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シュレイアとして

「いっそ逃亡したくなる位の書類の山よね・・・桐藍」


「左様でございますネ」


流入民の仮設テントから次々届く彼らの情報


此れを元に、シュレイアの各地へと振り分けるのはレインの役目だ



「ヴォルケの六分の一がまさか避難してくるなんてねぇ」


ヴォルケは大領地の為、エーティスでもかなり人口の多い領地なのだが、先のリオルとの戦闘で六分の一が死亡している


更に六分の一がシュレイアに流入とあってはヴォルケの反応が気になるところだ


「多くが前職を持ってナイですが、どう振り分けルのですカ」



「農業、林業を中心に振り分けるわ。


いきなり他の専門職の仕事に回しても戸惑うだけでしょうし。


三ヶ月それぞれの仕事の適正を見て、もし不適正ならば別の仕事を紹介するという形にしましょう」



試してみたい野菜や果樹は沢山ある


シュレイアの北、国境に聳える険峰な山を始めとして大小ある山々や林は秋には豊富なキノコや木の実が採れ、更にその地を住みかにする野生動物もまた豊富だ


熊や猪などは貴重なたんぱく質として重宝する


だが、林や森、山は手入れを怠るとあっという間に人は立ち入れなくなってしまう


今までも専門職として林業に携わる人間はいたのだが、農業従事者の方が圧倒的に多く、領地全てに行き届きにくかった


それを今回の民の流入を機に変えてみようと思ったのだ


「(松はあるし手入れしたら松茸だって生えるかもしれないし、


此れを機に本格的に椎茸栽培に乗り出したいし、


木炭の確保もしたいし、


東南部の土は良質な土器になるかも知れないから窯も作れば新しいシュレイアの顔になるかも。)」



「レイン様?」



「桐藍達のおかげでこのシュレイアの土地について以前より増して知ることができたわ


おかげでより本腰をいれて新しい野菜や果樹を作っていけるもの」



エーティスは理の外にある龍達の力のせいなのか気候がてんでバラバラなのだ



まあそれ故にシュレイアでは多種多様な作物の育成が叶うのだが


レインは桐藍達に頼んで数年かけて近畿ほどの広さをもつシュレイアの土地について調べていた


そうして漸く、領地が日本を凝縮したような気候を持つと理解した




近畿ほどの領地に日本を凝縮してあるだけあってほんの少しずれれば作物は育たない


だが育て方を誤りさえしなければいったいどれ程の種類の作物が育つのだろうかとレインは胸躍らせる



「桐藍、捌いていくから順次運んでくれる?」


「はイ」


桐藍からの報告で兄の指示のもと沢山の民達が新しい住人のために動いているらしい


想定したより多くの人が動いているため予定より早く住居やインフラの整備が終わりそうなのだ


まあそうは言っても全員が新しい土地に移動するには来年春だろう


たがやることは多い


各世帯への説明もレインが書類を裁かないと始まらないのだから



「レイン様、柚子茶でス。」


「ありがとう。じゃあコツコツやりはじめましょうか」


「無理はなさいませんよウ。自分は再び領内警護に戻りまス」


「お願いね」


「御意に」


影に溶けて消えた桐藍を見送って、レインは猛スピードで書類を捌いていくのであった

2月10日裁く→捌くに変更

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