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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『魔女王は一人の少女に戻る』
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また会う日まで

 いつもより朝早く起き、お兄さんの寝顔でも拝見しようふひひ~と思って目覚めて、ルルさんの寝顔をじーっと見つめ満足して、お兄さんの部屋に行ったら、すでにお兄さんはいなかった。

 というか獣人たちが全裸で、気持ちよさそうに寝ているだけだった。夜這い…本当にやってるんだ…


 どこに行ったんだろ?厨房でアリサさんと挨拶して、来てないか聞いたら庭の方に行ったらしい。

 アリサさんとナギちゃんはお兄さんの事を、師匠と呼んでた。私にとっても師匠であるわけだけど…

 

 庭に行くと、ルイさんがお兄さんに組み敷かれてた。ルイさんは顔を赤くして、お兄さんはとっても嬉しそうな笑顔で…キスしそうなほどの顔の距離で…


「ルイさんとお兄さんがいちゃついてる…いつの間に…」


 まさかの真打登場だよ。私よりスタイル良いしルイさん…


「マオ様!?」

「いや?ルイさん、別にいいんだよ?私はお兄さんを、ルイさんにも好きにってもらいたいし?でもキスはちょっと早すぎるんじゃ?」

「違いますよ!?ちょっと訓練に付き合ってて…あなたも何か言い…もういない!?」

「ちょっと惚れちゃった?」

「そんなわけ…でもなんとなくわかりましたよ…マオ様がおっしゃることは…少しマオ様と似てますね…彼は」

「逆だよルイさん。私がお兄さんに似てるんだよ」


 なんせ私の魔法の師匠だ。あの姿に憧れてたんだ。そりゃ弟子は師匠に似るよね。



 その後私は、ココに渡してもらっているナイフに魔法を付与する。彼への想いを込めながら…少し魔力を込めすぎて…疲れちゃったけど…これがお兄さんの…心に届けばいいな…なんて考える。






 お昼過ぎにココと二人でちょっとお話をする。


「ナイフ返しとくね。魔法はちゃんと付与されてるから」

「ありがとうございます。これでシンは満足してくれるといいのですが…」

「してくれない?」


 これでお兄さんは死を手に入れたはずだ…これ以上何を望むんだろう。


「シンはここに来るまで、いろいろと考えているのは、知っていました…彼は私たちの想いに応えたい。そうちょっとは思ってくれてます」

「だったらこれで、彼の旅は終わりじゃないの?」

「私の予測では…彼はもう一つ望むはず…普通の体で、いつ死ぬかもわからない、当たり前の状態で…人生を全うしたいと…」

「老いて安らかに…じゃあ駄目なんだね」


 不死すらも消して、普通の体に戻りたいという事だろうか…


「人生を普通に生きた結果が、老衰ならいいのでしょう…彼は明日死んでも悔いはない、そういうふうに生きる人です」

「今を楽しく!って感じだよね…」

「ええ…なので…きっとこのナイフを手に入れたら、シンはまた旅に出るでしょう…それも一人で」


 ココはほぼ確信している。一番彼と長くいるから…彼の気持ちがわかっちゃうのかな?わかりすぎる気もするよね…


「それでどうするの?引きとめる?付いて行く?」

「私の本心は付いて行きたいです…けど…シンが行きたいというなら行くなら私は止めません…私はいつも通り、シンを追いかけることにします」

「追いかける?一緒には行かないんだね」

「ええ…邪魔はしたくありません。なら私は、自分が役に立てると確信してから…彼を追いかけます」

「そっか…ココ…たまにはわがままを言って、困らせないと、愛してもらえないよ?道具じゃないんだから…愛おしいと思わせないとね」

 

 ココをギュッと抱きしめる。彼女はお兄さんの役に立てない自分が嫌なのだ。そんな自分に彼の横にいる資格はないと、そう思ってしまっている。


「お兄さんも、ココが便利だから、傍に置いてる訳じゃないのは、わかるでしょ?あんまり根詰めないでね?」

「ええ…ありがとうございます…マオ…」





 その後お兄さんに、ナイフを渡し、お兄さんに殺すという概念を付与してもらったんだけど…

 きれいだった純白のナイフが、真黒になり、消えていた刃も戻る。そこまで…彼はまだ恨んでいるのだろう…この世界の神を…

 しかし…確かに残った6本の白い線、あれは私と獣人たちの魔力だ。それを見て、少しは何かを感じ取ってくれるといいのだけど…


 その後ココは私に気を使って、二人っきりにしてくれた。そう言えばこうやって二人で話すのは初めてかもしれない。

 彼の横に寄り添い話をする。お兄さんと話するのはとても楽しかった。それに…私の事を覚えてくれてた…たった一度、しかもたくさんのうちの一人だった私を、覚えてくれてたなんて…ニヤニヤしてるのがばれるのが嫌で、ちょっと茶化してしまった。


「知らないのか?マオ神様?」

「ふぇ!?」


 そんな気はしていたけど…詳しく!


