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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
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坑道探索

 魔人国の首都を出て、炭鉱夫の町に向かう。

 さっさと行ってっさっさと帰るつもりだったのだが…


「またか…」


 街道が倒木でふさがれている。あまりに盗賊に会うので、雇っていた御者も帰ってしまった…


「また、とーぞく?」

「ツバサは盗賊に好かれ過ぎじゃないかしら?」


 魔人国なら…と思ったが…しかもこっちの盗賊は、基本的に、倒木で足止めして、馬車ごと潰しに来るパターンが多い。もちろん街道に出てくる奴もいるが…


「僕が先行して、倒木をどけるから、ミーシャ、駆け抜けて」

「いつも通りね。まかせて」

「お馬さんをいやすよ?」


 途中からめんどくさくなったので、無視して逃げるようにしている。倒木をどけて、すぐ馬車で逃げる。いちいち相手にしてられなくなったのだ…めんどい…



 結局、炭鉱夫の町に着いたのは、首都から出て30日後の夜だった…通常なら往復できる時間で…やっとたどり着いたのだった…

 到着してすぐ宿を取り、三人で眠った…久々の3人だったので、つい愛し合ってしまうのは、仕方のない事だろう。



 翌日、ひとまず冒険者ギルドに向かう。炭鉱夫の町だけあって、加工場と武器屋と防具屋がたくさんあったように見えるが、今はどこも閉まっていた。

 冒険者ギルドは少し人がいるようだったが、それでも少ない。首都の10分の1ほどだろうか?


「見ないお方ですね?周辺の魔物討伐ですか?」


 人族の受付嬢さんが対応してくれるみたいだ。


「いえ、首都のギルドでクエストを受注していまして、この書状を渡してくれと、言われています」


 そう言って僕は、預かっていた書状を手渡す。


「はぁ……失礼しました。あなたが金の…お待ちしておりました。すぐに鉱山まで、案内の者を付けますが、少し説明しますね」

「お願いします」

「現在、冒険者を募り、鉱山周辺と、この町周辺の魔物につきましては、討伐が進んでいますので、ツバサ様は、手を出さなくていい部分になります」

「…じゃあ鉱山内部と、街道周辺ですかね?」

「はい。鉱山は子鬼と鬼の住処となっており、危険度が高すぎますので…手が出せない状況で。ツバサ様のパーティー以外は、立ち入り禁止にさせていただいております。もう一つの、街道の安全確保の方ですが…街道周辺の魔物は、大丈夫なんですが…この町が活発になるということで、盗賊がこの辺りのどこかに、拠点を築いてるようでして…それを何とかしていただきたい。というのが本クエストの依頼になります」

「鉱山内の魔物は危ない?」

「ええ…あの魔物は、住処を持つと、そこを守るために、いろんな罠を仕掛けたりします。伏兵や、指揮するものもいたりして、非常に危険なのです。そこで金の冒険者であるツバサ様に、指名依頼が入ったという事です」

