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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
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義理のお姉さん

 飛空艇の旅は、ひと悶着あったものの、その後は順調に進んだ。魔物の襲撃で被害もなく、その後も僕たちは豪華客船を堪能した。

 収納のスキルは便利だったが…わりと制限が微妙で…一つの物として、僕の体積を超えるものは、収納できない。つまり大きさは170cm×170cmまでで、重さは50キロ程度まで。

 どれだけの数を収納できるかは、まだ分からないが…とりあえず僕の装備一式を、全部入れたり出したりして試した。僕は武器をすぐ壊すので、割と重宝しそうだ。

 出来ればあんまり戦いたくないんだけどね…


 40日ほどかけて、魔人国領に到着する。この町からまず首都を目指す。クエストを首都で受けてほしいとのことだ。依頼主から詳しい話も聞かなければいけない。


 馬車に乗り、数日走らせると、魔人国首都に到着した。魔人国領では盗賊に会うこともなく、ロスなく進むことができた。

 人種族領だけなのか?盗賊が多いのは…それとも…狐族が手回ししているのか…?


 魔人国では魔石などを使わず、自前の魔法だけで生活しているようだ。その為、人種族に比べるとちょっと生活レベルは落ちる。

 まあでもこの光景にはちょっとだけ感動する。


「んー…おいしいんだけど…物足りないよね」


 屋台で売っていた串焼きを食べて思う。


「おいしーよ?」

「ええ…でも素材の味そのまんまって感じよね」

「焼いただけとか、一緒に炊き合わせただけとか、そんな感じですね」


 ナギの料理の幅を広げるために、買い食いして回ってるんだけど…特に得られるものはなさそうだった。

 ナギの料理も、普通に、お店をひらける程度にはなったが…僕としてはまだ物足りないんだよね…


 今日一日はのんびり観光して、明日ギルドと依頼主の所に行く予定だ。

 今回のクエストを達成すれば、当分動かなくていいし…なんなら、料理研究や、屋敷の改築に精を出してもいいと思っている。

 本屋に行って、いいレシピや本がないか探したり、魔道具屋さんに行ってみたり、お小遣いを渡して、各々自由に動いたり、そうこうしていると、あっという間に日が暮れていった。


 宿に戻り、明日の行動について少しだけ話す。


「明日は僕とシャル、ミーシャ、スピカで今回のクエストを受注してくるよ。ミカ、アミ、ナギは旅に必要な物を調達しといてね?」


 そう言ってミカに領収書のような、紙の綴りを渡す。


「ご主人様、これは?」

「今回の旅の資金は、全部向こう持ちだ、それを見せれば、いくらでも売ってくれるし、その紙に書かれている、貴族さんの方に請求が行くからね。値段はちゃんと交渉して、商人さんに書いてもらって、確認したら、ここにサインして商人さんに渡してね」

「私のサインでもいいのですか?」

「もちろん。それはちゃんと言っておくし、家族の誰がサインしたって、問題ないよ」


 そんなことで文句を言われるなら、ここで帰ろう。いい船旅だできただけで十分だ。


「私は奴隷でメイドですが?」

「ん?奴隷でメイドだったら僕の嫁になれないの?ミカはもうミカ・ミカヅキを名乗ってもいいよ?もちろんほかの二人も」

「ふふ…ご主人様は変な人ですね…」

「自覚はないけどね。任せたよ」

「「「お任せください!!」」」



 シャルとミーシャに言われ、今日はメイド三人と一緒に寝た。たまには労ってあげて?という事で…

 たまにはどころか、ベットさえ大きければ、全員一緒に寝てもいいんだけどね?




