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響く声

レインには、リオル国王の眼差しに覚えがあった

とても、とても大切な、ヒト

最早永久トワマミえることが叶わぬヒト



その眼差しに秘めるは覚悟

戦場を知るものが、護るものがあるものの瞳に宿る炎

かつて近所の同窓の男の子に、父に、兄に、夫に、その炎を見た


女は戦場には立てぬ

日本で待つしかなかった、遠い昔

愛しいもの達が、誰よりも危険な死地へ往こうというのに、何一つ出来なかった私の胸に宿るのは苦い思い



何時だって、前しか向かないものには、見えぬもの

リオル国王も、そして赤龍様も、そういう眼差しをされる


簡単に投げ出すヒトは嫌いだ

残される者が何も思わないわけではないのに



リオル国王は、愚王ではない。希代の王と称されるほど期待され、応えてきた人だ

だが、今回私を攫って来た事といい、少し考えが足りぬようにも思える

一国の王ともあろうものが、二大勢力の片翼の抑制の為に戦地に立とうという

下手しなくても国が割れるだろう

何せ片翼はこの国の信仰を司る教会

王が、教会ではなく、今まで敵対していたエーティスの肩を持ったとなれば反発は必死

内からリオルは破滅に向かうだろう



「ではどうしろというのだ!!!!!もう、この国はっ」


「並々ならぬ事情があるのだとして、それを未だ敵国の地方とはいえ領主の、娘に言ってはなりません。貴方はもっと強かになるべきだ」


「っ」



「私は、領主の娘としては貴方を正当に評価します。しかし個人としては、貴方のような王は賢帝とは呼べない。」


「小娘!!!!!!!」


私の言葉にガイさんが剣を抜こうとする

確かに仕える王を冒涜されれば怒るだろう

だが言わせて貰おう

この国の民でない私に、言う義理は無いのは分かるのだが、この人に言うことで遠い昔言う事の出来なかった自分に対して必要な気がした。所詮は私のためなのだけれど



「貴方は、賢帝ではない。簡単に戦場という明日をも知れぬ場所に往かんとするのは愚王のすることです。貴方は、もし戦場で、何が死へと直結するかも知れぬ場所で、ナニかあったら国民にどう顔向けする気ですか。それも、事情も知らぬ国民からしたら、今まで賢帝と、希代の王と信頼を寄せていた人が、敵国ではなく、自国の討伐に向かったと知れば、国民は何を拠り所にするんです

何に怒りを向けたらよいのですか。

常に最善を、考えぬものは賢帝ではない。自分の命も、丸ごと抱えて、喪わないように最善を考えて下さい

王である貴方は、教会に従う者とて国民ということを忘れてはなりません」




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