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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
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初めてのお酒

 帰り道は、盗賊の襲撃はほぼなく、のんびりと首都に向けて帰って行った。

 馬車の中で、猫族の獣人が、かわるがわる僕の前でしゃがみ込み、膝に頭を乗せて、顔を擦り付けていた。

 ついつい頭をなでなでしたり、頬や顎のあたりを撫でてしまうのは仕方ないよね…可愛いなぁ~

 横にはもちろん、シャルとミーシャが座っている。


 20日ほどかけて、首都に到着する。この後、メイド達と合流し、魔女王の元へ向かう。

 冒険者ギルドに行く前に…先にカペラさんの所に向かう。


「ツバサ様…ご無事で…」とドアが開くなり、スピカが抱き着いてくる。


 頭を撫でてやり、続いて横にいたメイド達も、抱きしめてあげる。


「予想より時間がかかっちゃってね…待たせてごめんね?」

「ツバサの所のメイドさんはとっても頑張ってくれたわ…?返すのが惜しいくらいに…」とカペラさん

「お役に立てたようで何よりです…代わりというわけではないのですが…この子たちをカペラさんの所で雇っていただけないでしょうか?」


 獣人の三名を紹介する。最初はいろいろ教えるのが大変そうなので、その費用として、金貨10枚ほど渡す。


「構わないけど…その子達は…ツバサを慕ってるんじゃないの?」とカペラさんが言う。


 確かに可愛いし…僕の傍に置いておきたい気持ちもあるが…


「多分助けてもたっらという、一時の感情だと思うんです。落ち着くためにも、僕は離れたほうがいいと思いまして…」

「そう…分かったわ。その辺は私に任せてもらうね。さあ上がって、夫が君と話がってるのよね」

「ではお邪魔しますね」


 前に案内されたリビングに、少しやせ気味の男性が座っていた。


「やぁ。ミカヅキ卿。君のおかげでやっと一段落したよ」

「いえいえ。ファルネウス卿のお役に立てたのなら幸いですよ」


 彼はシールズ・ファルネウス卿。この国の公爵様だ。貴族として一番上の爵位と言えばわかるだろうか?

 僕はあまり興味はないが…


「私の妻も、妹と少し暮らせて楽しそうだったし、それにいいメイドを持ってるね。彼女たちはまだ未熟だが、光るものがあって実にいいね」

「お気に召したなら幸いです。そして、彼女たちの事を、よろしくお願いします」

「「「よろしくお願いします。旦那様」」」

「ん?獣人か。猫族は割と奔放なのだけどね。まあ君の頼みなら断らないさ」

「ありがとうございます。ファルネウス卿はその…魔人種族なのにそう言う差別はしないのですね?」


 魔人族は魔力量の低いものを下に見る。なのに人種族を娶っているのだ。


「はは…そうだね。カペラは一目惚れだよ。魔力なんて見る暇もないくらいにね。カペラを娶る為に、たかが一人の伯爵が、公爵まで上り詰めたのさ」

「ふふふ…そこまで想われて、実際成し遂げたんだから…夫は私にとって、この世界で最高の、愛する人よ?」


 突如いちゃつくファルネウス夫妻。


「魔力の有無なんてどうでもいいよ。種族なんて括りすら。みんな同じ人じゃないか。そこになぜ、優劣をつけたがるのか…理解できないね」

「すごいですね。ファルネウス卿は…そして敵も多そうですね」と僕は苦笑いする。

「そんなのは策を練り、情報を集め、すべて叩き潰すさ」

「敵にならないことを祈るばかりですよ…」


 策を弄する敵は苦手だ…


「今晩くらいはゆっくりして行くといいよ。君のメイドさんが家事をしてくれていたおかげで、このくらいの人数なら部屋もある。君の為にいいワインも手に入れたし、今日はゆっくり話そうじゃないか」


 にこやかに笑うファルネウス卿。


「そうですね。ご相伴にあずかりますね」



 その後、みんなで美味しい夕食を食べる。初めてお酒を飲んだけど、とてもフルーティーで飲みやすく、そして泥酔した…朝起きると、メイド達とスピカが全員裸で、僕のベットで一緒に寝ていた。

 覚えてないのでセーフかな…?

 これが二日酔いなのだろうか?頭が痛くて、フラフラしていると、シャルが回復魔法で治してくれた。その手があったのか…


 どうりて、シャルとミーシャだけ全く酔わず、水のように飲んでたわけだ…回復魔法で酔いを治していたんだな…


 カペラさん達と別れ、冒険者ギルドに行き、残りの報酬を受け取っておく。お金は収納スキルで入れてある。あまり重い物も、大きいものも入れれないが、便利だなあ…いいスキルを手に入れたよ。


 収納スキルで小物や衣服、生き物は入らないが、食材にすると入るので、基本僕が全部持ち歩いている。それでも中で時間が止まっているわけではなく。腐る者は腐る。何を入れているか、何を取り出したか、それは全てメモするようにしている。何を収納したか覚えてないと、取り出せないからだ…

