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再会<上>

お久しぶりです

訪れた日は、丁度シュレイアの地で毎年行われる豊穣の祭りの初日だったらしく


他の町とを繋ぐ街道は綺麗にされ、町中が華やかな装いとなり、道行く民もまた、華やかな衣装を身に纏い手を取り合い歌い、踊り、笑っていた



赤龍はその祭りの様子に臆した。

レインとシュレイア家を訪ねてみたは良いが、この様に明るく笑顔に満ち溢れた今日という日につくづく破滅を司り恐怖を呼ぶ自身は似合わない。



ここは退散するしかなさそうだと、一歩後退した



「赤龍様?」



「!…キリク、か」



祭りの警護をしているのか何時もより動きやすさを、より重視した衣装に身を包んだキリクは、少し驚いたように赤龍を見つめ一礼する


「春桜会以来で御座いますね。ご健勝そうで何より。

レインでしたらアリアと共に西の広場におりますよ。ご案内致しましょう」



ニコリと笑って赤龍を先導する


つい、付いて行っていることに我に帰り赤龍はキリクの名を呼び、呼び止めた



「すまぬがキリク、我は帰ろうと、」



「せっかくいらしたのに、お帰りになるのですか?

何故です?まさか我が領地の者が何か気に触る事を?」



キリクの台詞に首をふる


シュレイアの領民は此方に気付いて視線をチラチラ送ってきてはいるものの、他領とは違い怯えは見えない。



以前大怪我を負ってシュレイアの地に落ちた時は他領程ではないものの、あったのに。今は欠片も不快な視線がないことに驚いている


「では何故?」

「この様に華やかな場に我は似合わぬ。場違い甚だしい。時を改め伺って構わぬだろうか」

「何時いらしても誠心誠意歓迎致します。勿論今日も。


赤龍様、貴方は人間に遠慮し過ぎです。楽しい祭りなのですから、赤龍様も楽しんで下さい。

なぁ?レイン」



「!」


「左様で御座いますわ赤龍様。今日は一年に一度の豊穣の祭り。赤龍様始めとする八龍様への感謝の日でもあるのです。いわば主役。

宜しければ私が案内致しますわ。」


鮮やかに笑うレイン

普段身に纏う衣服(=ツナギ)とは違い、薄桃色のシュレイアの地伝統の衣装を身に纏っている。化粧もし、髪も複雑に結っていてとても美しかった。



「馬子にも衣装で御座いましょう?恥ずかしいですわ」

「いや、よく、似合っている。」

「あら、ふふ…有り難うございますわ」

顔立ちは確かに平凡なのだろう。赤龍とて永く生きている。美しい女など掃いて捨てるほど見てきた。



だが、何故かレインには他の女とは違う何かがある気がした。

心臓も脈動し、戦闘でもないのに身体が強ばる


果たしてこの覚えのない感覚は何なのだろうか



赤龍は自身に自問自答するも答えは返って来なかった

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