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監獄ダンジョンの攻略  作者: クラノ恩樹
【第1章】 上層にて
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第5話 地下9階まで

「オルケラさん、本当に今までありがとうございました!」


「そうか、ついに行くんだな。……気を付けてな、コットン」


オルケラさんはヘンプの旦那と同じくらい良くしてもらった看守さんだ。

ちょうど当番だったから、ちゃんとお礼が言えた。

これで心の(つか)えを残さずに済む。


オルケラさんは何かを言おうとした気がしたが、結局、振り返ることはなく立ち去ることにした。


「あ、あのさ……!」


「ん?」


なんかひ弱そうなやつに声をかけられた。

誰だ、こいつ?


「……この前は、パンをくれて助かった」


ああ。

イーガンの横暴に突っかかって飯抜きにされた新人か。


「あの事なら気にしなくていいですよ。あと、イーガンを相手にするのは止めた方がいいですね。多少汚れてたってパンやベーコンは食えます。でも、飯取り上げられたらロクに動くこともできないですから」


「ああ、そうだな。とりあえずあいつには逆らわないでおく。とにかくこの間は助かったよ。ありがとうな」


それで俺たちは別れた。


後になって改めて礼を言われるなんて珍しい。

根は良い人そうだから、強く生きていってほしいものだ。


ひ弱そうだけど。


さて、気を取り直して行くとする。

これが俺の旅立ちだ。



俺の手には、変異種ゴブリンから手に入れた【バスタードソード】がある。


この剣は普通の片手剣よりもやや重く、柄が長い。そのため、片手でも両手でも扱える武器だが、俺には両手持ちの剣の経験がない。

これから、訓練して慣れていく必要があるだろう。


試しにゴブリン相手に振り回してみたが、その重量感がしっかりと手に伝わる。

切れ味もこれまで借り物の剣とは段違いだ。


「少しずつ。それが大事だよな」


何度かその使い心地を確かめた後、地下5階への入り口に視線を移した。


地下4階から初めて先へ進む。


期待と不安に胸を膨らませていたが、地下5~8階は正直言って拍子抜けした。

メインで出現する魔物がゴブリンだったからだ。


スライムも相変わらず出現したし、変わったことと言えばビッグラットの大きい版であるラージラットになったことくらいだ。


ラージラットはセントバーナードくらいある。

最初見たときはかなり緊張したが、重量感がある代わりにスピードが落ちるためラージラットよりも戦いやすい。


毛も皮も厚く借り物の剣では傷つけるのが難しそうだが、レベルも上がっているし攻撃力のある固有武器もある。

何の問題も無かった。


そして、今のレベルとステータスはこんな感じだ。


「ステータス」

―――――――――――

コットン 16歳 男

LV:9 

力:27

速:31

魔:19

EXP:9,180Pt


―――――――――――


「体がもの凄く軽い」


ステータスの上がりがこんなに動きに影響が出るとは思わなかった。


「やっぱり、もっと早く進んでいればよかったかな…」


人の話はちゃんと聞こう。

心に決めた。



地下9階。


地下4階を卒業して、初めて苦戦する相手に出会った。

岩ワニという魔物だ。


この岩ワニはその名の通り体が岩のように硬い。

関節部分は刃が通るようだが、バカ正直にそこを目掛けて剣を振るっても、向きを変えられて硬い表皮で受けられてしまう。意外に動作も機敏なのでなかなか思うようにいかない


「……………」


相手が動くたびに、関節の隙間が微かに開く。


「……よし」


俺は自分から攻撃を仕掛けることを止め、岩ワニからの攻撃のカウンターを狙う事にした。

突進をギリギリで避け、弱点である関節部分をバスタードソードで一刀両断しようという作戦だ。


「ここだッ!!」


狙いを定め、渾身の力で斬りつける。


ズバンッ!!


「グギャアアアアア!!」


手ごたえあり。

頭と首の境目に刃が深く食い込み、岩ワニは大きく悲鳴を上げる。


続けざまに同じ箇所を狙い、もう一撃。


――ズバァン!!


岩ワニは悶絶し、ついに動かなくなった。


「ふぅ……ようやく倒したか」


少し汗を拭いながら息を整える。


岩ワニはかなりの強敵だったが、経験値の高さも桁違いだった。


俺はステータス画面を開き、確認する。


「ステータス」


―――――――――――

コットン 16歳 男

LV:10

力:32

速:35

魔:22

EXP:10,680Pt

―――――――――――


「……上がってるな」


地下4階で停滞していた頃とは比べ物にならない成長スピードだ。

固有武器とレベルに感謝である。


少し長めに休憩を取り、岩ワニ対策のおさらいをする。

体力のあるうちに地下10階に行きたいが、ゴブリンとは一味違う岩ワニとのタイミングを体に覚えさせたい。


「もう何匹か相手になってもらうか」


岩ワニの攻撃パターンを学習しながら、首だけではなく、足や尻尾の付け根などの弱点部分への攻撃を試す。

10体ほど狩り、レベルアップしたところで岩ワニとの訓練を終了することにした。


「もう、二日くらいになるよな……レベルが上がってるからか?」


不思議なことに、出発してから既に40時間ほど経っているが、まだ動けている。

空腹や疲労への耐性も上がっているのかもしれない。


―――――――――――

コットン 16歳 男

LV:11

力:32

速:35

魔:22

EXP:12,180Pt

―――――――――――


さて、地下10階である。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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