「誰がそんなこと言ってたの?」

「ん?自分の町を納める貴族の名前も知らないのか?」

「アミルさんだよね?」

「そうだ。アミル・マオシン卿だ。正直…最初は、痛い子なのかな?とか思ってたな」

「…私この国を出よう…」


 ついでにアミルさんの奴隷契約も切っておこう…


「そう言えば、その貴族の町に真新しいでっかい教会が立ってたぞ?たぶんあれは…マオ神教会だろ?」

「…ぶっ壊す…」

「まあまあ…落ち着けって…愛されてるんだから…ほっといてやれよ」

「むぅ…お兄さんがそう言うなら…そういえばさ、お兄さんバイクとかって創れないの?」

「創れないな…構造が分かるなら、造れないこともない、俺の能力もマオと同じだ。俺のイメージできない物は造れない」

「そう言えばお兄さんと同じような、能力だよね。お兄さん魔法使いたくない?」

「使いたい…が…はぁ…俺の心をえぐるなよ…」

「簡単なものならお兄さんでも使えるよ?私の魔力を介して」

「やる!」

「んじゃあこの水を使おうか」


 とコップに入った水を使う。


「私がお兄さんの体に、魔力を流すから、お兄さんはそれを使って、水に魔力を流してイメージする。あとはイメージを言葉にして紡ぐだけだよ」

「わかった」


 そう言ってお兄さんは、コップの入った水に指を付ける。私はお兄さんの胸を直に手を当て、魔力を流す。


「お…これが魔力か…すごい…自分の中に不思議な力を感じる…」


 嬉しそうに私の魔力を操作する。これは思った以上に…お兄さんと一つになってる気がして…少し恥ずかしい…


「イメージだな…水を…集約…熱を奪って…氷に…指から…打ち出す」


 へ!?そんなに大量のイメージで!?ゴリゴリとお兄さんに魔力が吸われる。


「着弾…破裂…爆発…」

「すとーっぷ!!」


 込めていた魔力が霧散していく。 


「うお…なんだよマオ…せっかくいい感じになってきたのに…」

「何をしようとしたのかな?」

「ほら…こう手銃でさ、パンって氷を撃って、着弾と同時に内部に込めた熱エネルギーを爆発させて水素爆発を起こしつつ、爆風でぶっ飛ぶとか、そんなイメージを…」

「やめて!?屋敷が吹き飛ぶよ…簡単なものって言ったよね?」

「す…すまん…ついテンションが上がった…没頭すると、どうしてもな…」


 ホントこの人は…私と似すぎだよ…ただ危険な方向に行かないだけ、私はマシかもしれない。

 その後、水をボール状にして、ふわふわ浮かせて楽しんでた。魔力操作、結構難しいはずなのに…いとも簡単に…でも楽しそうなお兄さんの顔を見れたのでいっか。


 そしてお礼にとお兄さんの魔法も、教えてもらったんだけど…技術がいるものが多くて、要練習だ…

 

 お兄さんに魔力を流したこともあって、魔力切れ特有の倦怠感が、私を襲ったので、お兄さんの膝枕で少し眠った。お兄さんは何も言わず、私の頭を撫で続けてくれた…


 その後ルルさんが来て、お兄さんに耳を撫でられ、気持ちいい、腹をくすぐられ、くすぐったい。少し放心していると、目の前でルルさんが、右フックと左フックを、交互にお兄さんに浴びせていた。


 お兄さん今何回か、首折れたよね?





 そして寝る前に、ココに頼まれていた、お兄さんを止める最後の望みとして、ルイさんとルルさんにお願いしておいた。

 私が行かないのは、私は止めるべきではないと思っているからだ。私はセフィーをギュッとして眠る。

 お兄さんがルイさんとルルさんに、危害を与えることはないだろう。あのルイさんとルルさんを、どうやって止めるのかは知らないが…きっと彼なら普通にこの町を出ていくだろう…


 またね?お兄さん。次会う時は、私も…心の準備をしていくからね。そう言えば、今回の件の報酬を、私はもらってないなぁ…ふふふ…貸し1だね…利子を付けて返してもらわないとね…






 翌日の朝、庭になぜか置いてある、ふかふかのベットで眠るルイさんとルルさんを見つけた。仲良さげにお互い抱き合って寝ていた。可愛いなぁ…

 起こしてあげると…


「マオ様…すいません…逃がしてしまいました…」

「いいよ!別に私は止める気なかったしね」

「なんか…とても悲しそうな…泣きそうな顔で笑って…マオ様を幸せにしてやれよっていわれたよ…」

「そっか…じゃあちゃんと幸せに生きないとね!ルイさんルルさん!旅の支度だよ!」


 そして私は旅の支度をする。お兄さんとは、またすぐ会える気がするんだ。


 なんせ運命の人なんだからね!

いつもお読みいただき有難うございます。

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