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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
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主人公たちの戦いの裏で…

三人称視点になります。

 ツバサとシンが森の奥深くに飛んでいく。

 ミカはナイフを片手に、アミは鉄の棒を両手に、ナギは投擲武器の尖った短い鉄の棒を、指に挟む。

 シャルとミーシャも、戦闘態勢に入る。しかし…

 獣人たちは逆に武器をしまう。そして…


「私たちは、あなた方と戦う気はありません。そんなことより…おやつにしませんか?」


 ココは笑顔でそう言った。





 戦闘状態を解かず、ココに着いていくメイド達。シャルとミーシャもいつでも動けるように構えている。

 森に入っていき、しばらく歩くと、森には不釣り合いな、小屋があった。

 白い木で作られており、全体的に四角く、平らな平屋のような建物だった。真四角な窓が所々付いており、少し大きめなドアがついていた。

 ココがドアを開け入ると、大きな丸いテーブルと椅子が11個置かれている。


「お好きな席にどうぞ?シャルさん、ミーシャさん、スピカ王女、ミカさん、アミさん、ナギさん」


 そうココは椅子を促し、獣人たちは席に座る。そして…


「シャル、ミーシャ。久しぶり」と二人を、なぜか頭をさすりながら、サーニャが迎える。

「「サーニャ!?」」


 と三人は抱き合う。


「どうしてサーニャが?」とミーシャはまだ困惑している。

「みんなのおかげで、ココに会えたよ。ありがとう」

「そっか…よかったわね」

「とりあえず…シャル離して?みんな椅子に座ろ。紹介したい人もいるから」


 サーニャに促され、シャルたちも椅子に座る。


「とりえず自己紹介しますね。私は狐族のココです」

「同じく狐族のミーコです!」

「犬族のシユだよ」

「蝙蝠族…リリア」

「私たちは…そうですね、あなた達のツバサさんと同じ世界から来た、シンを愛してる者たちです」


 そう獣人たちは自己紹介する。


「あなたがココね。で?私たちの事は知ってる訳ね」

「ええ。もちろん知ってます。これはシンの作ったこーひと、しふぉんけーきです」


 そういって、コーヒカップと切り分けられたシフォンケーキをみんなに配っていくココ。


「にが…いけど…おいしい?」とシャルが顔を歪める。

「私はこのままの方が好きですが…苦いのが苦手な方はこちらを」


 ココはミルクピッチャーを配り、黒い角砂糖の入った容器を置いていく。


「おぉ…これを入れると、甘くておいしい!」とシャルが喜ぶ。


 メイド達も恐る恐るミルクと砂糖を入れて飲む。


「「「おいしい…!?」」」


「ケーキの方もおいしいので、是非食べてみてくださいね」


 獣人たちはもう食べ終わり、おかわりを勝手に取りに行っている。シンはかなり多めに作っていたようだ。


「おいしー!!」とシャルもモグモグ食べ、おかわりする。


 それに釣られて、ミーシャもスピカもメイド達も、食べ始め…しばらく無言で全員ケーキを食べ続けた。


「ふぅ…で?これは何が目的なのかしら?」とミーシャが口にケーキのカスを付けたまま喋り出す。

「別に…モグ…目的とかは…んっ…ないですよ?」とココがまだケーキを食べながらしゃべる。

「お兄ちゃんは、甘いもんでも食べながら、女子会でもしておいでって言ってたよ?」シユがまたケーキを切り分けながら言う。

「じょしかい?ってなにー?」シユに切り分けたケーキをもらいながらシャルが聞く、

「女の子同士で、お話しすることだそうです」とミーコがコーヒーカップ片手に喋る。

「ケーキがおいしすぎて…話…できない」とケーキを丸ごと持ってくるサーニャ。

「まるごとは…ずるいです…」と悲しそうにサーニャを見るスピカ。

「スピカ様。こちらに確保しております」

「抜かりはないです!」

「これどうやって作ってるんだろう…ほんのり甘くて、癖になる。なのに味が薄いわけではなく濃厚で…気になる…」


 ケーキが無くなるまで…女子会どころではなかったようで…なくなるまで、彼女たちはひたすら食べ続けるのだった…






「「「「「「「「「「「ふぅ…幸せでした…」」」」」」」」」」」


 謎のご馳走様を終えてやっと話が始まる。


「さて…とりあえず一つ言えるのは…シンはツバサさんを殺す気もないし、ツバサさんにシンは殺せないので安心してもらって大丈夫です。多分?」コーヒーを啜りながらココが言う。

