110番
俺は警察官。町の平和を守る立派な警察さ。
パトカーを乗り回し、見回りをするんだ。
今日も巡回──
ピロロロ ピロロロ♪
110番だ! 電話の部屋に駆け込む。
3つのモニター、タッチパネル、座ってヘッドセットをかける。
警察「はい110番です。事件ですか、事故ですか?」
婆「あんのぉ〜」
警察「警察です、ご用件を」
婆「あんのぉ〜、猫ちゃんが」
はい?
婆「猫ちゃんが、川の真ん中で、出られないの。」
うわぁ、また猫か。
警察「はあ……お名前とご住所を」
婆「名前は、言いたくないの」
言わなくても自動で記録されるけどね。
警察「分かりました、すぐ行きます」
近所の広めの川、真ん中の離れ小島、確かに猫がいる。
黒い長靴履いてジャブジャブ入る。
猫に近づくと、びゃぁと走って逃げて行った。
警察「ええ〜……」
なんてこった。
少々やるせない気持ちを引きずり警察署に戻るのだった。
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ピロロロ ピロロロ♪
警察「はい110番です。事件ですか、事故ですか?」
男「もしもし、イノシシに突っ込まれた、早く来てくれ」
………
パトカーを走らせると、バンパーがひしゃげた車が。
イノシシのものと思われる血痕もある。
法律上では対物事故。
保険に入っていれば……ああ入っているんですね。よかったです。
はぁ、帰ったら書類書かなきゃ。
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ピロロロ ピロロロ♪
警察「はい110番です。事件ですか、事故ですか?」
男「あのぉ、道路に男が倒れてるんですけどぉ」
パトカー走らせ現場へ行くと、確かに男が倒れている。
酒臭い。
若者「う゛う゛〜ぁぁ〜」
はいはい酔っ払いですね。
警察「大丈夫ですか、お兄さん」
若者「うがぁ〜」ブンブン
警察「起きてください」
若者「うがっ〜ふぃー」
え、この異臭、コイツ、漏らしやがった!
パトカーには乗せたくないなー
警察「ほら、行きますよ」
しばらく時間が経つと、酔っ払いは歩けるようになった。
そのまま家まで見届けて、警察署に戻るのだった。
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ピロロロ ピロロロ♪
警察「はい110番です。事件ですか、事故ですか?」
おばさん「暴走族が出たの。何とかしてちょうだい」
ブゥン ブゥン
バイクが9台くらい走っている。
騒音、ブンブン鳴らして走る、いつもの暴走族だ。
ウウゥゥゥゥゥゥーーー!!!
パトカーで追いかける!
ウウゥゥゥゥゥゥーーー!!!
サイレン鳴らして追いかける!
警察「止まりなさい、前の車、止まりなさい」
暴走族、逃げる。慌てて逃げる。
ここで相手を事故らせてはいけない。
あまり追い詰めずに程々に追いかける。
ブゥゥゥゥゥゥン!!!
ウウゥゥゥゥゥゥーーー!!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!!
ウウゥゥゥゥゥゥーーー!!!
ブゥゥゥゥゥゥン!!!
ウウゥゥゥゥゥゥーーー!!!
市外まで逃げたぞ、あ、隣の警察と挟み撃ちになった。
暴走族はこっぴどく怒られてしまいましたとさ。