「この国には、金の冒険者はいないのですか?」

「いることにはいますが…どこかの貴族の専属だったり、あと狭い坑道内は、崩落の危険性がある為、魔法が使いにくいので…」

「なるほど…わかりました。案内お願いします」


 貴族の専属になると、一生安泰に暮らせるだろう。貴族が落ちぶれなければ…それに魔人国の冒険者はほぼ魔人族だ。魔法が使いづらいクエストの難易度は、ぐっと跳ね上がる。


 めんどくさいのは、盗賊の殲滅の方かな…巣穴を見つけるのがまず大変だよ…





 今日は下見程度で行くつもりなので、ちゃんと準備をして、明日本格的に取り組む予定だ。


「真っ暗だな…」


 3メートルくらいある、トンネルの入り口をくぐると、そこは真っ暗だった。坑道内の明かりは全部消えているようだった。これは怖い


「光魔法で明るくできるよ?」

「明日大量のランプを持って来て、途中で置きながら進むかな…今日はちょっと入るだけだから、シャルお願い」

「はーい!ライト!」


 シャルの魔法で、半径10mくらいは見えるようになった。

 そのまま坑道内を進む。一応昔の地図はもらっているが、どこまで合っているかはわからないので、土魔法で所々壁に矢印をつけて、地図を確認する。


「ぶ…不気味ね…」


 そう言って腕に絡みついてくるミーシャ。


「ミーシャはアンデットとか苦手なの?」

「…そんなことない…わよ?ただ得体の知れないものはちょっと苦手ね…」

「なんか肝試しみたいで、ちょっと楽しくなってきたよ」

「きもだめし?」


 まったく危機感もなく、スイスイ歩いていく。途中少し罠があったけど、全部力技でねじ伏せた。矢掴むし、落とし穴は、壁に足を突き刺して上る。


「一応この辺で、行き止まりのはずなんだけどな…」


 地図ではそうなっているが、ここから分かれ道になっていた。


「ここで引き返そうか…明日準備して、僕一人で蹂躙しておくよ」

「さ‥さっさと帰りましょ!明日はツバサに任せるわ!」


 ぐいぐいときた道の方へ、腕を引っ張るミーシャ。可愛い。


「怖い思いさせてごめんね?ミーシャの意外な面が見れてよかったよ」

「な…なんの事かしら?」

「ツバサ…奥からなんか聞こえるよ?」

「ひぃ!?」


 ミーシャが僕の背中に抱き着く。


「確かに…悲鳴?」


 坑道内に若干女性の悲鳴が聞こえた気がする。


「ツバサ!こっち!」

「シャル!待って…」


 ミーシャをそのまま背中におぶって、シャルを追いかける。

 目印をつけながら、迷路のような坑道を走る。数分ほど走ると、少しひらけた場所に出る。結構な数の鬼がいた。


「イヤアアアアア!?」

「やだやだやだやだ!」

「たすけ…」

「ギャハハハハァ!」




 小さな青色の鬼と、大きな赤色の鬼が複数で女性パーティーを襲っていた。 

 一人が瀕死で、鬼どもに囲まれて、こちらから足だけ見える。ほかの二人が大きな鬼に持ち上げられていて、傍らに絶命した男性が2名横たわっている。


 ミーシャをおぶったまま剣を抜き、瀕死の方の女性に群がってる鬼を両断する。すぐさま、横の大きな鬼も横一閃、胴体を真っ二つにする。


「シャル。頼んだ。ミーシャは降りて…」

「まかせて!!」

「うん…」


 ミーシャは恥ずかしそうに僕から降りて、女性三名と、シャルの前で、ナイフを持って構える。

 鬼たちは、僕たちを囲むように集まってくる。手には棍棒を持ってる。

 彼女たちを守りながらだと、少し分が悪いな…


「シャル、怪我はどんなもん?」

「もう治ってるよ!」

「そこの3人、走れるか?」

「「「はい」」」

「撤退する。シャルとミーシャを先頭に僕が最後尾。帰り道は分かるな?」

「ツバサのつけてた印通りね」

「ミーシャ、先導任せた。いくよ!」


 罠は既に潰してある。走り抜けるだけだ。

 僕は帰り道の方向にいた鬼に突っ込み、収納していた片手サイズの石を、殴り飛ばす。石が砕けて飛んでいき、散弾のようになった石礫に怯んだ隙に、剣で斬りこみ、道を作る。

 囲いを抜けたら、ミーシャを先頭に、全員が駆けていく。僕は広間を抜けると同時に、土魔法で道をふさぎ、すぐさま全員を追いかける。

 時間稼ぎ程度にはなるだろう…


「きゃあ!」


 と前を走っていた女の子がこける…一番瀕死だった子だ。さっと胸に抱き込み。走る。

 微妙にまだ震えている。怖かったのだろう…スピカを少し重ねてしまう。


「ツバサ~?前からも来てるよ?」 

「分かれ道結構あったもんな…ミーシャ!いける?」

「まかせなさい…サンダーショット!」


 バチバチッ!と雷が走っていき、前で待ち伏せていた鬼どもが痺れて動けなくなる。


 そのまま前の鬼はミーシャが麻痺させ、後ろは僕が斬り捨てながら走っていく…


 やっと外が見えてくる。

 どうやら出口周辺までは、追っては来てないようだ。やはり知性が少しはあるみたいだな…

 厄介だな…どう攻略するか…地道にマッピングしながら攻略するしかないのかぁ…割と面倒なクエストだよな…





「「「ありがとうございました!」」」助けた冒険者が口を揃えて言った。


 町に戻り、ひとまず助けた冒険者3名と、食堂に向かった。少し話を聞くべきだと思ったからだ。


「あそこは、僕達しか入る許可がなかったはずだけど?」

「うっ…あなたがツバサさんなのですね…申し訳ないです…こうなった訳をお話ししますね…」


 彼女たちは5人組のベテラン冒険者だ。リーダーの男が金で、他が銀という割と上位に位置するパーティーだそうだ。前衛の男二名、斥候のマラヤ、回復、遠距離魔法職のコル、弓使いのヨウ。バランスのいいパーティーだ。

 僕たちが一向に来ないことを、憤った前衛の男2名は、ギルドの制止を振り切り、坑道に入る。それを追うように、彼女たちは坑道に入る。さすがベテランだけあって、途中までは順調に、罠を回避し、鬼どもを倒しながら、奥に進んでいた。

 しかし…地図に載っていない所まで出て、引き返すことを提案したが、男どもはそれを無視。そして大広間に出た瞬間。後ろからも、鬼が来ていて、一瞬で囲まれた。そんなところだろうか。


「僕も悪いのか?いや…盗賊の所為なんだよな…」

「いえ!ツバサさんは悪くないです…私たちの判断ミスです…慢心していたんでしょうね…」コルが俯いて話す。

「命を救っていただいて感謝っすよ…あいつらをぶん殴ってでも、引き返すべきだったっす」マラヤが涙目で語る。

「あのまま死んでたと考えただけで、震えが止まりませんわ」一番瀕死だったヨウが震えて涙を流す。

「救っていただいたお礼に…私たちにできることがあれば、何なりとご申しつけください」

「そうだな~あ‥これ渡しとくね。死体は回収できなかったけど…」


 男二人の剣と身分証渡しておく。ベテランなら長年共に戦った仲だろう。


「ありがとうございます…彼らの故郷に…返してあげたいと思います」


 コルがそう言うと、他の二人も涙を流し出す。いいパーティーだったんだろう。


「さて…んじゃあ3人にお願いがあるよ?」

「なんなりと‥」「力になれることがあるならやるっすよ~」「聞かせて?」

「坑道の魔物を明日駆除するんだけど…そのあとの街道周辺の盗賊狩りに、協力してくれない?」

「「「はい?」」」


 3人とも首を傾げて、何言ってるんだこいつ?みたいな視線を僕に寄越すのだった。

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