 割と便利なようで、不便なこのスキルを使い、ほぼ手ぶらで、旅の準備を終える。


「最後に魔女王様に会うんだっけ?」とミーシャ

「そうだね。スピカの心が治るかもしれないしね。可能性があるなら行っておきたいんだよ」

「ありがとう…ございます…ツバサ様…」スピカが僕の手を握ってそう言う。

「可愛い嫁の為なら、世界すら敵に回してみせるよ?ボクはね」


 とスピカの頭を撫でてあげる。

 しかし…魔女の王か…名前からあんまりいいイメージはないけど…敵対しなければいいけど…


 アミが馬車の準備を終え、御者席に座る。僕たちは馬車に乗り込み、魔人国の首都を後にした。

 どうせまた馬鹿みたいに、盗賊に襲われると思い、御者を雇うのはやめた…有能なメイドがいて助かるよ…








 馬車で数時間ほど走ると…街道に奇妙な物があるのを、真眼で確認する。


「壁?しかも鉄の?いくら何でも大掛かりすぎる」


 さらに周辺を確認すると、曲刀を持った盗賊と、木に隠れて詳細は見えないが…あと4人ほど待ち伏せしているようだ。


「この盗賊は…なるほど…」

「ご主人様!?壁が…」アミが驚きつつ馬車を止める。

「とーぞく?」「いつものやつかしら?」

「いや…もっと厄介な…」


 そうして全員馬車を降り、周辺を警戒する。すると…


「ひゃっは~、上玉の女が5人もいるじゃねえか~、すべておいていくなら命だけは取らねえぞ?」


 そんなテンプレな盗賊が現れる。真眼で見ていて知っていたことだが…


 ミカド シンジ


 ???♂


 ??歳


 体力 3/3


 筋力 20/20


 ??? 563500/682500


 スキル ≪超神速再生≫≪創造・具現化≫


 

 多分一人目の転生者だろう…僕は盗賊を害虫だとは思っているが…まさしく虫のようなステータスだった…一番下のステータスはよくわからないが…魔力のような物だろうか…まさにイレギュラーな存在だ…


「貴方が、御門さん…死ぬために旅をしているという一人目さんですか?なぜそんな定番テンプレな盗賊を…」

「…見通す目を持ってるってのは、本当のようだな」


 真眼の事を知っている?誰にも話していないはずだ…

 思考する僕に、御門さんは近づいて来て、アミとミカとナギがそれを遮るように立ち、盗賊から僕を守ろうとしてくれている。

 

「お前ら。俺の邪魔をする奴をどけろ」


 ダダダッとメイドの前に獣人が4人現れる。敵対するのか?


「戦うのですか?僕は容赦しませんよ?」


 僕は剣を抜く。敵対するなら蹂躙するまでである。


「おれは弱い一般人を巻き込むのは嫌なんだよ。用があるのはお前だよミカヅキ卿。ちょっとツラァ貸せや?ぼこぼこにしてやるからよぉ」


 そう言ってとても悪そうな顔をする。ちょっと楽しそうな…そんな顔だ…

 なんとなく、察した。


「アミ、ミカ、ナギ下がって」


 メイドを下がらせ、相対する。するとミカドさんも獣人達を下がらせる。


「いい女を侍らせてんな?俺が勝ったらくれるか?」


 虫の分際で…っと‥冷静に冷静に…


「じゃあ僕が勝ったら、後ろの可愛い獣人さんたちはもらえるんですか?」

「いいぞ」

「なっ!?彼女達はあなたを慕ってるのでは?」


 即答された…なんなんだこの人は…苛立つ…


「だからどうした?どうすんの?交渉はせいり…」


 最後まで言わせはしない。真眼の能力なのか、身体能力の方なのかわからないが、僕は戦闘状態で集中すると、周りが止まったように見える。厳密にいうと止まっているわけでなく、少しづつ動いているのだが…その中で僕だけが普通に動ける。なので…


 言い切る前に、心臓に向けて剣を刺す。嫁に危害を加えようとするなら殺すまでである。


 しかし彼のステータスは一向に減らない。つまり死んではいない…はずなのだが…

 倒れたまま一向に動かない…え?


「そんな…シン?」と狐族の少女が信じられないという顔で見ている。

「え?この程度で死なないですよね?」


 ステータス的には死んでいないはずだ。


「では…私はシンの魂を追うのでこれにて…」


 そう言って、獣人達が自らの武器を、首に当て、自殺しようとしている。


「なっ!?やめろぉ!」


 その武器が首に刺さる前に、金色のたらいが、獣人たちの頭に降ってくる。まるでコントのように…

 全然笑えない。


「…あのなぁ…俺が死んだら、次の男を探せよ?一緒に死にますとか重すぎるわ…」


 そう言って何事もなかったかのように起き上がるミカド。これだけ想われて…

 もう少しで彼女たちは死ぬとこだったんだぞ!?


「ふざけないでください!!何がしたいんですかあなたは!?」

「あわよくば、獣人を、愛され上手なお前になすり…んんっ!お前を愛してもらおうと思ってな。獣人は強い人を、好きになるみたいだしな」

「彼女達を愛する気はないんですか?」


 応えてあげる気はないのか?彼にとっては彼女たちはただの荷物なのか?


「人じゃなければ…愛せるんだがな…んで?俺が本気で戦うと周りが全部死ぬわけだがいいのか?嫁が全部死ぬぞ?ここでやるのか?」


 なるほど…では移動しよう。ここでは話せないこともあるだろう。

 ミカドの腕を掴む。


「じゃあ、ステージ移動ですね」


 ブン投げる。なるべく遠くへ。


「ミーシャ、シャルこっちは任せたよ」


 そう言って僕はブン投げた彼を、真眼で追い、そこに向かって飛んでいく。

 ボコボコにしてやれば、少しは彼もマシになるのでは?と思い…

 圧倒的な力の差を見せつけるため。本気で彼を打ちのめすと心に決めて…

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