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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『魔女王は一人の少女に戻る』
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小さな魔力と大きな想い

 お兄さんを屋敷の中に連れていく。そして…彼を救う方法を…ココちゃんから提示される…


「そうです。神殺しの魔法を…使えないかと」

「やってみないとわからないけど…神を殺す…かぁ‥無理だね…私は殺すとか危害を加える魔法は創れないんだよね…」

 

 私の魔法創造は、イメージが全てだ。そして…残念ながら人に危害を加える…ましてや殺すなんて…まったくイメージできない。


「別に魔女王様に、そこまでしてもらう必要はありません。神に干渉する。それだけでいのです」


 干渉する…あの得体のしれない管理者さん(神様)と、仲良く手を取り合う為に…触れる…それなら…できるはずだ。果たしてスキルに干渉できるのか?それはわからないけど…ココちゃんの言った魔法を私は作って見せよう。


 そしていったん夕食まで解散となり、私は彼を慕う獣人さんとお話がしたくて、自室に招く。

 狐族のココ、ミーコ、蝙蝠族のリリア、狼族のサーニャ、犬族のシユ…彼を想う5人の獣人さんだ。


「マオ様?何か御用が?」

「敬語はやめよう。ココ。私はマオでいいよ。私も実は…シンに惹かれてる一人なんだよ?」

「え?マオはシンに会った事がある?」

「そうだねサーニャ。私は元の世界で、お兄さん…シンを一度だけ見たことがあるんだ」

「一度だけ…でもそう言えば私とシユも一度しか会ってませんね?それで惚れさせるなんて…先生は罪な人ですね」

「ねー!」

「ふふふ。そうだよね…彼はなんていうか…無邪気に楽しそうに笑う時があるよね。あの笑顔に惚れちゃった」

「シンは…罪な男…ね」

「まったくだよ…これじゃあ私たちチョロインだよね…」


 ほんと…でもお兄さんがあんなに楽しそうにしてると、こっちも楽しくなってしまうんだよね…


「マオ…一つ私たちのお願いを聞いてくれませんか…」

「一つと言わず!できる限り協力するよ!同じ彼を想う同志だからね!」

「ふふふ…ありがとうございます」

 

 ココがカバンから一つの透明なナイフを取り出す。


「これは今回のために用意した、ミスリル鉱石のナイフです。これにマオに魔法を付与してもらうのですが…このナイフに…私たちの魔力を込められないでしょうか?」

「魔力を込める…?」

「ええ…私たち獣人は魔法を使う適正はありませんが…魔力はあります。ミカヅキ卿にもらったステータスにも書いてありました。なので…」

「回復するかわからないし、倦怠感がすごいよ?それに出来るかどうかは、やってみないとわからない。しかも失敗できないよ?それでも?」

「どうせ魔力使わない。シンの為に使えるならいい」とサーニャが

「私たちは楽しくなる魔法を覚えてますからね!魔力なんていりません!」とミーコが

「お兄ちゃんの魔法があれば、ほかの魔法は使えなくていいよねー?」とシユが

「シンの為なら…この魂まで…使っていい…よ?」とリリアが

「きっと気休めです。あまり意味のないものなのかもしれません。それでも…私たちの力が少しでもシンの為になるなら…」とココが


 各々にシンの為ならと。

 ホント想われてるよね…私も頑張らないとね!


「わかったよ!じゃあみんな、私の魔力で、みんなの魔力を動かして、ナイフに入れるからね!」


 はい皆!手を繋いで~と5人が手を繋ぐ。


「ちょっと我慢してね?」


 私はナイフを片手に持ち、真ん中にいたココの胸に手を当てて、5人全員に魔力を通す。

 通した魔力を端にいた二人から順に、自分の魔力ごと、全部集めていく。感覚で言えば、小さな砂粒を、落とさないように、ゆっくりゆっくり、自分の魔力の中に閉じ込めて、移動させていく、本当にちっさな魔力だ…油断すると、全部零しかねないほどの…集中しないと、どこに行ったか分からない様な…

 そしてその小さな小さな魔力を、ナイフに通して、ナイフの中に置く…

 すると透明だったナイフが、真っ白になる。純白のナイフに。あったはずの刃は無くなり、まるで変質したかのように…


「おお‥綺麗…」


 これが彼女たちの…想いなんだろうか?あんな小さな魔力が…こんなに綺麗な物を作り出すなんて…


「大丈夫?動ける?」

「はい…体は怠いですが、大丈夫そうです」


 ぐったりとした彼女たちに、ナイフを見せる。


「できたよ?これが…シンへの想いの結晶なんだね?ほんと…純粋できれいな…妬けるよ」

「何言ってるんですか…マオ…あなたもその一人でしょ?私たちでシンを支えるんですからね」

「…ありがとうココ…後は任せて。ちゃんと魔法を込めるからね!」

「ええ…任せましたよ」





 その後私たちは夕食に向かう。大広間でメイドさんがセッティングしてくれていた。


「あれ?こんな形式で食事出したことあったっけ?」


 いつもならドンッと、沢山の料理が出るのが、うちの夕食だ。各々好きなものを食べる。バイキング形式のようなものだったはず?

