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貴族と民とシュレイア家

唐突だが、シュレイア家について客観的にみると、

それは民と貴族とでは印象が大きく違う事を記しておこう



貴族は、夜会やパーティーにめったに出席せず、貴族らしからぬ普段からの振る舞いを聞いては嘲った



貴族は、貴族として生まれたことがすでに選ばれたものという選民意識が働く

貴族とは何をおいても黄龍に絶対忠誠を誓い己の血を守ることこそ、仕事だと考える

故に黄龍の元に滅多に馳せ参じず、己の尊厳よりも自領の自治にあたるシュレイアの者は貴族として欠陥だと判断している



一方、シュレイアの民は他領の民に羨ましがられていた。

シュレイアの地は田舎にも関わらず上下水道の整備がされており、治安もいい。

特産物もあり、誰もが等しく医者にかかる事も出来る。


更に、領主もその一家も民に近く、要望も通り易い上に要望の上を行く整備を何時もするシュレイアは慕われない訳がなかった。



特に次女レインは民の中でかなり人気がある。彼女は親しみやすくまた知識人だった。



治安の向上の為に必要なのは職。と考えた彼女は彼女の知識から新たな雇用を生み出し仕事にあぶれる者がいなくなった。

更に新たな雇用で製造された商品は現在驚く勢いで販売されている。生産が追いつかないほどなのだ



かといえば他の兄弟もかなりの有能だった。


長兄のキリクは主に実動隊での治安維持を指揮している。

田舎であるにもかかわらず、治安が良い理由の一つはこれだ。


実動隊とは言ってもそのメンバーの内実は二足草鞋の民だ。昼間働いている者は夜の巡回を

夜働いている者は昼の巡回を。

毎日交代で実施されおかげでこの10年程犯罪らしい犯罪も、山賊や盗賊の類もシュレイアの地を荒らしはしなかった。



長女のアリアは畜産牧畜の面で指揮をしている

今までは一定の区画の草を食べつくしたら次へ移動としていたのを、牧草を育て、常に同じ場所で飼うようレインが提案しアリアが指導した。レインは提案後口を出すことなく、アリアの溢れるほどの発想力で知識の無さはカバーされた


指導を経た御蔭で、裸の大地はなくなった。

更には餌の配合の指示をしたり、より美味い製品の開発を行っているので、この地の産物は他領でかなりの人気だ





黄龍は民の声も貴族の声も聞く。

(一番は直接見て来る龍達の言葉だが)



故に今までシュレイアに関しては少し変わった貴族にんげんとしか思っていなかった。



しかし次女レインが赤龍を救ったと聞き、是が非でも会いたいと思ったのだ。



しかし黄龍自ら会いに行く事も、呼びつけるのも都合が悪かった。



そんな事をしてしまえばシュレイアを特別視しているのではないかと貴族達に訴えられるからである。

そんな面倒はごめんだ。貴族はしつこいのだ



どうしたものかと思案していれば、会いたいと思っていたレイン含め四人の兄弟が春桜会に出席するという旨の書が届いた。



これは好都合だと黄龍は酷く楽しげに笑んだ



「黄龍様?なにやら楽しそうですね」



「シヴァ、シュレイアの四人の兄弟が来ると書が来た」



「ホントですか?そりゃいい!赤龍の奴もそわそわしてましたし。」



「だが当日までは内密にしておこうと思うのだが」



「それは面白そうですねぇ」



にんまり笑う二人はまるで悪戯小僧のようであった



まだ見ぬ赤龍の恩人たちへ思いを馳せ、春桜会は近づいてきたのであった。

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