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二日目会議2

「私は・・・・アズナスには、ヴォルケに大きな恩が、返しきれぬほど大きな恩が御座います


それゆえ、如何なる理由であっても当領地が、ヴォルケの領主解任に賛同するわけには参りません」



ヴォルケより十は若いがそれでも年老いた老婆は、反対意見を求められ、そう応えた


「下らぬ!!!そのようなもの、理由にはなりはせん!!!!」


バルクスの声に他領主も賛同し、視線が集まる中、レインだけは理由に見当を付けていた為、アズナス領主ではなく視線を黄龍に向けている



「義理は、確かに大事だが、な」


「優先順位を、履き違えるなよアズナス!!」


「ヴォルケに対して恩義があろうと、ヴォルケが黄龍様より任じられている領主としての任を蔑ろにしている事は違う問題だ


優先順位は、何時だって最上に黄龍様が無くてはならない


貴族としても、勿論、領主としても」


吐き捨てるように言う四領の面々にアズナスは唇を噛み締めながらもなおもヴォルケを庇うように言の葉を募らせる




「・・・なあ、レイン?レインは知ってるん?あのアズナスさんが頑なな理由」


こそっとサラに話しかけられキョトンとしたレインは、首を縦に振った


「アズナスは、およそ四十年前、当時敵対していた国に襲撃され半壊した事があって、その際の物資支援や難民の受け入れを率先して行ったのが唯一、ヴォルケだけだった様です

それゆえ、アズナスの民は今もヴォルケに対する優先順位は高く、先ほどアズナス殿が言っていた言葉はそのままアズナスの領民の言葉でもある


百の恩を感じたら二百にして返す

義理堅い領地ですから、アズナスを責めても変わる事は無いでしょう」


「せやかて、問題は全領地とは言わんでも、国の大半の領地に関わるんやで?

ソレに気付いているかはともかく、二領だけの問題や無いやん」


「・・・多分、現状でその事に頭がいっているのは貴方位だわ。サラ


三領も四領も、ヴォルケのことのみに頭が行っているもの

今のあの方たちの最優先事項は自領じゃなく、ヴォルケの処遇だし」


「ウチは余り困らへんからな」


「内海があるものね」


「うん。」


コソコソと話していれば黄龍から視線を感じレインが再び視線を戻せば、耳の良い黄龍のこと、会話に気付いたのだろう




「レイン、サラ、二人とも何か気にしている事があるようだ

教えてくれまいか」


黄龍の言葉に、十領主の視線が向く



「・・・・気付いていらっしゃると思いますが、ヴォルケの壊滅で港もまた被害にあった


ヴォルケの財源で、復興にどの程度時間が掛かるか分かりかねますが直ぐ、と言うわけにはいきますまい」


「港?」


「ヴォルケの港は、この国では数少ない貿易港


特に西の領地はヴォルケに税を払って港で取引していたでしょう・・・?


ヴォルケの領地の復興、港の復興が進まぬ限り、交易も出来ない・・・と言う事は、流通が止まると言う事ですよね・・・ウチと、シュレイア、ハレイ以外に港は無いですし」


「こういった非常事態であっても他領に対し、特に領制が細かくイロイロ制定されているヴォルケには手を出しにくい現状があります


ヴォルケがヴォルケである以上、流通が止まり、経済が停滞し、発展が遅れると、思うのですが」


そう締めたレインとサラにガタン、と大きな音を立てた何人もの領主たち



「(・・・遅いなぁ)」


レインはと言えば、ヴォルケに被害が出た時点で想定していた事だ


独自の貿易ルートのあるシュレイアには余り触りが無いが、既に幾つかの国に様子を聞かれている



現状でヴォルケが領主である事に国として利が無い

むしろ時間が経てばマイナスに転じていく



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