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土竜の癒しの時間

シュレイア家兄弟大集合の図

春桜会が終わって二ヶ月が過ぎ、シュレイアの地では茶の収穫が最盛期を迎えている。


レインの拘りから始まった茶の栽培は此処近年で見慣れた光景となっており


とてもじ ゃないがこの地が、かつて、ただの少し痩せた農耕地だったとは思えないほど、美しい光景が広がる



茶畑のみならず、水面に空の蒼を映し美しい碧の揺れる水田も、牧草地で和やかに欠伸する馬達家畜、整備された上下水道により綺麗になった川や池、湖


この光景をシュレイアの領主一家同様に、楽しみにしているものがいる。


大地を司る土竜つちりゅうである。



彼は、大地を司るだけあって、他の龍族では聞くことの叶わない声を聞く事が出来る。

豊穣の大地は歓喜しそこに生きる数多の生物は大地に感謝する



他の領地では聞かない、土竜にとって何より喜ばしい声だ



「今年から試験的に始めたコメという植物か?これは」

「えぇそうですわ土竜様。(記憶に差異無く)今のところ順調に育っていますわ」


ニコリと笑うシュレイア家の次女、レインは相変わらず<つなぎ>という作業効率性の高い服を身に纏っている。


年頃の女性なのだがレインもアリアも貴族の女性にありがちな<お洒落>というものよりも<機能性>を重視するのだから本当に珍しい。


近年ではレインやアリアを尊敬する第四女のマリアも<つなぎ>を着るようになったとも聞く。


珍しいが、好感が持てるのも確かだ。



「レイン、茶を飲みたいんだが良いか?」

「勿論です。紅茶より緑茶のほうが・・・?」

「うん、頼む。外で飲むか?」

「本日は天気もいいですし外に茣蓙を引きましょうか。

茶菓子は、以前申し上げました小豆を使った菓子の試作品が出来ましたのでそれをお持ちしましょう」



シュレイア家を訪れると、視察の後は領主一家と茶をするのが数年前からの習慣になっている。

レインの作る新作菓子も、此処でしか流通していない茶を飲むのもとても楽しみだ



「あら土竜様、視察にいらしたのですね。」

「もうそんな時期か」

「アリアにキリク、久しいな。春桜会ぶりではないか?」

「「「お久しぶりです!土竜様!!!」」」

「三つ子も久しいな。それぞれ励んでいるか?このあたりでは追いはぎも夜盗も出るとは聞かないが・・・アルフォードもキリクも重々気を付けるように。

スティーブは医師の勉強中だったな。どうだ?難しかろう」

「遣り甲斐はとてもあります!!」

「何よりだな。」

「レインと共に最近は研究室に篭っているんだって??サディク。活発なお前が珍しい。余り篭って頭を使ってばかりいると禿げるぞ」

「適度には出てますよ!!土竜様!!禿げませんよ!!もし禿げたら毛生え薬開発します!!」

「らしい選択だな。程々に、な。」

「分かってはいるんですが、やっぱりレイン姉上を目指すとなるとそれ相応に努力しないと駄目ですし・・・まぁこれから頑張ります!!」

「その意気だな。世にシュレイア家の傑物といわれる三兄弟を兄姉に持つのだ。良い見本だろう。学ぶことをしっかり学んで生かしていけ。」

「「「傑物って」」」

「自覚なしか?キリク、アリア、レイン

今では国内より周辺諸国のほうがその異名を謳う。」



国内ではどちらかといえば<変わり者の領主シュレイア>のほうを耳にする。

対して外国ではその外交手腕と流通している珍しい商品からそれを生み出す三兄弟への評価が高く知れ渡っている。大地は何処までも続く為風龍と並んで土竜は情報通である。

最近交易を始めた隣国ローランでも上々の評判だ



「やっぱり兄上も姉上も素晴らしい方ですね!!!」

「本当にな。クリスたちもしっかり姉と兄を助けるのだよ。」

「はい!!」



元気な声がシュレイアの地に響いた


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