閑話
土竜の漢字の読みに関する問い合わせがちらほら・・・読み方は<つちりゅう>。もちろん、漢字を土龍ではなく土竜にしたのは、管理人の遊び心です。するーして下さいませ
春桜会から戻って、何処までも続く長閑な光景に、ここがシュレイアの在るべき場所なのだと四人が四人共に認識した。
自分達に必要なのは、きらびやかな衣装でも、身を飾る宝飾でも跪く下僕でもない。自分達を慕い、頼ってくれる数多の領民であり、長閑な大地だ
自身を育んでくれた大地こそ在るべき場所。要約すれば暫く呼び出しが無い限りはパーティー等は御免という…彼等らしいが
戻ってすぐ、アリアはレースをあしらった庶民にも気軽に着れる衣装の作製に入り、レインは兼ねてから待ち兼ねていた果実の収穫の後、果実酒製造に入った。キリクは最近鍛え出したクリスや他の弟達と鍛練する
元の生活に戻ったのだ。
「杏子酒、花梨酒、桃のお酒も出来るかしらね?折角ですから色々試してみないと。」
梅酒はレイン自身が日本で生きていた頃、毎年の様に作っていた。梅干しも漬けていて、此方でも試した所、父母とアリア、クリスが好んだ。キリクや他の兄弟は酸っぱいのが苦手な様で代わりに砂糖漬けを作れば、此方は皆気に入ってくれた。
梅の砂糖漬けと梅干しはシュレイアの市場に出回り、最近では専用農家も現れている。新たな産物の候補になるだろう。
更にレインは近頃というか此処数年、菓子作りにも精を出しており、洋菓子もだが小豆に近しい植物を見つけてからは和菓子作りに精を出している。
恐らく米と思われる植物の栽培は幾つかの試験場を作って今年から開始した。同じ母が見つけて来てくれた植物の中には餅米に似た植物もあったから、今年の出来次第では本格的に和菓子が出来るかも知れない。
更にレインが執念…と言って良いだろう。
茶の栽培は既に行っている。
元々、英国のようにアフターヌーンティーの習慣はあったのだが、茶というには味気なく、レインにとって茶と認めるには少々、前世の茶への執着といえばいいのか、舌に肥えてきた日本人らしく妥協したくなかったのだ。
日本人として92年も生きたのだ。緑茶が無いとやはり嫌だ
もっとも、他領では今までの茶(仮)←やはり認めたくない。
故に、先日来訪した赤龍と樹龍には一般的な茶を出したが、本意ではない。
土竜はシュレイア家にふらりとではあるが訪れて長いので、今では緑茶を好んで飲む。
西洋系の顔立ちの美丈夫の土竜が和やかに緑茶を飲む様は、中々癒される。ここだけの話だが
同じように、昔懐かしい和食を再現するために大豆はあるので(豆は主食にもなるので豊富にあるのだ。)醤油・味噌を作り、自身の利用する程度にはすでに完成されており時折食卓に並ぶ。
さらに米が上手く出来る様になったら日本酒も作ってみたい。
そんなレインのひそかな野望を知るものは、現時点でもちろんいない。
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