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運命はいつも。

作者: 奈々


大好きなものがあった。

大切にしているものがあった。


それらは時が経つと、壊れていく。

それでも、大切だと思ったことは事実で

大切にしていたことも事実。


その尊さが私にとっての「大切なもの」

_______________________________________



冬の公園、私は座り考える。

君と手を繋いで歩いた日々のこと。


下らないヤキモチで困らせてしまっていたね。

あれから君はどうしてたのかな。


私たちが出会ったのは3年前。

恋人になるのに時間はかからなかった。


彼には大切な家族がいて、

私自身も未来を望むような恋愛を考えてはいなかった。


安易に始めてしまった2人の恋愛。

お遊びだったのかもしれない。

恋に恋していただけだったのかもしれない。


私は一目惚れだった。

他の人には感じない、不思議な胸のざわめきが

後先も考えさせずに、ただ、彼を欲しいと願った。


今考えればとても、愚かな行動だったと思う。

でも、一緒に過ごした時間や交わした言葉は宝物のように今も私の胸の中にある。


元より、いつかは別れなければいけないと

思っていて、彼の大切なものを彼を想えば想うほどに傷つけていたのだ。


でも、なぜ

彼が背負わなければいけなかったのだろうか。

そう文句の一つも言いたくなる。


どうか、来世では本当の恋人になりたい。

そう願う権利などない事もわかっていても

わがままな生き物なのだ。


私は最低の人間だ。


彼と付き合い始め、好きな気持ちが増していった。

だからこそ、別れを意識した。

付き合いが一年を過ぎようとしたとき

彼に告げられた言葉。


「癌になったんだ」


初めは意味がわからなかった。

彼はとても元気だし、異常なんてどこにもない。

再発していて、現状は最悪だ。そう言っていた。


それなら、今まで通り過ごしていれば

また戻れるんじゃないの?


全く知識がない私はそう言った。


「もう、君のことを気遣ったりする余裕はないと思うんだ。一緒にいるのも本当はずっと辛かったんだよな?ごめんね。俺は最低だ。」


意味がわからなかった。

離れていくなら私の方だと自分で思っていたからだ。


別れを意識するたびに私は胸が痛くなり

彼にきつく当たる日もあった。

だけど、こんな別れ方はあまりにも残酷だと、誰かのせいにでもしたくなるような現実だった。


考えてはいけない。

わかってはいたが、もし、私が彼の家族ならそばに居て支えられるのに。っと自分の立場を改めて実感させられた。

どうして、私じゃダメなんだろう。っと。


私にはそばにいる権利など元よりない。

できることは、別れること。それだけだ。


わかっていたのに、こんなに辛いなんて

想像力が乏しい私は知らなかった。


世の中には"ただ好き"という言葉では

整理のつかない事がとても多い。


彼に選ばれることはないことも、

重荷になり始めていたこともわかっていたのに。


それから1週間後、彼から入院をすると連絡が来た。

それっきり会うこともなく連絡は途絶えた。




下らないことで笑ったり、

美味しいものを一緒に食べたね。

家族思いの君は、私のことを忘れてしまうことも多かったのかな。

そんなところも、好きだったんだよ。


今本当は生きていて、私のことを思って目の前から立ち去ったのかもしれないね。

本当は、気付いていたよ、君の手術痕。

よく頑張ったね、また辛いかもしれないね。


恋人にもなれやしない中途半端な私。


ズルくて、優しい、ダメな彼。


人は強くはない。強くもなれやしない。

神様、罰を与えるのならどうか、平等に。


惹かれ合う事を知っていたのではないですか?

どうして、出会わせてしまったのですか?


なんて、自分の罪からまた逃げようとしている。


他人の気持ちなど知らないし、知ることはできない。

彼に愛されていたかなんて彼しか知らない。

彼の1番は常に彼の家族だった。

だから、そんなに彼を責めないでください。


少しだけ信じたくなってしまった。

君と私は時折は恋人だったよね。

今更、そんなこと気付いても遅いことはわかっていた。


いつも、泣いてばかりでごめんね。

未来とか結婚とか私はまだ分かりそうもない。

でもね、一緒にいたいと願っていた。


出会い方が違えばまた違ったのかもしれない。

そんなもしもを考えるよりも今を生きよう。


彼が、悔しがってしまうような女になろう。


きっと、来世でまた会おう。

そのときには、

今よりも残酷な現実が待ってるかもしれない。

でも、君に会うためなら、それも悪くないね。


また、美味しいコーヒーを淹れてよ。

君のコーヒーは世界一美味しいから。





最後までお読みいただきありがとうございます!

不快な思いなられた方には謝罪します。

申し訳ありません。


今回は冬ということで…人肌が恋しくなるようなのを書きたかったのですが気付いたらひたすら感傷的になってしまいました。


不倫はドラマや小説、音楽になる程に

身近な罪です。

女性目線で書かせていただいています。

なんと言いますか…恋は盲目です。


寒い季節になりましたので、

暖かいコーヒーを飲みながら休憩してください。

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