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~前夜晩餐会その②

晩餐会が始まって余り経たないで、レインの元に着飾った娘が近寄って来た


シュレイアとは内海を挟んで隣するクレマの娘、サラだ



「こんばんわレイン。お久しぶりやねぇ」



「お久しぶり、サラ」



クレマの方言はレインの嘗ての故郷と同じようなイントネーションなせいか懐かしさもあって頬が緩む



「元気そうやね、良かったわ


・・・んでこっちの美系はどっから連れて来たん?めっちゃ注目されてるやん」



「十年位前から一緒よ。それより良いの?私と話したらお父上に怒られてしまうんじゃなくて?」



「ええねん。ずうっと言う事聞いてきたけど、年明けで私も当主に就任する事になったから、こっからは自由に行くわ」



「私も、って事は、私が就任する事を知ってたの?」


「うん、父様、シュレイアに張りあってんもん。


噂聞きつけて直ぐ、私を次代にするゆーて、聞かへんねん。頑固やからなぁ」



レインと同い年のサラは、物心ついたときには既にレインと比べられて来た


やれ、レインはもう歩けるようになった、から始まり


乗馬が出来るだの本を読むようになっただの、事あるごとに同じ事をサラにさせようとして来たのだ


そんな風に比べ続けられれば捻くれても可笑しくないし、実際にレインとは会った事も無い段階で敵対心を持っていた


そう、初めてパーティーで顔を合わせるまでは



パーティーデビューで初めて顔を合わせ、仏頂面なんてお構いなしに微笑み、手を差し出したレイン

同年の他の誰より、兄弟より賢いと言われていた自分の言葉に打てば響く鐘のように返答が帰ってきたときには驚いた


自分が知らない事を知り、聞けば隠す事無くサラリと教えたその姿に自分の持たない大人を感じ、性格もあってサラは素直にレインの凄さを感じた



自分が如何に井戸の中の蛙か思い知った日でもあった




「初めて会った時から、私はレインの凄いとこ分かってんねん

適わんって思うわ。


せやけど、同じくらい、頑張ろうとも思えたんやで。


・・・父様はなぁ、セルゲイさんに対抗意識持っとるからナァ」



「そんな風に思われてるなんて思わなかったわ


比べられる為に領主になるんじゃなくて、サラさんなりの治領を見せてね。

とても楽しみにしてるのよ」


ニコリと笑うレインに、サラはつくづく適わないなぁ、と内心で思うのだ

潜って来た場数が違う


まだまだスタートラインにすら立てていない自分だが、いつか肩を並べたいと思っている



「それにしても、領主会議ってゆーからもっと堅いんかと思うとったケド、若い奴は見合い状態やし、領主たちは八龍の方々に媚びてるし


普段のパーティーとかわらへん」



「まぁ今日は余計に何時もと変わらないわねぇ・・・私も初めて来たけど、こういうのが続くならちょっとうんざりするわね」


小声でひそひそ言い合う二人の会話を横で聞いていた桐藍は似たもの同士な様子に驚いていた


「(自分の知る限リ、こノお二人は、クレマの当主の関係もアって滅多に一緒にいなカったと思うのだガ・・・)」



「桐藍、世の中には、直接合わなくても文のやり取りというのがあるのよ」


「せやで。


偽名使って、暗号文使ってな!これが中々楽しいねん。」


にんまり笑うサラにレインも隣で微笑んで同意を示す


意外な交流関係を知って自分の知らない事はまだまだあるのだと桐藍は変に驚いていた


ずっと護衛しているから、全て知った気でいたのだ



「(本当ニ、この方に仕えテ居るのが面白イ)」


不謹慎かもしれないが、そう思った桐藍であった






「しカし、何故クレマの当主殿とセルゲイ殿は仲が悪いノですカ」


「あら、知らなかった?


昔、母様を二人で取り合ったんだって。」



「フェリス様を?」


「知っての通り、母様は父様を選んだから、ちょっと敵対心持っているようなの。


今では、クレマの奥様をちゃんと愛しているのに、ねぇ」


「男は分からんわ」


サックリ切ったサラにレインも笑った

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