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FACELESS フェイスレス 〜身元特定不可能の殺人犯、顔不確定のヒューマノイド、年齢偽装の令嬢、スパイのバディ~  作者: 路明(ロア)
06 チョコレート,チョコチップ,チーズケーキ

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Chocolate,Choc Chip and Cheesecake2 チョコレート,チョコチップ,チーズケーキ2


「会話内容まで感知すんの使ってんのか。通信法でかなりグレーだと思うが」

 アンブローズはタバコを指ではさんで吸った。



「スクエアーは軍にとってもお役に立てる性能を有していると思いますわ。保安庁が乗りだすようなことはしないほうがお得ですわよ」



 アリスが言う。

「軍人を脅迫か。すげえ八歳児だな」

 アンブローズはゆるく腕を組んだ。

 アリスがジーンをチラリと見る。


「あなたくらい有能でいらしたら、応援なんて必要ないと思いますのに」

「いる。いつまでも上官に連絡係のまねごとさせるわけにもいかん」 


 アンブローズはそう返した。

「ご自分で応援を要請なさったの?」

「自分で言ったが」

「ご自分を過小評価しすぎですわ」

「お嬢さまが過大評価しすぎだ」

 アリスがかわいらしく肩をすくめる。


「ブランシェット氏はお顔はよろしいけど、軍人としては性格が優しすぎるきらいがありますわね」


 アリスがリビングに入る。背伸びをしてテーブルの上に持参のケーキ箱を置いた。

 完全に勝手しったる感じでイスの座面に手をつきすわる。

 


「同感だが、あの人は何をしても敵だけは作らんという、上役としては最強な特技がある」

「お紅茶、お願いできます?」



 アリスがそう注文する。

「きょうはスイート・ティニー・メイデンのチョコチップ・チーズケーキ期間限定カレンベリーとシブーストクリームお持ちしましたの」

「Cの多いネーミングだな」

「お客様がきているのなら、知らせてほしかったわ」

 アリスが唇を尖らせる。

「くるまえに連絡すればすむ話なんだが」


「これから頻繁(ひんぱん)に出入りするようになるかたなら、こんどはこのかたの分もお持ちしますわ。二人で過ごすにはお邪魔なかたですけど」


 アリスにチラッと睨むように見られて、ジーンが鼻白んだ表情をする。

「いままでの数量でOKだ。俺は食わない」

「そちらのかたは? いちおう味の好みを聞いて差し上げますわ。お邪魔ですけど」

 アリスがもういちどジーンのほうを見る。

「ジーンと言うんですけど。お嬢さま」

 苦笑しながらジーンが名乗る。

「こいつは手土産を食わせてもだいじょうぶだ。お嬢さまと同じで、砂糖のかたまりに平気で口をつけられるやつだ」


「もう好みを把握していらっしゃるの? いつから組んでいらっしゃるの?」


「初顔合わせは十日くらいまえか?」

 アンブローズは、タバコをくわえた。


「わたくしの好みを把握するのは一ヵ月かかったのにですの?」

「甘いもの好きって情報を脳が拒否した」


 アンブローズは横を向いて煙を吐いた。



「いや……そうじゃないんだよねえ」



 アンブローズの背後から、ジーンがおもむろに両腕を回す。

 恋人を抱きすくめているかのような、怪しげなしぐさだ。

「おい……」

 アンブローズは顔をしかめた。

 横目で背後を睨み、抗議の意思を示す。


「おたがいに出逢った瞬間から引かれ合ったというか……どうしようもない情熱を感じたというか……」


 ジーンがそう言い、頬にキスするふりまでする。

 アンブローズは、顔を横に逸らした。


 アリスが大きな青い目をぱっちりと見開き、二人の様子を見つめる。


「子供には分かんないだろうけどさ」

 ジーンはそう言い、アンブローズの後頭部に顔を埋めた。

 かすかにふるえる腹部が背中にあたる。

 何がおもしろいのか知らんが、笑いをこらえながらやってんじゃねえ。

 アンブローズは内心で毒づいた。



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