 目の前にはナイフとフォークだけ置かれ、席に着くと食事用のナプキンを、首につけられる。


「お酒はありませんので、果実水になりますことを、ご了承ください」


 とメイドさんがグラスにジュースを入れてくれる。


「こちらがオードブル、季節の野菜のテリーヌなります」

「「「「「「「綺麗…」」」」」」」

「ええ!?フランス料理!?」


 みんな各々に食べ、感嘆し、黙々と食べる。


「スープのビシソワーズになります」


 黙々と食べる。まって?おかしい気もするんだけど…


「魚料理ですが…料理長から言伝があります。ムニエルにする予定でしたが、時間の都合上カルパッチョになってしまい申し訳ありません。しかしこのカルパッチョは、メインにふさわしく仕上げたつもりなので、どうかお楽しみください。だそうです」


 3色の魚の身が美しく花のように盛りつけられ、少し酸味のあるドレッシングが調和していて、とても美味しい…じゃなくて!?料理長!?

 みんな黙々と食べている…


「お口直しのシャーベットでございます」


 口の中の魚の油を、さっぱりとさせるような、そんなさわやかなシャーベットだ。


「お肉料理のステーキ・フリットでございます」


 ステーキだ…焼き方が絶妙で。お肉の旨みがお口の中に広がる。付け合わせの野菜も口をさっぱりさせる香草と、レタスのような葉野菜に、しっかりと蒸して柔らかくなった根野菜。どれも野菜の甘みが出ていて、単体でもおいしい。

 皆、昨日と打って変わって、全く喋らない。一言も発しない。それが料理にとって失礼だと言わんばかりに…ひたすら味に酔っている… 

 誰が作ってるのか、気になったので、食べ終わったらすぐに厨房に向かう。シェフを雇った覚えはない。お兄さんはご飯は食べなくてもいい体質だけど…まさか?


 厨房で、職人のような顔をした、お兄さんがいた。


「お兄んさん何してるの?」


 ほんと…何してくれてんの!?


「おい。客が神聖な厨房にくるんじゃねえ。おとなしく席で待ってろ」

「こっちのセリフだよね!?」


 なんでうちの厨房制圧してんの!?料理長とか呼ばれてたし!客はあなただよ!!


「追い出せ!」

「はっ!」

「ええ!?あなた達は私のメイドさんだよね?ちょっと!?」


 メイドまで…なんで!?両脇を抱えられ、席まで戻される。


「すいませんマオ様。彼の仕事ぶりには、メイドとして従わなければいけません。そうじゃないと私たちの格が落ちます」

「ええ…たった数時間で私の屋敷が、お兄さんに制圧されてるよ…」

「でもこれは…我を忘れて夢中で食べてたよ…シンさん恐るべし…」

「「「「「「「「「……」」」」」」」」」

「まだ私と三日月さんは元の世界に耐性があるからいいけど…みんな放心してるよ…」

「これがコースなら、まだデザートもあるのにね」


「デザートのミル・クレープ~マオの町の果物を添えて~になります」


 そしてまた無言で機械のように黙々と皆食べ始めるのであった。



「ツバサ…かんどーしすぎると‥何にもことばが、でなくなっちゃうんだね…」とシャルが

「これは…ちょっとまずいわね…普通の食事を食べれなくなりそう…」ミーシャが

「ほえぇ…これはなんというか…神の料理?」スピカが途切れ途切れ言葉を発する。

「ナギに期待するしかないけど…このレベルはさすがに…マジで何者だよあの人は…」


 食事を終え、何とか現世に帰ってきたメンツが各々喋り出す。

 獣人さんたちは席を立ち、みんなどこかへ向かう。


「ココ。みんなもう寝るの?」

「はい。シンに夜這いをかけに行きます。マオも来ますか?」


 ピキッと固まる。気軽に夜這いに行ってきまーすって…ええ…


「シンは起きないから、勝手にやってるだけ」

「シンを…欲情させるのは…無理…ね」

「私は心の準備が…まだだから、遠慮しておくね…」


 そんな軽々しく…私はいけない…


「いつでも待ってるよ!」

「今日こそお兄ちゃんに、愛してもらうよ!」


 シユとミーコまで…元の世界なら警察さんがやってくるよね…

 でもいつか私も…そんなふうに考えてしまう…悶々としながらルルさんと眠ることにした。

いつもお読みいただき有難うございます。

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