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三日目会議

今年度中に上げれた!

「少し、宜しいかしら?」


「ヴォルケ殿?」






周辺国々、蓮等三ヶ国との挨拶を終わらせ出席した領主会議はやはり、ヴォルケ領地の返領が決まり、その領地を国府預かりにする事、仮の港の建設に掛かる費用は、クレマ、シュレイア、ハレイを除く領地で共同出資をする事が決まる


「領民は移動に時間が掛かる。一年を期限に領地移動を完了させるよう、各領地も積極的に移動の手を貸す事が望ましかろう」


ゼウス・バルクスの声に、黄龍は首肯する


「馬車は勿論、飛竜や翼竜を出すことが望ましい


領民達は一刻も早く落ち着ける場所を得たいであろうからな。

各領主達にはしかと目を向けてもらい、心砕いて欲しい」


黄龍の声に返事をする面々

勿論、領地返領など滅多になく、多数の民が領地を移動する事も滅多にない


暫く領主達はこの件を優先させなくてはならない事となった


「では、次の議題に参ります


現在、客殿に合わせて十の国々の高位の方々がいらっしゃいます


この方々がこれより、夜会に出席されることとなりました」


「十?また随分多いですね」


アーノルド・ナザルが諸侯を代表して驚愕を口にする


「それに関しまして、発言宜しいでしょうか?」


「どうぞ、レイン・シュレイア様」


「はい、今回の突然の来国に関して周辺国より、持たされた情報によりますと、近々我が国にエンチュウが接近する事が予測されます


滅多に国内に入り込む事はありませんが、絶対ではありませんのでご注意下さい」


「エンチュウ?」


ナニソレ、という視線をレインに向けたのは主に南の領主達である


「エンチュウとは、大陸の内地で発生する蟻の仲間で、塩を食べ尽くしながら海に向かう害虫ですね」


「アロウェナ殿の仰る通りです


毎年被害はあるそうですが、今年は特に酷いようで大量発生しているとか。このエンチュウは真水で溶けます。万が一領内に侵入された場合、真水を掛けて対応するのが宜しいかと思います」


「貴重な情報ありがとうございます


・・・これは、国府からなのですが現在客殿にいらっしゃいます十の国々の方々はどのような身分でいらっしゃるのでしょうか?


周辺国の数国は分かるのですが、国として外交していない国もありまして・・・大変恐縮ですが、教えて頂けましたら幸いです」


「はい、蓮、ベルマ、カラクサは国主が


周辺国は何れも宰相がいらしておいでです」


ガタンっという音が室内彼方此方で聞こえた

特に動揺しているのはアロウェナである

アロウェナとしては、夜会を前に各領主に注意を払って貰うつもりで公の場で尋ねたのだが、まさかそこまで高位の者とは思わなかったようだ


「誰が来ているのかと思えば随分久しい面子だな」


黄龍もまた、目を大きく見開き驚きを露にした


「軽く挨拶しかしておりませんが、皆さん、偶然同じ時に居合わせたそうですわ」


「ふむ。国賓として、最上級のもてなしを。

今宵の夜会には八龍全員を出席させる」


「出席は領主と次期領主、其の護衛のみのほうが望ましいでしょうか?」


「そうだな、今日は家族の出席は見送ってくれ。」


顎に手を当て思案した後、アーノルド・ナザルの声に頷いた黄龍はそのままアロウェナを見た


「明日の議題ですが、来年度の税率を中心に決めていただきたく

更に、来年度には大きな式典を予定しておりますので其の話の説明も、と思っております

他に何もないようでしたら本日はこれまで、ということで締めさせて頂きます」


アロウェナの言葉で締め括られた会議を終え、皆それぞれ立ち上がる

一人、二人と部屋を出て、レインもまた部屋を出た


「今夜は正装をしなくてはならないわね」


ふう、と息を吐くレインに半歩後ろを歩く桐藍は微笑んだ




「レイン・シュレイア殿?少し宜しいかしら」


「ヴォルケ殿・・・?」


「・・・・・・」


ギリッと腕を掴まれ眉根を寄せたレインは、この時初めて異常に気づいた


「(桐藍、どこに・・・・・?)」


任に忠実な腹心が何の言葉も残さず傍を離れるなどありえない


ココハドコダ


「っ」


「お前など、いなかったらば良かったのに


そうすれば、私は、待ち続ける事ができたのにっ!!!」


ギリぃっと唇を噛み締めるヴォルケの憎悪の眼差しにレインは眉根を寄せ動揺を抑える


「死んで、しまいなさいな」


ヴォルケは妖しく光る白銀の剣を向けニタリと笑った

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