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私の世界にようこそ  作者: てけと
第一幕『イレギュラー』
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旅の準備

 いつも通り朝日が出る前に起きる。ベットから這い出てジャージを着替える。

 ココはちゃんと違うベットで寝ているようで、抱き枕をギュッと抱きしめて寝ている。それを見てちょっとほほえましくなる。やはりふかふかのベットのほうがいいよな。

 

 部屋から出てまた素振りを開始する。俺の具現化能力は、想像できる武器なら何でも出せる、今回は槍だ。投げてよし、刺してよし、斬ってよし、殴ってよしといろいろと融通の利く武器だ。

 

 因みにだが因果逆転の槍を作るのは無理だった。形だけは何とかなってもそれは俺の能力を超えるものだったからだ。俺の体に例の鞘が入ってたりもしてないし、風の力で透明にできる聖剣も無理だ。何を言ってるかわからないだろうが俺にも(略)

 

 そして数時間ほどシャドートレーニングを行い、汗を井戸水で流し部屋に帰る。


「おはようございます!シン様」

「おはようココ」

「今日はギルドで試験でしたっけ?」

「そうだな。朝ごはんだけ食べて部屋で待機しててもらってもいいか?」

「そうですね…私の正体がばれると厄介ですもんね…」

「…暇つぶしにおもちゃを置いていくから、それで遊んでてくれ」

「おもちゃですか…?」

「とりあえず飯を食べに行こうか」

「はいっ!」


 そして宿の近くにあった飯屋に入る。今日のランチはパンに肉と野菜が挟まった物とスープだった。


「悪くないけど…あんまり一体感はないよなーコレ」

「いえ…普通においしいですけど…シン様は食事の水準が高すぎる気がします…」


 基本飯を食わなくてもいい俺はつい量より質を求めてしまうのかもしれない。旅の途中でいろいろ試してみるのもいいだろう…


 飯を食べ終わると部屋に帰り、ココにおもちゃを渡してやる。


「これはなんですか…?」

「ルービックキューブってやつで、こう回して…色を6面全部そろえるっておもちゃさ」

「へぇ~!」

「俺の世界のプロは10秒くらいで全面そろえるんだっけ?」

「すごいです!私も頑張ってみますね!」

「いや…暇つぶし程度で考えてくれよ?」


 おもちゃに本気とか…まあそれを仕事にしてる人もいるわけだけど…それは俺の世界の話だし、楽しんでくれればいいのだけど…

 そして部屋にココをおいて俺はギルドに筆記試験を受けに行く。

 前情報を聞くところによると、簡単な計算と道徳のテストだったと思うが…大丈夫だよな?


 若干不安を覚えながら、冒険者ギルドに入っていく。

 受付の横の階段を上がり2階に上がる。

 もらっていた木札を2階の受付の人に渡し、席に着く。

 

 テストが始まるにあたって注意事項を試験官が説明し、(カンニングするなとか、魔法使用禁止とかそんな程度)答案用紙が配られる。

 余談だが今回筆記テストを受けるのは5名程度だ。登録料が銀貨20枚というのは結構敷居が高く、文字や計算を習うのもお金持ちの一部だけらしい。孤児院でも教えられるそうだが、孤児院から出た子で銀貨20枚をポンと出せる子はなかなかいないらしい。

 あとは親が冒険者でそういう英才教育を受けてる子もいるそうだ。


 そしてテストの問題はというと‥


 26+56=

 とか

 260÷13=

 みたいな計算問題は小学生レベルだった。

 道徳の問題は

 Aさんがあるダンジョンで魔物と戦ってます。Aさんは結構苦戦してます。そしてBさんもその魔物が倒したい。さてどうしますか?

 1 Aさんもろとも殺す

 2 魔物と協力してAさんを殺す

 3 Aさんと協力して魔物を倒す

 みたいな三択だった。ってか…これBさんは魔物じゃなくてAさんを殺したいんじゃ?と思うところもあるが、これ間違える人いるのか?


 余談ではあるが識字率が低いこの国では、ひっかけ問題でよく落ちる人が多数いるのだ。魔物と協力すると、Aさんと協力するというとこがミソらしい。


 そして多分俺は満点で通過できるであろう確信をもって宿に帰ることにしたが…

 その前に衛兵さんに、この町の観光スポット?とやらを聞きに門前に向かう。


 門前に行くといつもの衛兵さんが立っていた。


「おう!たしかシンだったよな!どうした?」


 片手を上げて気さくに話しかけてくれる。


「衛兵さんに町の事を聞こうと思いまして」

「いいぜ~情報量は前払いでもらってるし!冒険者ギルドの試験はどうだった?」

「多分通ると思いますよ。まだ自信はありませんが…」

「そうかそうか!冒険者ってのはあこがれの職業だからな!あと俺の名前はダンだ!衛兵さんじゃない!」

「ダンさんですね」

「おう!しかし冒険者になって何をするつもりなんだ?」

「ん~…身分証が魅力でして…どこの町でも入れるんですよね?」

「そうだな!冒険者を拒む町はないと思うぜ!で?なにが聞きたいんだ?」

「この町の見所というか…この町のいいところを見て回りたいと思いまして」

「そうかそうか!だったらあそことかこっちも…」


 といろいろ観光スポットを聞いた。いい武器屋屋、防具屋、道具屋、飯屋などなどいろいろ教えてもらった。メモはできないが、意識して覚えようとすることは忘れない性質なので大丈夫だ。


