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田舎領主一家

赤龍が樹龍と帰還し一番惜しんだのは末の弟だった


弟の名前はクリス


見た目は可愛らしい女の子の為か、カッコイイ男性に憧れるらしく、赤龍に対して兄姉弟妹の中で最もなついたのだ。

「姉上、赤龍様はもういらっしゃらない?」

クリッとした大きな目で見つめられ、レインは苦笑しつつも大丈夫。と言った

「いずれ、いらっしゃると仰っていたわ。

それに樹龍様のカンジからしても又いらっしゃると思うのよね」

何より、

「会おうと思えば会えるわ。春桜会が近いし」



「そんなのもあったわね」

「「姉上」」

新たな声にクリスと振り替えれば、長女と残りの兄弟妹がいた

「夕飯よ二人共。話の続きはそこでね」

「今日の飯は俺とフェリが作った。冷めた飯なんざゴメンだ 」


兄が言えばそれもそうかと食堂に移動する。視察から帰ってこない母と父を除く全員を待たせていたようで、育ち盛りも多いのに。とレインは少し話し込んでいた事を後悔したのであった。



「姉上、春桜会って何ですか?」

クリスの改めての疑問に長女長兄次女の三人は顔を見合せた


「一度は行ってるハズよね?」

「ちゃんとパーティデビューはしたけど、確か4つか5つじゃなかったか?」

「基本私達、パーティーなんて出ませんものねぇ」

上から長女長兄次女の順である



「えっと春桜会ってのはな、季節折々に黄龍様主催のもと、王宮で行われるパーティーの事だ

春にあるから春桜会。夏には夏涼会、秋には秋紅会、冬は冬雪会な」


「参加は自由の貴族のパーティーよ

黄龍様や八龍様、上級貴族に下位の地位の者が媚を売る場かしら」


コテン、と可愛らしく首を傾けた姉。言っている内容のせいで可愛さ減である


「姉上、ザックリした説明ですね…



いい?貴族の子はこういうパーティーで御披露目してパーティデビューするのよ。

ウチも全員デビューは終わってるのだけど、基本年長者は皆、興味ないからデビュー後は余程じゃない限り出席しないわねぇ」


レインの台詞に頷く年上面々


「確かに、美味しいご飯はあるけど。貴族の自慢話や腹の探り合いなんて面倒ね


八龍様方に取り入る理由もないし、現状満足してるから、ウチで毎回出るような奇特な人は両親含めいないし貴族同士で結婚する縛りもないし、まぁ縁遠いのよ


私も二回行ったきりでレインも二回でしょ?キリクに至っては一度だけ」



「マナーは学ぶけど所詮それどまりだしなあ」



つまり現状満足



一家揃って貴族らしからぬ面々だ



しかし、貴族としての評価は高い

領主夫妻を筆頭に、長兄キリク・長女アリア・次女レインは文武両道で実質業務の半分を受け持つ。


領地の整備や開発、治安向上、生活向上は田舎にあるまじく進んでいるし、特に生活向上の面は現代知識を持ち込んだレイン中心に著しい。



下手な領地より豊なのである。

おかげで領民からの支持も厚く、良心的な貴族で通っている



「クリスが赤龍様に会いたいなら、次の春桜会に出席する?」

「出席したいです!姉上!」

立ち上がって片手をあげてまで主張する弟に微笑む。


「なら私がパートナーでいいかしら?皆どうする?」

「良い機会だから私も出るわ」

「俺も出るか。アリア、パートナー務めてくれ」

「了解

領地の仕事は終わらせないとね。せっかくだし王宮の近くの街で観光したいし」

やる事は山積みだ。



「パーティー用の衣装作らないとねぇ。クリス、後で採寸するわよ」

「レイン並に私も裁縫の腕があれば良かったわ。母さまに頼みましょう」

「明日には布屋に行かないといけないわね。母さまいつ御帰りになるんだった?」

「明日の朝一よ。」


此処で布屋を呼びつけるのではなく行くのがこの家の特徴である



「王宮に春桜会の出席届を出さないとな。



・・・しかし何時振りだ?王宮行くの。」

「覚えてないわ。下の子たちの誰かしらの付き添いで一回は余計に行ってるはずだけど。

昔はパーティー行くの死ぬほど嫌だったもの。」

「あの頃はまだ領地整備が完全に整ってなかったせいで、何もない土地でしかなかったからな。他の貴族からの嫌みはやたら飛んできたな。」

「ふん。今回は馬鹿にされる私ではなくってよ!!」

高らかに宣言した姉に苦笑し、レイン自身も良い思い出のないパーティを思い出す。


同時に、思い出すのはその嫌がらせの様な陰口叩かれたり、たまに面と向かって言われたりしたおかげで、シュレイアの土地改良に現代知識を持ちだすと決め事だ。


レインからしたら、まだまだヒヨッコな醜い貴族に対し、レインの無いと思われた堪忍袋の緒が音を立てて切れたのだ。小童め、目にものを見せつけてやる。と



普段おとなしい人間ほど、怒らしてはいけないものなのだ。

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