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十二の領地

エーティスには八龍の宮のある龍山以外に十二の領地がある


シュレイアを除き、その領地を治めるのは所謂大貴族と呼ばれる者たちである


西の大領地にはヴォルケの領


南の火山地帯にはバルクス領


北には氷山を有するナザル領


これらを三領と呼ぶ



この他に、ヴォルケに隣するアズナス領


龍山を囲んでベルン、ソーレ、シュペルツ、キーマがあり、この四領は龍族が領主を勤めている


シュレイアとは内海を挟んでいるクレマ


アズナスとシュレイアの間にあるムーランド


唯一島になるハレイ


これら十二の領地、十二人の領主には勿論、仲が良いもの悪いものがある


「えっと、アズナスとヴォルケは仲が良くって、


三領はそれぞれ不仲、


ベルン・ソーレ・シュペルツ・キーマは龍族の関係で四領は仲が良いけど人族を見下し気味で他領と関わり薄い・・・


んでこのシュレイアは各領主に良い印象持たれていない、っと」


やれやれと溜息を吐いたキリクにレインも苦く笑う


領主になるのはレインだが、これから先も家族ぐるみで・・・特にキリクとアリア・・・領地の治領をしていくので領主としての注意事項は一緒に復習がてら頭に叩き込む



「しっかし、めんどくさいな」


筆を置いたキリクが頭をガシガシと乱雑に掻き乱せばアリアも筆を置く


「同感ね。なんだって、徒でさえ領地の事で手一杯なのに他領の勉強までしなきゃいけないんだか」


そんな二人を溜息混じりにレインが宥めるが、元々二人は動き回るほうが好きなのでジッとしていられないようだ


プラプラと足を揺らすアリアにレインは立ち上がって休憩の準備をしだした

飽きてしまったら、休憩を挟まないとダラダラするだけで覚えないのだ

こういう点は普段の頼れる様子と大きく異なり、どこか過去の孫や玄孫の様に思えてならない


レインが手ずから淹れるのは紅茶で・・・緑茶と途中まで製法が同じである為シュレイアでは同様に流通している・・・休憩用に作ったのはシフォンケーキである


シフォンケーキは材料に特殊なものを使わないため簡単に作れてかつ安価に提供できるのでシュレイアにある所謂カフェには必ず置いてある菓子だ

(カフェについてはまたいずれ)


紅茶とシフォンケーキそれぞれを二人の前に置く



「二人が春桜会で十二領主の事をほっとんど知らなかったから、私というより二人のための復習よ?私知ってるもの。」



「レインが知ってたらよくねぇ?」


「右に同じく」


「ダメ。確かにシュレイアは今まで先代達の努力でとても影薄く存在できたけれど、リオルとの一件以降随分草の者も入り込んでるって影の報告にもあったし。


これから先、望んでいなくても注目されていくと思うわ

其の時、恥をかくのは私達だけでなくシュレイアに住む者達もなのよ?私はイヤ」


「わかったよ、


それで?今の領主ってどんなんなの」


「・・・春桜会に全員いたじゃない」


「「知ってると思う?」」


「全然威張れないわよ二人とも。」


「だって、私たちが領地の外に行く事なんてマズ無いもの。


みんなお腹真っ黒な狸にしか見えないわよ」



「そうそ


確かに根っからの貴族でウチみたいな考え方をするようなのはマズいないけどさ・・・。


第一、あいつ等、領地を完全に自分たちの財産の一部だと思っているから気にくわねぇ。


領地は飽くまでも、黄龍様から借り受けている土地だろうに」


「授与ではなくて、貸与よね。


褒賞なんかで領地を預かる権利を取得したに過ぎないもの」


「二人とも抑えてね。っていうか兄様・・・口が悪いわよ」


「だってなぁ


苛々して当然だろう?

俺達三人にはともかくとして、クリスにまで縁談状が届くってどうなんだよ。今まで本当に見向きもしなかったのに


春桜会からこっち、増え続けてるんだぜ?」


バサッと机の中央に置いたのは最新の縁談状だ

龍族との繋がりに重きを置く貴族たちからすれば、黄龍や樹龍、赤龍、土竜といった八龍と急接近しているように見えるシュレイアの家のモノは非常に美味しく見えるらしい


レインには勿論の事、婚約者のいるフェリシアや未だ婚約者を持つには早すぎるクリスにまで来るのだから見境が無い


政略結婚とは無縁な一族である為に丁重に断りの文を入れているのだが、増えるばかりで最近の三人の頭痛の種である


「私なんか一生独り身で良いっての。」


「姉様まで口が悪くなってますよ」


「良いのよ。他所では多少猫被るし。」


「いっそ早々に婚約しちまったら良いんじゃねぇの?早く黙らせる為に」


「・・・桐藍、私と婚約する?」


「!?ハ・・・何ヲ仰いますカ」


突然控えていた桐藍に声を掛けるので普段は冷静なレインの右腕も動揺を顕にしてしまう


「姉様、桐藍を揶揄するのはお止め下さいね


気にしなくていいのよ桐藍」


「・・・何よ・・・そんなに怒らなくても良いじゃない。」


レインの怒りの絶対零度の眼差しを受けむくれるアリアは幼く見える

一目のある場所では基本的に猫を被るのだが、こうして長い付き合いの三人での会話はありのままだ


それは普段より口の悪くなるキリクも同じ事


他の兄弟すら知らない、両親も余り見る事は無い三人だけの特別



「そうそう、ローランとリオルとベルマに会議の前後で行かなきゃダメなのよね」


「貿易の件でよね?」


「そう。ローランから輸入予定だった絹糸の量を減らす了承をねぇ

加工して、織物にしようと思っていたんだけど、暫く高価なものは売れないでしょうから。

医療用のみ輸入するから、随分輸入量は減るのよ。


リオルとの一件が完全に終結したら改めてね。


リオルには映像・音声関係の魔法具を輸入させてもらいたくて、直接フェンネル殿の元へ買い付けに。


ベルマには新しい作物の買い付けと、共同で作製中の温室の試作品を見に。

此方からは塩・砂糖の輸出をする代わりに香辛料を輸入しようと思ってね」



「暫く忙しいのね」


「物凄く。流入民の振り分けは随時やって各所で桐藍達に届けてもらうから。

移動は影を使うから多少マシかなぁ」


「ワタシは反対したのですガ・・・」


影の移動は闇を移動することもあって人によっては短時間の間に精神に障害をきたす場合もある


「私にはサンダーバードや翼竜より遥かに居心地が良いもの」


「・・・まぁ私も影の移動は平気ね」


「俺も平気だな。


つまりまぁ、俺達三人とも図太い神経の持ち主って訳だ」



その言葉に複雑・・・と二人は呟き、キリクは豪快に笑ったのだった


又詳しく書きますが、ローランは双頭の狼の住む険峰を北に行ったところにある砂漠もある国で一角に良質な絹を作っている場所があります。


ベルマはシュレイアの東、険峰挟んであって、此方は内陸になります。


矛盾点なんかは、後日復活次第直す予定


とりあえず、地球とはまるで異なる気候と考えていただけたらと思います。それぞれモデルはありますが



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