「ありがとうございます。ダンさん」

「いいってことよ!俺はわりかしシンを気に入ってるからな!困ったことがあれば言えよ!」

「はい。頼りにさせていただきます」


 そういってダンさんと別れることにした。ダンさんは信頼には値するが、信用はしていない。

 これは俺の矜持だが、信頼して頼るのはいいことだと思うが、信用して騙されるのは、たまったものではない。

 信頼しても信用するな。これは前の世界で俺が培った価値観なのである。

 信用してすべてを信じるより、信用せずすべてを疑って自分の考えや、いろんな情報とすり合わせて、判断するのは基本だと思う。

 

 そんな人間不信みたいなことを考えながら宿につく、ココも部屋でおとなしくしていたみたいだ。


「ただい…ま?」


「……」


 ココが色がが混ざり切ったルービックキューブを、ジーと6面すべてを見ている…そして数秒見ていたかと思うと、ルービックキューブを机に置き、両手をついてルービックキューブに手を伸ばす。


 カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ


 まるでもう答えを知ってるかのように回して色をそろえていく。

 カチャカチャカチャカチャカチャダンッ!!


 そしてひっくり返していた砂時計(俺が10秒砂時計を渡していた)をバッ!とみる

 まだ砂は落ち切ってない…


「やりましたっ!!!砂が落ち切る前に…とうとうやりましたーっ!!」


 えぇ…数時間でプロレベルまで腕が上がってるんだけどこの子コワイ…


「あっ!シン様!おかえりなさい!」

「あぁ…うんただいま…」

「このおもちゃ面白いですね!頭の中で立体的に回転させて、色をそろえる手順を考えて、短い時間で考えるのであってるのか不安ですが、それを間違えないように手順通りに回転させるのです。その回転のさせ方も…」


 どうやらめっちゃはまったらしい…というか俺は普通にやっても6面そろえることができないのだが…俺が異端なのか?


 とりあえずココによるルービックキューブ講座を、半分ほど聞き流しながら話を聞いていたら、夜になっていた…どんだけはまったの?とりあえずルービックキューブはすでに消しておいたと言っておこう

 ココが泣きそうになっていたが、獣人の国についたらプレゼントしてもいいかなとは思ってる…


 食事を部屋でとり、お湯をココに渡して、ベットを2つだして眠る。どうやら性欲と食欲がほぼなくなってるかわりに。睡眠欲だけはめちゃめちゃあるようなのだ…日が暮れたらすぐ眠くなる…そして朝早く起きる…年寄みたいだが…睡眠欲だけには勝てそうにないのでおとなしく寝ることにする。


「明日から身分証が発行されるまでは旅の準備の買い出しとかをやるから、そのつもりでな」

「はいっ!」


「んじゃ先に寝る…おやすみ…」


「おやすみなさいませ、シン様」













 そしてギルドの身分証が発行されるまでは、旅の準備をすることにした。俺は朝の日課をしつつ、ココと一緒に旅に必要なものをピックアップしていく。食料や水がほぼ中心になる。とはいえ徒歩で行けるとは思っていないので、馬を2頭買うことにした。

その資金を稼ぐために森に入りウルフやシルバーベアを狩り肉や毛皮などの素材を売り払い旅の資金に充てる。

 ウルフが一体分の素材が約20銀貨ほどでベアに至っては80銀貨ほどになった。

 俺は剥ぎ取りをココに教わりながら、なんとか売れる程度には毛皮をはぎ取れるようにはなる。


  ウルフ程度ならもう傷を負うこともなく、シルバーベアも二人で戦えばそれほど苦戦しなかった。

 

「しかしココはすごいな…相手の動きがもう完全に見えてるのか?」


「いえ…私は身体能力は獣人種の中では低い方です、それを補って、分析や予測が得意なので、知能の低い魔物程度なら動きのパターンは読み切れちゃいます」


 ココが魔物の動きを事前に教えてくれることで、敵の攻撃は当たらない。そしてシャドートレーニングの甲斐もあってかそれなりに武器を使えるようにはなってきている。 


「限りなく未来予知に近い予測か…それならいろいろと納得するな」


 最初の生き延びた夜も、ルービックキューブの件も…


「ココみたいな子が側近ならいろいろと安心できそうだなぁ」

「っ!?シン様がお望みであればいつまでも…」

「望まない望まない…ココならどこでもやっていけるから安心だな」

「むぅ…」


 そうして資金も何とか集まり、旅の準備は着実に進んでいた。

 

 










