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領主の娘らしくない娘

我等が領主の娘

眠った火龍にああいったものの巨体の持ち主。どうやって運ぼうか

そんな私の思いを汲み取ったのか、火龍の巨体は人型に変わった



…どうやら本格的に眠りに落ちたらしい。

それでも、155cmしかない私を遥かに凌駕する身長と素晴らしい体躯の持ち主を運べるとは思えない


馬を呼ぼうか迷って、見物人の一人を認めてその迷いも霧散する

「牛舎のおじさん、そのリヤカー貸してくださる?」

「へ?あぁ・・・構いませんよ」

「有難う!

あら、丁度良いところに。クラリス」

「毛布を?」

「聡くて助かるわ。リヤカーに敷いて欲しいの。


皆が赤龍様を怖がっている理由はよくわからないけれど、男性は彼をリヤカーに乗せてくださる?」



レインの言葉に顔を見合わせた男達は我等が愛する領主の娘の頼みだと苦笑して傷に障らないようリヤカーに乗せた



「領主の館に運べば?」

「あら、それには及ばないわ。リヤカーさえ有れば私にも運べるもの。

皆は仕事に戻って。クラリス、私が乗ってきた愛馬がいるから一足先に屋敷に伝えに行ってくれる?

多分兄上がいらっしゃるのよ。部屋の準備をお願いしてきて?


あら、カーティス!ナイスタイミングで現れたわね。王都に早馬を頼めるかしら?火龍様が怪我をなされて当屋敷にいること、あと東の森が焼失した事も。ひょっとしたら復活させる事が八龍の方なら出来るかもしれないもの。


火龍様の世話は責任もって

シュレイア家次女のレイン=シュレイアが致します。と伝えて」



じゃあ私は屋敷に帰るわー



とリヤカーを牽いて帰る領主の娘。真に領主の娘らしくない娘である



領民たちはそんなレインを見送り、焼けた東の森を見つめ溜息を吐いた

「レイン様を見ていると赤龍様を怖がっている自分がアホのように感じないか?」

「同感だよ。」

「噂に踊らされる俺らも俺らだけどさ、全く噂を気にせず真横で火柱上がっても気にしないレイン様もレイン様だよな・・・・」

「仕方ないよ。レイン様だもの。」

「そうだな


なんたってこのシュレイアを都会の様な生活設備にしようと先頭だって動いてくださる領主の娘らしからぬ方だもんな・・・・・」


その言葉の端々にあるのは、憧憬親愛


領主の娘らしからぬ娘を、だからこそ領民たちは愛してやまないのである



「さて、仕事に戻ろうぜ」

「いけない。そろそろ農作業に戻らないと。日が暮れちまうよ」

「・・・日暮れまでに羊の毛を刈らないと行けなかったのに・・・間に合わんな」

「しゃあないよ。明日の朝もすればいいさ」

「眺めるだけ眺めとくんじゃなかったねぇ」



そうして領民は自分の仕事に戻って行った。普通はもう少し騒ぎになるはずなのだがソレもこれもレインの登場と元々のこの地に住む人々の性格もあるのだろう


けっこうあっさり東の森から領民は去っていったのであった

領民に愛されるレイン

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