「多分って…」ミーシャが呆れた顔でココを見る。

「シンはたまに、私の予測を外れますからね…まあ大丈夫でしょう」

「信頼はしてるのね…で?あなた達が、彼のお嫁さんなわけ?」

「シャルたちは皆、ツバサのおよめさーん!」

「「「そんな…恐れ多いので…」」」

「私と…ナギもやっと…愛してもらえた…です」


 ツバサの嫁達は、嬉し恥ずかしそうに語る。


「想ってる人に愛してもらえるのは…羨ましいですね…」とココが寂しそうに言う。

「ツバサは優しい」

「お兄ちゃんだって優しいよ?」

「まあ…先生は訳アリですし…」

「私たちは…まだ…シンのお嫁さん…じゃないの…よ?」


 俯いて悲しそうにする獣人達。


「こんな可愛い子たちに囲まれて?訳あり?」

「シンも可愛い…って言ってくれるんですけどね。じゃなくて…その…彼は死ねないんですよ。そう言う体なのです」

「死ねない?アンデットか何かなの…」とミーシャが少し震える。

「そういえば…ツバサがグサッってしてもぴんぴんしてたね?」とシャルが顎に人差し指を置いて考える。

「彼は、自分が死ねないなら、生きる価値はないと思ってるようで…ならば私たちに振り向いてもらうために…彼の死を探す旅に協力しようと…」

「それは…辛いわね…」ミーシャが辛そうな顔をする。


 自分の立場で想像したのだろうか。


「大丈夫ですよ。これは彼の為であり…そして私たちの為でもある。彼の為に役立てるなら、私たちにとってそれは、嬉しい事です。そしてその為に、あなた達の夫、ツバサさんの力が必要なのです」

「ツバサなら、きょーりょくしてくれるよ!」

「そうねシャル、でも…なんで最初に敵対するようなことをしたの?ツバサは優しいけど、その分、敵には容赦しないわよ?」

「…私の所為」

「サーニャの?」

「サーニャは…シンと会った瞬間…魔物になったの…シンが元に戻して…くれたけど…ね?」


 そう言ってリリアはサーニャのチョーカーに触れる。


「…魔物に…?」

「サーニャはサーニャだよ?」

「私は…私の中に獣を飼っていたの。そしていつか私は、その獣と変わる。そうなったらもう…魔物と変わらない」

「…なんで言ってくれなかったのよ…」

「怖かったから。あとは…奴隷の首輪の力なら…そうなった私を、すぐ殺せると思ったから」

「私たちがそんなことで…サーニャを見捨てるわけないじゃない…っ!」

「そうだよ!サーニャが怪我させても、シャルが治すよ!」

「ありがとう…そう言ってくれるのが分かってて、私は覚悟してた。この人達だったらいいかなって…ココに会えなくても…」

「サーニャ!!」とシャルがサーニャに抱き着き。


 そのまま椅子に座る。


「サーニャのばか!もうはさないからね!!」

「シャル…痛い…」

「だめ!ゆるさないよ!」

「しばらくそうしてなさい。馬鹿サーニャ」とサーニャの頭を撫でるミーシャ。

「ふふふ…シンが見たら…サーニャはシャルに…預けられそう…ね」


 楽しそうに笑うリリア


「それは…困る…」

「そう言うわけで…サーニャをけしかけたツバサさんに、シンは怒ってる訳です」

「それは…私からも謝らないとね…」

「大丈夫ですよ。シンは本当に怒ってる訳じゃないと思います。ただ…ケジメはつけないと…サーニャに謝って終わりじゃ、示しがつかないと思っているんでしょう。シンが、悪役に徹せば、お互いギクシャクしなくていいでしょう?」


 シンは怒れないサーニャや、ツバサたちの為に、自ら怒り、ツバサを殴ると決めたのだろう。


「不器用な優しさね」と苦笑するミーシャ。

「彼は結局、根は優しいのですよ…どんなに悪役ぶっても…」

「そんな彼に惚れたのね…サーニャあなたも…」

「ん。でもちょっと後悔。シンは面倒くさい」

「私は先生の、その面倒くささが好きなんですけどね?」

「ミーコとココは、面倒を見るのが好きだからね~私はお兄ちゃんといると楽しいからかな?」

「私は…シンがいないと…生きてけない…から」

「想われてるわねー」

「シャルだってツバサのことを想ってるもん!」


 それからは、本来の女子会と言うべきなのか…お互いがお互いの、想い人の自慢話を、延々とするのだった。

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