 そして身分証が発行される日。


「ココは荷物を馬に乗せて門の前で待っててくれ」

「はいっ!では予定通り西門でお待ちしておりますね」

「頼んだ」


 旅の荷物は食料、水を20日分、あと傷薬などの怪我に備えたものや、薬草など病気に使うもの、あとはココに必要ないろんなものだ。

 俺は基本体一つで何もいらないからな。


 宿のおかみに今日で宿を引き払う話をしておいた。余分の宿代はチップとして受け取ってもらっておいた。




 そして冒険者ギルドに入り受付に向かう。

 俺を担当してくれた受付嬢さんがいたので、話を聞いてもらうことにする。


「ようこそシンさん。今日はギルド身分証受け取りですか?」

「そうです。できてますよね?」

「合否は聞かないんですね」


 と受付嬢さんがほほ笑む


「まあ落ちるとは思ってないので…」

「結構敷居も高いし、そんな簡単に受かるものではないんですよ?」

「え?もしかして不合格なんですか?」

「…いえ、合格です!しかも満点で…」

「それはよかったです…頑張った甲斐がありましたよ」

「身分証はお渡ししておきますね。今日はどうしますか?クエストでも受けてもらえるんですか?」

「いえ、今日は身分証を受け取りに来ただけなので…」

「そうですか…ちなみに冒険者ランクというものがありまして、普通の方は銅から始まります。」


 これは説明で聞いてたことだ。冒険者にはランクがある。

 銅 鉄 銀 金 白金 の5段階だ。

 上に行けば行くほど高ランクのクエストを受けれたり、いろいろ国に対して融通が聞いたりする。

 しかし俺は全くその辺に興味がないので、銅のままでいいと思っている。


「今回シンさんは筆記テストは満点で…実技はなんと2日でクリアしました。なのでギルドの特別ルール―が採用になりまして、鉄ランクからスタートになります」

「そんなのあったんですね…筆記はともかく実技ってウルフ5体ですよね?」

「はい。通常ウルフ5体の討伐は森に罠を仕掛け、偵察にでてくるウルフを複数人で狩るのですよ。どうやっても5体分の素材を集めるのに1週間~1か月かかります。ウルフが群れて出てくると逃げるしかありませんし、運よく単独行動しているウルフを連続で狩れればその分速いですが…」


「じゃあ僕は運が良かったんですねぇ~」


 冷や汗をかきながらそう答える…嫌な予感がひしひししている…


「じゃあ鉄スタートという事で僕はこれで…」

 

 そういいながら鉄でできた身分証を受け取ろうとする。

 受付嬢がその身分証をススッと奥に引くように置く。


「確かシンさんは今日宿を引き払ってますね?」

「……」


「一緒にいた女性は、西門に向かって結構な量の荷物を運んでるそうで?」

「…だったらどうしますか?」


「優秀な冒険者は、町にとって喉から出るほど欲しい存在です。できれば町にずっと住んでいただきたい、そう思う人も少なくはないのです。特に上の方々は…」

「それで俺にどうしろと?」

「そうですね…まあこれは私の独り言なんですが…この町はヒュームレルム国の最西端、多少の問題があっても国に知られることはありません。人質を取られて、無理やり奴隷にされて、働かされる冒険者もいるかもしれませんね…」


そういい気味の悪い笑みを俺にしてくる


「ちっ…!」


 俺は身分証を奪い取り、ギルドから出ようとする。立ちふさがる冒険者共、つまりこいつらはそうゆう末路をたどった、哀れな奴らという事だ…


「どかないなら死ぬわけだがいいのか?」


 一応忠告はしておいてやる。


「俺らも命令だから逆らえないんだよ…だからおとなしく捕まってくれ…」

「俺は別にどうなってもいい…でもなぁ…この町でこれ以上あいつにひどい目を合わせたくないんだよ…」

「お前がおとなしく従ってくれるなら、あの子には何もしないさ…」


 あいつが獣人だとわかれば…そうはいかないだろう…なら俺は…


「まぁ…この町の事なんざ最初からどうでもいいな。受付嬢曰く…多少の問題は大丈夫だそうだぞ?」

「なっ!?」


 左手に刀を具現化し、目の前にいた冒険者に居合切り(もどき)で斬る。

 腹を切られ、背骨ごと一刀両断にする。血が噴き出て返り血を浴びてしまう。


「マジで容赦なく殺すのか…っ!」

 

 武器を一斉に構えるだす奴隷冒険者達。

 

(いちいち相手にしている時間が惜しいっ!)


 刀をいったん鞘に納刀し、入り口に向かって走る。

 入口を背に立っている冒険者に腰にさしてたナイフを投げつける。

 

 「っ!?」

 

 ナイフを投げられた冒険者はそれに気を取られ、その隙に横を走り抜け冒険者ギルドから脱出する。


「間に合えばいいが…」


 シンはそのまま冒険者ギルドを背に、西門に向かって走っていく…

お読みいただき有難うございます。

ココちゃんのルービックキューブ講座はウィキでどうぞ…

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