三日目参加が出来なかった貴族の親族、クラウス達の側近達も参加しているのだが、元々異国人が珍しいと言う事、更にいずれも美人揃いということもあってエーティスの人間の視線はクラウス達に釘付けである


「人って、知っていた以上に流されやすいものねぇ」


「左様デ御座いますネ」


「凄くいい雰囲気だったカップル未満の子達も結構いたのに、すっかり離れちゃって・・・」


サラの考えは的中し、淡く芽生えた恋心は早々に消えたのか、娘達は美麗なクラウス達を羽扇で顔を隠しながらチラチラと見つめ、男達は中性的なツユリやフェルト達に視線が釘付けである


恐らくパーティが始まれば声を掛けに行くのだろう、音楽が変わるのをソワソワとしている者もいるのだから、権力者で美人な存在の影響力というのは凄い



「レイン様、何か召し上がりマすカ?」


「うん?そうねぇ・・・あまり頂くと、夜に執務できないから軽食が良いわねぇ」


「承知いタしまシた


暫しお傍を離れマすが、宜しイでしょうカ?」


「大丈夫よ。ちゃんと桐藍も自分の持ってきなさいね。


・・・どうやら私のほうはお客様のようだし」


「御意」


すっと一礼して食事を取りに行く桐藍を見送ったレインは、グラスを手に近寄って来た青年を見て微笑んだ


「少し宜しいでしょうか」


「ええ。バルクス殿」


「どうぞ、私の事はシオンと


バルクスは今日のこの会場に何人もおりますから」


「ではどうぞ私のこともレインとお呼び下さいまし

シオン殿」


にっこりと爽やかに笑う当主ゼウス・バルクスの息子で直系長子であるシオン・バルクスにレインも外向き笑顔で微笑んだ


クラウス達が国宝級の美形なら、シオンはアイドル系の美形である

薄い金の髪にアイスブルーの切れ長の瞳、身長も高く、筋肉も程よくついている


さぞかしモテるだろう、と、どうでもいいような事を考えながら内容があってないような世間話を交わす


シオンが近づいてくるのは、ゼウスの命だろう、とレインは特に考える事もなく予想をつけた


残念ながら、リオルとの一件以降、シュレイアは目立ちすぎている

暴かれつつある領地は、田舎とはいえ、利用価値は十二分にあるだろう

シオンは先駆けに過ぎない


未来の面倒を思ってレインが内心溜息を吐けば、ふっとシオンの表情が真剣なものに変わった


「(本題かな)」


「・・・・・・・・・・・・・・・レイン殿は、凄い方ですね」


「ふふ、何を仰います


私など、ただの田舎領主の娘ですわ」


羽扇を広げ微笑めば、シオンはくすりと笑った


「正直、侮っていました。私も、父も、そして一族の者も


けれど、それは間違いでしたよ。ええ。


あそこに、四大国の方々がいらっしゃいますが、果たして何人が彼らに通訳士無しで会話を成り立たせる事ができるでしょうか?・・・・きっと、片手ほどで御座いましょう。

貴女は、閉鎖的なこの国で、率先して異国と交流し、見事に成功を収めている優秀な方だ。

情報を撹乱し、規制し、小出しに流し、調べれば調べるほどに分からなくなる


まるで煙を掴もうとしているようでしたよ」


「まあ」


ほほほ、と笑うレインをシオンの切れ長なアイスブルーの瞳が捕らえる


「是非、貴女を知りたいものです」


すっと腰に手を宛がわれ、引き寄せられそうになるのをシオンの胸に手を当て防いだレインはふんわりと笑った


「素敵なお誘いではありますが、遠慮いたしますわ。」


「・・・・・・」


柔らかな笑顔であるはずなのに、威圧感を感じさせるレインに、シオンは背筋が粟立つのを感じた



「・・・では、出直すとしましょう・・・護衛役も戻ったようですし・・・


いい夜を、レイン殿」


「ふふ。いい夜を。・・・シオン殿」



引き際を心得、立ち去ったところは評価してもいいわねぇ、と考えながら戻ってきた桐藍に微笑みかけた


「大丈夫でしたカ?」


「ええ。問題ないわ。


父様はいた?」


「ウェルチ殿といらっしャいましタ」


「また珍しい組み合わせね」


「はイ。

・・・そレから、八龍殿も揃っタようでス」


間もなく黄龍の挨拶でもって四日目夜会は始まった








「・・・・・・・・・・・・レイン、少しいいだろうか」



「赤龍様?」


夜会が始まり、会場の中心部でステップを踏む男女が増えたころ、レインに声を掛けたのは、紅い髪をゆるく三つ編みにして背に垂らしている赤龍である


いつになく堅い表情でレインの前に立つ赤龍にレインは小首を傾げて見せた


「どうされました?赤龍様

・・・少し、表情が堅いようですが、ご気分が優れないのですか?」


「いや、体調に問題は無い・・・・・・・・・それより、良いか?」


「はい。」


すっと手を差し出した赤龍にレインは手を重ね応えた



書き直す可能性大

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