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〈上〉一日目~晩餐会

「ピリピリしてたわね」


ほぅっと息を吐いたレインに控えていた桐藍は首肯した


決を採った結果、黄龍を除いた12領主中、10領がヴォルケの領主返上に賛成したのだ


これにはヴォルケ領主、トレーネ・ヴォルケは唇を戦慄かせ、反対派筆頭のゼウス・バルクスとアーノルド・ナザルを睨み付けた


「決に関する意見は明日・・・


唯一反対しなかったアズナスも少し挙動不審だから、最終決定する三日後が分からないし


ヴォルケは窮地に立たされて必死だわ」


目線の先には焦りを隠しきれていないヴォルケが意見の撤回を願いにハレイの領主の元に行っている


「次代シュレイア領主、少し良いか」


「あら、ゼウス・バルクス領主殿

勿論ですわ。」


レインが頷けば、ゼウスの後ろに控えていた剣を穿いた身長の高い男が持っていた大きな椅子を2つ、八の字に置いた


「先に紹介しよう。

儂の息子で、シオンという

今回は護衛に連れてきた」


「シオンと申します。」


「レイン・シュレイアと申します」



軽く礼をお互いにして、ゼウスが先に座ったのを確認してからレインも座る


桐藍とシオンはそれぞれ横に控える


「さて、まずは今回の領主就任を改めてお祝い申し上げる。


少々若すぎるがな」


「そうですわね。私は今18・・・皆様方に比べたらば、若輩者


至らぬ点など多々ありましょう」


「ほう?」


「しかしながら、私には頼りになる兄弟に一族、部下が大勢いますから。

私1人では難しくても、皆の力を借りながら至らぬ点を補っていきたいと思っていますわ」


ニコリと笑うレインをゼウスは面白いと言わんばかりに口元に笑みを刻んだ


「お前は若輩者とは少し違うかもしれん!

むしろ、儂と相対して崩さぬ態度といい、視線を交える度胸といい、流石はリオルと停戦に持ち込んだだけのことはある」


笑うゼウスにいえ、とレインは続ける


「リオルとの停戦に関しては、リオルの国王の思惑とは違う道を進んでいたので利害が一致し協力に至ったこと。

私の力では御座いません」


ゆるく笑ったレインにゼウスは方眉を器用にあげて見せた


「過小評価はいかんな。そうやって評価を下げ、曖昧にするのはシュレイアを謎の多い土地にするためか?」


「仰います事がよく・・・?」


首を傾げるレインにゼウスは息を吐く


「リオルとの一件以降、シュレイアを調べたが調べるほど分からなくなる


こんなことを言うのはなんだが、シュレイアを調べさせていた草の者は放った八割が帰ってこない」 


やれやれ、と息を吐いたゼウスを見て、レインは控える桐藍を見る


「(殺したの?)」


「(リオルの一件以降ノ草の者はハ皆、影牢に入れテありまス。発狂しテいる可能性はアりますが、死ンではいませんヨ)」


目で会話したレインはさて、どうしようかと内心首を傾げる 


草の者が増えているという報告は受けていたし、その処断は影に任せていた


「(返せと言われない以上此方から引き渡すのもねぇ)」


「どうかしたか?」


「いえ、・・・ゼウス殿は草の者が生きているならば如何いたします?」


「・・・生きていると?」


「命はあると。宜しければお返ししますが」


「見返りなく?それは随分甘いお話だ」


「得られた重要な機密があるわけではなく、無駄に命を散らせる趣味もありません。


返すことに利はありませんが返さないことにも利はありません」


「なるほど。ならば、返していただくか。せっかくだ。


放った中には腹心もいたからな

生きているだけ良しとしよう」


「腹心が居たにしては落ち着いていらっしゃる。流石は大貴族という事でしょうか?

私にはとてもとても」


「嫌みか?全く胆が据わった奴よ


黄龍様より預かる領地

それは、確かなものでなくてはならぬ


不穏ならば叩く。率先して調べる

同じ領主を見張るのも、領主の仕事よ」


鼻を鳴らすゼウスに失礼しました、とレインは謝った


「掴めん娘だな。


まあ、良い。今日はこれまでにしておくさ

明日の会議、楽しみにしておく」


最後にニンマリ笑ったゼウスは、方椅子を持ったシオンを伴い会場の中心に行く


「それは、此方の台詞よねぇ?」


「一見して豪快デ雑に見えまスが、瞳にハ知が宿り、常に冷静でいラっしゃいマした。


手強いデスか?」


「どうかしら?」


ふふ、と笑うレイン


百戦錬磨というならば負けていないと桐藍は思った











「で?」


「?」


「今日は視線は大丈夫だった?」


「気配を極力薄めマしたのデ余り気付かれていませン」


「何よりね」


あはは、と笑うレインに桐藍は神妙に頷いて見せた


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