表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
95/189

心を傷付ける虫

 翌日、松明を持ち、坑道に入る。出入り口にミーシャとシャルに待っててもらう。


「んじゃあちょっと見てくるね」

「いってらっしゃーい!」

「待ってるからすぐ帰ってくるのよ?」


 僕は坑道を駆け抜けていく。迷わないように分かれ道には、目印を土魔法で作りながら。

 マッピング作業は、元の世界でもやってたので得意だ。脳内に自分の通った道を記憶し、地図を作っていく。

 罠は、昨日同様、引っかかってもぶっ潰す。遭遇する鬼は、走る速度を変えずに、そのまま殴り潰す。

 こうして数時間かけ、ようやく坑道のマッピングが完了したので、出入り口に帰る。


「ただいまー」

「おかえりなさーい!」とシャルが抱き着いてくる。

「シャル…汗かいてるから離れようか?」

「ツバサのいいにおいがする!!」

「シャルがいいならいいけど…ミーシャ紙とペンを」

「用意してるわよ?」


 簡単な机に、紙とインクと羽ペンが置かれていた。すぐさま脳内の地図を書き記していく。

 数十分ほどかけて、地図を書き上げる。


「やっぱり結構広いな…でも出入り口はここだけのようだね」

「大きい方の赤い鬼がメスらしいわよ?繁殖して、住処をどんどん広げたんでしょうね」

「あれがメス?ある意味、理にはかなってるのか…」


 女性上位な魔物なのか?


「ひとまず昨日のコルたちのような冒険者はいなかったし、捕虜的なのも連れていないようだったから…」


 彼らにとって人は食料なのだろう。骨は散乱していた。


「ほんとにやるの?」

「もちろん。仕掛けはしておいたから、ミーシャ魔石を」


 ミーシャが持っていた魔石を僕に渡してくれる。


「たぶん行けると思うけど…念のためにね…」


 僕は坑道の入り口を土魔法で完全にふさぐ、空気の入る間もないくらいに。


「んじゃあシャル。補助よろしくね?」

「まかせてー!」


 僕の後ろから抱き着き、手を僕の胸に当て、首筋に顔をうずめるシャル。少しくすぐったい。

 土壁に少し穴をあけて、そこから手を入れて、イメージする。


「坑道の奥に置いてきた、魔石に魔力が繋がるように…」


 脳内のマップを思い浮かべ、自分の魔力を、魔石まで伸ばしていく。

 無駄に魔力が広がったり、漏れているところは、シャルに補助してもらって…

 イメージとしては、直径30センチほどの魔力の筒を、坑道内に張り巡らせている感じだ。

 数十分かけて、すべての魔石に繋がると…集中力を途切れさせないように…


「…ファイヤーロード…」


 ボウッ!と魔石側からも、僕の手側からも、導火線に火が付いているように燃えていく。

 洞窟内の酸素が燃え尽きるまで、坑道内が火に包まれていく。


 十数分燃え続けると、火が消える。坑道内の酸素が尽きたのだろう。


「二人ともありがとう、町まで戻っておいて。僕は風魔法で換気したらすぐ行くよ」


 酸素のない空間、つまり二酸化炭素だらけの空間、それは猛毒で満たされた空間と変わらないだろう。

 なので土壁の上半分を壊し、風魔法で、適当に空気を入れておく。

 窒息するかはわからないが、さすがに魔物は全部燃えているだろう。

 後日確認には行くつもりなので、それまでには空気が入れ替わってくれるといいのだが…




 数分してから壁をぜんぶ壊しておき、シャルたちと合流して、ギルドに向かう。


「ひとまず坑道内の魔物は駆除できたと思います。これは今の坑道のマップです」


 受付嬢さんに報告しておく。


「はぁ…俄か信じがたいですが…」

「3日後くらいに僕が確認に行くので、それまで誰も入れないでください。死人がでます…その時に少し人手を貸してください。出来れば風魔法を使える人がいいですね」

「かしこまりました…手配しておきます」

「それまでに盗賊を始末してきます。では僕はこれで」


 そして僕は、宿に戻る。街道周辺の偵察をしているはずの、三人を待つだけである。

 真眼である程度目星はついてるので、そこを少し見に行ってもらっている。





 宿の部屋で嫁といちゃついていると、三人がノックして入ってくる。

 後ろからミーシャが僕の首に腕を回し抱き着き、膝の上にいるシャルの腰に、僕が手を回して抱き着いている。


「何この空間…なんで目の前でいちゃついてるんっすか?」とマラヤが困惑している。


 なんでもなにも…新婚旅行なんだから、いちゃつくに決まっているよね。


「それよりどうだった?どれが本命だった?」


 3つほど拠点があったが、多分二つはダミーだ。どうやらこの国も、盗賊ギルドみたいなものがあると耳にした。

 ダミーになってるのは、多分宿とか、食事処とか、そういうところだろう。なら本拠地の頭をぶっ叩くのが手っ取り早い。そう思うのだが…


「一番出入りが激しいのは、この場所になりますが…」と渡していた地図を指さすコル。

「そこが本拠地とは限らないわね。むしろ人が出入りしない方が本拠地だと思うわよ?」そう提言するヨウ。

「人の出入りが少ない所を、コルたち、とシャルとミーシャで見張っといて?僕は人が多い所に突っ込む。もし逃げだしたら、ちょっとの間足止めしといてね」

「はーい!」「ツバサも気をつけてね?」

「「「ええ!?」」」

「明日の朝に行くから、よろしくね」


 そう言って三人を追い出す。

 スピカたちはちゃんとやってるかなぁ~なんて思いつつ、シャルとミーシャと僕でベットで横になった。





 

