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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『レギュラーの新婚旅行』
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贅沢な船旅

 朝テントを回収し、馬車を出発させる。今日の御者はアミがやっている。

 

 しばらく進み、お昼を過ぎたころに、目的地の町に着いた。

 町の3分の2は、飛空艇の発着場になっていて、住居はほぼなく、宿屋や、特産品売り場など、普通の町とは違った作りになっていた。


 馬車に乗ったまま、飛空艇の発着場に向かい、首都のギルドでもらった紹介状を、受付のお兄さんに渡す。


「確認しました。飛空艇の出発は明日の朝方になります。馬車も乗せますか?」

「乗せてもいいんですか?」


 乗せれるなら乗せたい…向こうでも移動は馬車だ。


「ミカヅキ卿は最上級でお取り扱いしろとのことですので、馬車3台までは乗せられます」

「3台も…では1台だけお願いします」

「では、明日馬車で、こちらにお越しください」

「はい。では明日」


 そして馬車を厩舎に預けにいく。宿も取ってくれているので、そちらに向かう。


 そういえば…飛空艇内で襲われたりしないよな…それで飛空艇が落ちるとかあったら嫌だな…


「皆、先に観光しておいで、夕方には宿に帰るようにね」

「ツバサはいっしょにいかないの?」


 と僕の腕にしがみついてくるシャル


「ちょっと聞きたいことがあったのを忘れててね。終わったら合流するよ」

「わかった!すぐきてね!」


 そうして彼女たちと別れ、発着場に戻る。

 乗ってくる客を、少しでも知っておいた方が良さそうだと思ったからだ。


「飛空艇の出発は明日ですよ?ミカヅキ卿」


 獣人の女性が僕に話しかけてくる。


「えっと…どちら様でしょうか?」

「首都のギルド職員の親戚ですよ。ミカヅキ卿の、この町での準備をお願いされましてね」


 狐族は、みんな家族のようなつながりがあるのか?


「明日の飛空艇は、ミカヅキ卿以外は、すべて乗組員です。乗客はいませんよ?」

「え?僕なにか言いましたっけ?」

「そんな顔をしてらっしゃったので…」


 どんな顔だよ…


「それに…これ以上予定が狂うと、あの子の計画に支障が出ますしね…」


 そんなことをボソッと口にする。


「何の策に、僕を嵌めたいか知りませんが…敵対するなら叩き潰すだけです」

「もちろん敵対の意志などございません。ミカヅキ卿には、安全に魔人国へ到着して頂きたいだけですよ?こちらの盗賊の件は、魔人国領までは、手を出せないようにしておりますので、ご安心くださいね」

