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ツユリの訪問は

「レイン、そなた情報の規制を緩和したかぇ?」


「何故そう思われるのですか?ツユリ殿」


夜会明けて翌朝、軽食をとり、書類を捌き続けていたレインを訪ねたツユリは、室に入り扉が閉まるのを確認すると、挨拶もそこそこに神妙な顔付きでレインを見た


レインはと言えば思い当たる節が多少あるのか、特に取り乱すことなくツユリを見返す


「何時もは、カラクサに届く情報は遅く、単語のみの情報とて珍しくない。距離があるから致し方ないが・・・


だと言うに、リオルとの一件は実に驚く程、早ぅに情報が集まった。これは妙なことよ、と思ったのだぇ


何せ距離以前に、そなた達は驚く程綿密な情報操作をしておる。

・・・意図しているならば良いが、故意に流されているなら、と伝えに来たのよ。まあ用事は他にもあったがの


「・・・私は何時も通りと指示いたしましたが、どうやら過分に流れたようですね。別筋からも話がありました。


・・・この数ヵ月、とある集団がウチの情報を集め、売っているようですわ


手段と、集団の正体には目処が立っていますが対処が難しいのです」


「・・・というと?」


「集団の正体は精霊師のエルフ達ですわ


・・・情報を集めるのは精霊なので、捕らえるのは不可能


対処は精々、口頭で重要用件を話さない事しか出来ません」


肩を竦めるレインに成程、とツユリは頷いた


「ならば、丁度良き機会よ


クラウスに精霊排除の結界を張らせればよい。アレは器用ゆえ、元々シュレイアに存在する地霊はそのままに、外部から主を持つ精霊の侵入のみ排す結界を張れる。


ああ見えて、この世界で最も永く生きてるからの。知識と経験は無駄にあるぇ」


「ああ見えて、っていうのは中々酷いのぅ」


「失礼致します。レイン殿ツユリ殿」


「丁度良かったの?レイン

話は聞いておったろ。このあとシュレイアに到着次第、結界を」


「うむ。聞いておった。喜んで張るぞ?レイン

見返りに、ちーずけーきを所望する」


「あら。わかりましたわ

お土産用の焼き菓子も作りますわ」


「うむ!」


「レイン様の生み出される菓子は珍しく、酷く美味しゅう御座いますから、我らが主は何時も食べ過ぎて・・・」


「それは言わんでよくないか?ウェルチ。」


甘味好きの魔王は何とも可愛らしい、と遥かに歳上であるのに感じるレインであった






「で?ツユリ。」


「クラウス、ワタシはエルフが憎い。此れを機に殲滅せんか」


レインの部屋を出て客殿に戻って早々、剣呑な光を瞳に宿すツユリがクラウスに物騒な言葉を投げ掛ければ、クラウスはクッと喉で笑った


「儂もエルフは好かぬ。何が高潔!何が高尚!ただの傲慢な生き物ではないか


魔族を悪とし、正義を騙る

胸糞悪い生き物」


「ワタシの可愛い人魚達の棲みかの情報を、肥えた豚共に渡した憎きエルフ


我がカラクサの、真の敵よ

良き機会だぇ。精霊を捕らえ、居所を吐かせ、死ぬ以上の苦痛を与えようぞ」


美しい顔を歪め殺気をだすツユリに、クラウスも頷いた


「最近、儂の国にも茶々入れておるからの。丁度良い。その案に乗る


ウェルチ、そういう訳じゃ。暫く執務はせんぞ」


「何を仰有いますか。レイン殿はここでも執務をなさっておいででしたよ


フェルトに書類を取りに行かせますので、どうぞシュレイア邸でなさって下さいまし」


「えー」


「可愛くないので止めて下さい

執務は待ってはくれません」


ぶーぶーと威厳形無しに文句を言うクラウスはつい先程見せた魔王の顔を消した


ツユリも促されるように殺気を抑え、控えていた護衛役を見ればすっかり雰囲気を堅くしていた


「メイ、呑まれるでない」


「っあ・・・はい」


「うむ。それで良い


さて、クラウス。今宵の晩餐までどう過ごす?」


「久方ぶりにチェスでもするか」


「数万戦目か。勝たせてもらうぇ」


笑い会う二人にウェルチはメイを促し準備に部屋をあとにした





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