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田舎領主の娘と商人

「む・・・・・・・・・・・・・これで如何でしょうかな?」

「隣国有数の商家の貴方の、提示する額とは思えませんわ」

「これは手厳しいな・・・では、これで」

「お話にならないわ」

「むむ・・・・・・・・」



エーティスの隣国、ローランという国の中でも有数の商人、ロナウド・トーテスは、眼前で悠然と微笑むシュレイア家の長女に眉尻を下げている。

いかにも困ったという風だが長女に効くものではない。

取引の材料はシュレイアの次女であり、仕事内容で見ると実質ここの領主代理を務めるレイン嬢の作成した



<梅の塩漬け>

<梅の蜂蜜漬け>


である。ローランは世界でも有数の暑い国であり、毎年、一年で最も暑い大暑の月になると倒れる者ばかりでなく、死人まで出るほど暑さは深刻な敵である。

ロナウドは勿論、ローラン国民全員が暑さ対策を身に付けたいという思いは積年のモノである。


そんな折、龍の支配する国、エーティスの中で、最も近接するシュレイアの地に魔法の実があるという噂をロナウドは聞きつけた


シュレイアという領地は、ローランの中でもよく耳にする土地だ。


とはいえ話題に上がるのは二種類でその領地から輸出される商品と、その領地を治めるシュレイア家の傑物三兄弟のことだが。


その噂に名高い傑物の内の一人、シュレイア家の長女が商談に当たってくれた。

本来は外交などの担当はもっぱら最も優秀と名高い次女が行うのだが、あいにく次女は一週間ほど前から自室に閉じこもってなにやら開発をしているらしい。

実に惜しいことであるが、それでも傑物の内の長女に会える事は喜ばしいことだと、望んだ商談の席で、長女の実力を鑑みる結果となった。



折れない、絶やさない、見せない


それがロナウドから見た長女の印象だ。


決して商談において、相手を優位に立たせることなく、自身の望む最低限の事に関して一切の譲歩無く折れない。


悠然と、時には妖艶な笑みを絶やすことなく、表情により商談の展開が読めない


切り札どころか、カードの枚数すら勘付かせず、見せない



これが長女、アリア・シュレイア

なんという女性なのか




「これで、如何でしょう」


「・・・・・・まぁ良いかしら。では貴方を介して貴国に優先して輸出するわね。」

「よろしくお願いいたします」

「此方としても、隣国の商人と繋がり持てて嬉しいわ。基本的に私は領地から出ることは無いの。

これから他の産物も交易を望むのでしたら、次女がお相手するかと思いますわ。」

「次女殿、ですか」

「今は次の商品開発で部屋に籠もってるのだけど、この梅干もあの子が作ったのよ。

シュレイアでは既に専用農家もいるくらいだから、貴方を介して隣国に輸出しても問題ない数はあるわね。シュレイアの土地も暑くないわけではないのだけれど、ローランより遥かにマシだから、そこまで必要ではないのよね。必要に駆られて作っているのではなく、彼女いわく食べたいから作るみたいで」

「左様で御座いますか・・・」

「その梅干、なんだったか忘れちゃったけど、疲労回復に良い成分が入っているの。あと、勿論塩もね。暑くて汗をかくと汗と共に塩分が体外に出てしまうから、梅干で補給するといいらしいわ。

蜂蜜も高エネルギーだから体力回復にいいかもしれないわね。」

「そう、なのですか・・・お詳しいですね」

「私ではなく妹がね。色々知ってて不思議なのだけど、あの子はそういう子だと思ってしまうと、納得しちゃうのよね。得た物も多いし、何より私たちの家族だから信頼しているのよ」



それまで妖艶さすら垣間見えていた彼女の、柔和な微笑を見て、そこにシュレイアの実力を垣間見たような、そんな気がした

お久しぶりです。新しい生活環境でPCも携帯も電波が中々届かず・・・

更新できる場所(電波のある場所)を発見したのでこれからはそこで更新に努めたいと思います

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