 翌日、宿の外で、コルたち三人と合流し、歩いて山林を歩く。この山の谷間に洞穴みたいな横穴が開いている。そこが今回の目的地だ。


 人の出入りが少ないという洞穴に、5人を置いて行き、少し離れたほうの洞穴に向かう。

 こっそり入っていくことも考えたが…どうせ今回は皆殺しだ…人質がいるわけでもない、気にする必要もないだろ…


 洞穴の前に、二名見張りに立っていた。僕は普通に近づき。


「この場所、盗賊の拠点で合ってますか?」

「あぁ?なんだてめ‥」


 首を切り落とす。


「は?」

「無駄話はしたくないので…答えてもらえます?」

「てきしゅう…」


 叫ぼうとした男も首を飛ばし、黙らせる。


「とりあえず盗賊の巣で間違いないかな…」


 僕にとって盗賊は既に人でなく…害虫のような認識なので、魔物を殺すのと大差ない。

 普通に歩いて行き、出会う盗賊を、全員殺して歩く。女の盗賊でも容赦なく殺す。害虫に性別はない。老若男女すべて、僕にとっては、台所に潜む、黒光りするアイツにしか思えない。

 生きて罪を償うべきだ!と言う人もいるかもしれない。しかしこの世には、生きて毒を吐く人間もいる、そして厄介なことに、こいつらは人の心を侵す、壊す、殺す。そしてそれは…体の傷なんかより、痛く苦しく、そして治らない場合がほとんどだ。そんな毒を吐き続ける生き物。それは果たして、同じ人だろうか?悪意がないだけ虫のほうがマシかもしれない。 


 なので僕は、こいつらには容赦はしない。この世界に、盗賊になるしかなかった。という言い訳は通じない。人から奪うことを仕事に選んだ時点で。奪われても文句はないだろう。それが命であっても。


 奴隷は助けてあげたいと思うけどね…


 さて…数十分ほどでほぼ全部網羅したかな?多分これが最後の部屋だ。やっぱりはずれか。一人も逃がしてないはずなので、本拠地の方は逃げ出していないはずだ…


 最後の部屋に鍵を壊して入ると、生々しい匂いが立ち込めていた。盗賊はどうやらいないようだが…


「慰安部屋ってか?」

 

 全裸の女性が4名、ぐったりとしてた。真眼でステータスを確認。死にはしないようだが…

 返り血で血まみれの僕を見るや、近寄って来て、僕のズボンに手をかける。

 その手を止め、後ろから抱き着こうとしていた、女性の腕を切り飛ばす。


「ぎゃあああっ!腕がっ…」

「お前だけやけに元気だね?ナイフなんて持ってどうしたの?」


 切り飛ばした腕にしっかりと握られたナイフを見て言う。女盗賊が紛れていたんだろう。


「そのまま勝手に死ね」


 ほっとけば出血で死ぬだろう。そしてほかの三人を介抱する。


「光魔法はまだちゃんと使えないんだけど…」


 イメージが難しい…しかし簡単な傷程度なら…

 まだボーっとしている3人は、隙あらば僕のズボンを脱がせようとしたり、服を脱がせようとする。

 それを無視し、一人づつ、傷だらけの下腹部と逃げ出せないように切られた足の腱を治すために、集中する…

 

「…ヒール…」


 丁寧に魔力を集め、僕の力が、彼女たちの一部になるように、魔力を込めていく…

 十数分ほどかけて、何とかマシにはなったかな…あとはシャルに頼もう。

 まだボーっとして、僕に奉仕しようとする彼女たちを、ギュッと抱きしめてやる。


「もう大丈夫だよ?辛かっただろうね…」

「助かるの…?」

「もうやらなくていいの?」

「うっ…うぅ…」


 感情を取り戻し、泣き始める三人の頭を、少し撫で続けてあげるのだった。






 数分すると落ち着いたようで、収納していた布を、三人に渡し、洞穴を後にする。

 気を紛らわせるために少し会話しながら。


「僕は冒険者のツバサ。三人は?」

「モンです…」「マルと申します」「プリルです」

「三人は帰る当てはあるの?」

「私たちは…家族をアイツらに殺された者です…帰るとこなんて…」

「ごめん…僕がそこは何とかするから、安心していいよ。もちろん娼婦として、ではなくね」


 屋敷で雇ってもいいけど…手狭になるし…まあ考えておこう。




 洞穴から出ると、シャルたちと合流する。


「シャル。この子たちの怪我を治してあげて」

「ツバサ血だらけ!?だいじょうぶなの!?」


 あっ…そう言えば忘れてた…

 ミーシャに、水魔法で体を洗ってもらおうとすると、モンとマルとプリルがペロペロと僕を舐めだす。


「ストップ…三人とも…そういうことはしなくていいって…ミーシャ水魔法で水を頂戴。シャルは治療」

「すいません…獣人の癖ですので…」

「そう言えばそうだったね…」

「え…耳も…尻尾もないよ…?」


 耳も尻尾も…切り落とされたのだろう…


「ツバサ…」シャルが僕に何かを求めるように見つめる。

「いいよシャル…()()する」

「ツバサ大好き!」

「僕もだよシャル」


 シャルに欠損回復を許可し、ミーシャから水魔法をお見舞いされ、顔を拭う。


「さて…マラヤ、状況報告」

「はい!特に動きはないみたいっすね」

「入ってきたとかも?」

「なしっす!」

「三人はもう一つの洞穴の監視へ。シャルたちはこの三人と待機。僕はいってくるよ。まかせたよ?」


 そうお願いし、僕は、多分本拠地であるだろう洞穴に入っていく…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=724269873&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