「解決はしてくれないんですね…」

「何分根が深くて…それは後日、とある冒険者に、お願いすることに致しますので…」

「僕じゃないですよね?」

「もちろん違います…」


 すると狐族の獣人さんの肩に、黒いインコのような鳥が止まる。


「あらあら‥では私はこれにて失礼しますね…」

「可愛らしい鳥ですね」

「ええ…私の一族の愛する、小鳥ですよ」


 とにっこりと笑い、狐族の獣人さんは、その場を後にした。


 その後僕は、嫁とメイドと合流し、のんびり町を回り、宿で休んだ。

 自分の家以外で、こづくりするつもりはないので…ちょっとだけイチャイチャして寝た、とだけ言っておこう。






 翌日、馬車で発着場に向かう。馬車は別室らしいので、乗組員の男性に引き渡した。

 僕たちが乗り込むとすぐ町を出発した。

 本当に僕たちだけなんだな…乗客…

 部屋を案内してもらい、確認するとすぐ甲板にでる。


 するとそこはもう空の上で…


「おぉ…これが飛空艇…イメージとちょっと違うけど…すごいなー」


 空の上にある海を、航行している感じだった。


「まさか人生で、飛空艇に乗れる日が来るとはねー」

「こんなおっきいものが、空を飛んでるよ!すごいねー!」

「ちょっと…怖い…です…けどね…」


 何もしゃべらないけど、メイド3人も目を輝かせて、外の風景を見ている。


「喜んでもらえたなら、狐さんたちの策にはまった甲斐もあるね」


 そう一人で呟いた。


 船内にいろんな施設があるらしく、みんなでふらふら歩く。

 レストランや、大きな水遊び場、大きな浴場に劇場なんかもあった。

 豪華客船に、自分たちだけが乗ってるという、異常な状況だ。なんか落ち着かない…


 プールみたいなところで、みんなで泳いで遊んだり、ドレスを着て、レストランで食事したり、劇場でお芝居を見て、感動して皆泣いてたり、浴場は貸し切りなので、みんなで一緒に入ったりと、とても有意義な船旅を過ごしていた。


 

「いやぁ…これは新婚旅行に相応しいよね~」


 お昼ぐらいに、僕はプールサイドの横にある大きなベットで横になりながらつぶやく。

 ベットと言っても、透明なビニールのような物で出来ているものだ。中は水なのか、ブヨブヨしている。

 後々聞くと、中はスライムの体液らしい。感触が気持ちいい。


「これは豪華すぎるわよ…私は嬉しいけどね」

「ツバサがいれば、シャルはどこでもいいよ?」

「そう…です…ね…」


 僕の横で水着を着て、寝転んでる嫁がそう言ってくれる。貸し切りとは言え、僕以外に乗組員もいるわけだ。妻の裸を見てもいいのは、僕だけである。


「そう言えば…飛空艇は魔物に襲われたりしないのかな?」

「ない…とは言い切れないけど、ほとんどないわよ?この高さまで来る魔物自体が少ないのと、来たところで、すぐ迎撃されるからね」


 そう言えば砲門も付いてたな…この飛空艇。


「特にこの飛空艇は、人種族の技術の粋を集めて造られた、特別船らしいわよ?普通の飛空艇にここまで豪華なものはないとか聞いたわ」

「ミーシャは物知りだなぁ…」

「ツバサに教えてあげたくて、私なりに色々調べてるのよ?」

「いい妻を持って、僕は幸せだよ…」

「ふふふ…ありがとう」


 ふと景色を見ると、飛空艇の横から数キロ先の天気が、大荒れになっていた、バケツをひっくり返したような雨に、雷が降り注ぐ、風が強いのか、雨は横に飛んでいるように見える。