 翌日、4人で冒険者ギルドに向かう。僕が受付に向かうと、当たり前のように、狐族の獣人さんがいた。


「いらっしゃいませ。今日はどのような、ご用件ですか?」

「知ってるんじゃないんですかね?」


 僕はジト目でじーっと獣人さんを見つめる。


「さて?何のことでしょうか…?」と可愛らしく首を傾げる獣人さん。

「…書状を預かっております。シャル、ミーシャ身分証を」


 3人分の身分証を、受付嬢さんに渡す。


「ではお預かりしますね…少々お待ちください」


 そう言って、奥に消えていく獣人さん。

 疑いすぎか…すべての狐族が繋がってるわけないよな…

 少しして、獣人さんが帰ってくる。


「ではクエストを受注しておきますね。依頼主さんの方には、話は通しておきましたので、このまま向かっても大丈夫です」

「ありがとうございます。ではこれで…」


 そう言って僕はギルドを後にし、受付嬢さんに言われた場所に向かい、少し小さめの屋敷に到着した。僕の家より、小さいのではないだろうか?

 鉄扉をくぐり、扉についてたドアノッカーで扉を叩く。するとスピカに少し似た、女性が白いワンピース姿で出てくる。貴族っぽくないね。


「お待ちしておりましたよ?ミカヅキ卿。そしてスピカ…久しぶりね!」


 スピカのお姉さん、カペラさんが笑顔で迎えてくれた。









 屋敷のリビングに通され、長方形のテーブルを囲むように椅子に座る。


「ミカヅキ卿。改めてスピカを助けてくれてありがとうございます」


 そう言って頭を下げるカペラさん。


「いえいえ…カペラさん。僕のお姉さんになるんですから。敬語はやめましょう」

「そうね!可愛い弟ができてうれしいわ!今回クエストを受けてくれてありがとうね。ツバサ」

「僕はただの、新婚旅行のつもりですけどね」

「まぁ私も、スピカに会いたかっただけだしね」

「「「「え?」」」」

「アダラお姉さまとちがって、私はスピカにすぐ会えないんだもん。聞いたよ?死にかけたってね。心配で心配で…私なりに策を練ったわけ!」

「それが今回のクエストですか?」

「ええ…でも実際受けてくれると、とても助かるわ。魔人族って言うのは、内政に無頓着でね…私の旦那が、いま一人で、頑張ってるようなものなの…」


 人種族は割と、人種族全体での団結感がとても強い。みんなで支え合う、得意な分野で仕事を振り分けたり、そう言うのがとても得意だ。

 魔人種族は、個の力に偏りがちだ。自分の事にしか興味がなく。自分の求める魔法を、完成させるために、生涯研究する人も多いみたいだ。

 獣人種は、血の繋がりをとても大事にする。僕たちのように、貴族が地域を管理するというより、いろんな小さい国が集まってできてる、連邦国家。つまりアメリカとかそう言う感じだ。


「お姉さんの頼みならもちろん、受けさせていただきますよ。旦那さんにもよろしくお伝えください」

「助かるわ…これで肩の荷が下りる…じゃあお願いね?」


 そう言って僕に金貨の入った袋を渡すカペラさん。


「え?まだ成功するかわかりませんよ?」

「前金で半分払うわ。残りは成功報酬として、首都の冒険者ギルドで受け取ってね?そう言う約束なの」

「はぁ…そうだ…スピカとメイド三名をこちらで預かって頂けませんか?さすがに、連れていけませんので…」

「いいわよー!うちは家政婦雇ってないから大変なのよ…私も書類仕事があるしね…むしろお願いするわ!」

「スピカいける?」

「はい…カペラお姉さまも…いますし…ミカも…アミも…ナギもいます…から」

「すぐ帰ってくるから待ってね?」


 そう言ってスピカの頭を撫でる。


「お気を…つけて…いって…らっしゃい…ませ」





 その後メイド三人と合流し、カペラさんの屋敷に案内する。


「カペラさんの屋敷を、僕の屋敷だと思って、しっかり手伝うんだよ?」

「「「はい!」」」

「任せた!」

「「「お気をつけて行ってらっしゃいませ!ご主人様」」」



 そうして僕は、懐かしの三人パーティーで、目的地の炭鉱夫の町へ、出発した。

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