「あれなんだろ?あそこだけめっちゃ雨降ってるね」

「あそこは、大陸のちゅうしんなんだよ?」


 そうシャルが教えてくれる。


「ほう?大陸の中心には、なにがあるの?」

「それはわからないよ?でもこの世界の水は、全てあそこから流れているんだって~」

「へぇ~シャルは物知りだな~」

「えへへ~ミーシャだけじゃないんだよ!」

「僕もちゃんといろいろ勉強しないとね…」


 嫁に甘えてばっかじゃだめだな…


「ん?あれなんだろう…?」


 大陸の中心から、なにか豆粒のような黒い物が見える。すかさず心眼で確認する。


「げ…こっちに向かって飛んできてる!?」

「どうし…ましたか…ツバサ様?」

「ミカ!アミ!ナギ!スピカを連れて、船室に退避!ミーシャ、シャル、僕と装備を整えて、甲板に集合!!」

「「「はい!!」」」

「どうしたのよ?」

「はーい!」

「トラブルだよ…この貸し切り豪華客船のツケか?でっかい魔物がこっちに向かってきてる」

「ええ!?」









 装備を整え、3人で甲板に出る。乗務員にも連絡したので、戦闘準備は万全だ。

 しばらくすると、魔物の全貌を視認できるようになる。


「おおきいねー!」

「今回はまずいかもね…あれはちょっと…」

「僕がでっかいのをもらうから、その近くを飛んでる奴は任せるよ…船を守って」


 体長500mほどあるクジラのような魔物だ。真っ黒でこの船くらいなら一飲みで飲めそうなほど巨体だ。

 その周りに5mほど鷲のような魔物が飛んでいる。

 真眼で見たステータスなんだけど…クジラの方が…


 スタライーター


 魔物 性別無し


 体力 15000/15000


 筋力 10000/10000


 魔力 4000/4000


 スキル≪収納≫≪消化≫≪飛行≫



 鷲のほうが…


 レッドアーレンド


 魔物 性別無し


 体力 1500/1500


 筋力 340/340


 魔力 200/200


 スキル≪飛行≫≪隠密≫



 収納ってことは、あの腹の中に収納できるのか?収納スキルは是が非でも欲しいな…


「んじゃあ鳥の方は任せたよ!僕はでっかいのを落としてくる!」

「いってらっしゃーい!」

「気を付けるのよ?」


 僕は飛空艇から飛び降りる、バシャーンと海の中に落ち、そのまま下に泳いで、海を抜け、地面まで落ちていく。


「飛空艇に近づけるわけにもいかないからなぁ…」


 そのままスタライーターに向かって駆けて行く。

 

 ちょうど真下のあたりに着くと、剣をまっすぐ構え、勢いよく飛ぶ。

 スタライーターの腹に飛んでいき、そのまま剣を突き刺し、勢いのまま突き抜ける。


 ズドンッ!と人間砲弾が、スタライーターの腹を突き破る。


「クオオオオオオオン!!」とスタライーターが叫ぶ。


「腹を突き刺したくらいじゃ死なないか…とりあえず…落とすか…」


 突き抜けた後、そのまま背中に乗り、尻尾の方に向かって走る。

 尻尾をガシッと掴み、そのまま飛び降り、腕力に物を言わせ、背負い投げする。

 大きな巨体が、徐々に浮き上がり、そして…


 ズガーーン!と背中から叩きつけられる。


「あとは能力操作で…」


 スキルごと吸い取っていると、最後の足掻きなのか、氷山のような塊が僕めがけて飛んでくる。


「酸素濃度調整…集約…発火…フレアエクスプロージョン!!」


 ドォーーーン!と氷山と相殺し、氷が砕けていく。

 火はイメージしやすいので、闇魔法に比べたら楽だった。


 そして間もなくすべて吸い終わり、カラカラの干物のようなものができた。

 どうせこんな大きい物持って帰れないし…このまま捨てておくか…


 飛空艇の方を見ると、飛空艇の上に大きな雷雲ができていた。


「ミーシャの大魔法か…じゃあ安心だな…」


 ミーシャの編み出した、広範囲殲滅魔法、雷雲を作り出し、鉄杭を打ち込んだ相手に、雷雲から電撃が飛び続けると言うものだ。乗務員に鉄杭と、それを打ち出す道具を用意させてたので、すぐ終わるだろう。

 僕はとりあえず、今吸い取ったスキルをちょっとだけ試す。

 この魔物を収納できる?しかしスキルは発動しなかった。

 つぎは落ちていた石を試す。念じれば収納出来た?取り出すように念じる。若干溶けた石が出てくる…


 消化が邪魔だな…あそこにいるレッドアーレンドに消化を付与して殺すか…


 そうと決まればすぐさま地面をけり、飛空艇まで飛びあがる。 

 途中にいたレッドアーレンドを捕まえて、飛空艇に戻る。


「ツバサ!?魔物連れてきて…どうすんの!?」

「まあまあ…」


 消化のスキルを、付与できたのを確認して、剣で首を刎ねる。


「これでよし…ミーシャあとどれくらいで倒し切れる?」

「あと数分もすれば…鉄杭は刺し終ってるから…ちょっとツバサ…魔力を私にまわしてちょうだい…魔石のストックが切れちゃって…」

「わかった」


 そう言ってミーシャの背中に手を当てる。自分の魔力をミーシャに流す。ある程度流したら、自分の魔力の接続を切って、ミーシャの中に置いてくる感じで…


「ありがとう。ツバサ」

「お安い御用さ」


 そして数分後、すべての魔物が空から消えて、戦闘は終了するのだった。

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