ただの一人の女の子として…
30日に一回、私の屋敷で町の会議を行う。
町での問題や、要望、それらに対する改善案などを話し合う為に。
そんな堅苦しい建前だけど、私にとっては、たまにはみんなで集まって、お茶でもしようよ!って感じなんだけど…
なので今この屋敷の大広間に商人ギルドの獣人さんと屋敷のメイド、総勢100名近くが集まってる。
私がボーっとしてる間に、屋敷の改築が着々と進んでて…なんかお城のようになってるけど…なんでこうなったのかはわからない…
商人ギルドは獣人さんに一任しているらしいので、近況報告を。ほかの事業に対しては、アミルさんとカインさんが統括してるそうなので、集まるのはいつもこのメンツだ。
「獣人国への行商は順調です。今は獣人国の首都に拠点を置き、そこからこちらに貿易品を輸出入させております」
犬耳の獣人さんが報告する
「順調ならよかったよ~私のわがままで始めた事だからね…」
「この商売は、いずれ国をも豊かにすると思いますよ?もうすぐでマオ様から御貸しいただいてる、開業資金も返済できるかと」
「別にいいよ…とは言いづらいよね…私のお金ではないしね」
「町の拡張の方も順調です。そろそろ奴隷の底も突くそうなので、一度町の拡張を終了する予定です」
カインさんが報告してくれる…一度ってことはまだ広くするつもりんだね…
「やりすぎないようにね?魔物の大発生をちゃんと反省してるよね?」
「もちろんでございます。冒険者ギルドと連携を取り、魔物の生態についても調査済みでございます」
「ならいいけどね…町の工事をやってくれてた人達の仕事はどうするの?」
「街道の整備や古くなった家の建て直し、それで仕事が足りないようでしたら、一つ考えはございます」
「なんだろう?」
「ここより少し北にある鉱山を、国が解放することになりました。そこでの炭鉱夫として働くのが良いかと?」
「あんまり無理させたら、奴隷と変わらないけど…そこんとこ大丈夫?」
「給金はとても良いので…1日で3日分の生活費が稼げると思います。なので働きたい人を毎日募集します。おんなじ人が4日以上連続で働くのは禁止とさせてもらいます」
「ふむ…じゃあ大丈夫かな…」
「報告は以上となります」とカインさんが締める。
最後に私の番だ。
「まずは…みんなにプレゼントがあります」
ルイさんとルルさんに大きな籠と、少し小さめの箱を持って来てもらう。
全員に服とそれにつけるボタンのようなバッチを配る。
メイドさんと執事さんには、メイド服と執事服。魔力糸ではなく最高級のやつだ。
商人ギルドさんには、フリフリの着いた白を基調にし、首元に青いリボンのついた可愛い制服だ。若干ゴスロリっぽいが…元の世界の喫茶店でこういう可愛い服を見かけて憧れてたんだよね!
バッチは美女桜の花が刻印されている。桜に似てるけど、ちょっと花びらが長いんだよね。
この花は一つ1つはとても小さいけど、寄り添いあって咲いて、とても綺麗なんだよ。私たちもそうなれるといいな。そういう意味を込めて。
「わざわざ商人ギルドにまで…ありがとうございます…」
感慨深く言い、お辞儀をする犬耳の獣人さん
「私の御用達なんだから!ちゃんと私の家族の一員みたいなもんだよ?」
「ありがとう…ございます…」
そんなに喜んでもらえると私もうれしいってものだよね!
ここからが本題である。
「さて…近々私の同郷っていうのかな。その人たちがこの町に訪問します。それを歓迎したいです」
「マオ様の同郷…」
ゴクリっと唾を飲み込む音が聞こえる。
「神が他の地にも降臨してるというのか…」とボソッとカインさんが言う。
「この同郷の人達の事を説明するのに、まず私について話しておきます」
私は一息つき、覚悟を決める…
「私は実はほかの世界から来ました。召喚されたのは知ってるよね?」
「それは一応聞いておりますが…」とアリサさん
「この情報は一応秘密という事でお願いします…私は元の世界では…ただの女の子でした」
「……」
「ごめんね、私は特別でもなんでもない、ただの女の子なんだよ?元の世界ではありふれた…ただの何処にでもいる一人だった。元の世界で死んじゃって…この世界に呼ばれたんだ。特別な力を持って、ただの一人だった私は、魔女王になった。だからホントの私は、泣き虫で、臆病な、特別ではない、ただの一人の女の子なんだ…」
だから…と彼女は続ける。
「もしこんな私に…幻滅して私の元を去るなら…私はそれを止めません。みんなが責めるなら…受け入れます。騙してごめんね?」
そこで私は俯いて喋るのをやめる。みんなの反応を待つ。
「確かにきっかけはマオ様の力だったのかもしれません」
ルイさん沈黙を破る。
「でも私たちが惹かれたのは、ただのマオ様だよね?妹ができるとこんな感じなんだろうな~ってね?」
ルルさんが嬉しそうに言う。
「私たちは最初から、マオ様を一人の女の子として、惹かれております。腕白な私たちのお姫様。そうでない者は、今この屋敷にいません」
アリサさんが憮然とした態度でそういう。
「マオ様の魔法に惹かれたのではありませんね…マオ様の御心に、私たちの本能が動いただけです」
犬耳の獣人さんが胸に手を当てそう言う。
「だから心配しないでください…マオ様。あなたの力だけに惹かれている人は、この屋敷にはいません…あなたの為人に、惚れている人たちの集まりですよ?」
そう言ってルイさんが手を握って、私と目を合わせる。
「マオ様に悲しそうな顔は似合わないよ?」ルイさんが
「ですね!私たちを振り回していただかないと!」アリサさんが
「ふふふ…モフモフしますか?」犬耳さんが
「屋敷でのモフモフ譲れないよ…?」ニーアさんが
「そんな些細な事、お気になさる必要はないかと」カインさんが
「マオ様といると…楽しいですよ?」フーコちゃんが
「ご主人の力に引かれました……その力に感謝はしてます…けど…私は本当のご主人を知っていますから…それでも私はご主人が大好きです」とセフィーが
各々がそう言ってくれる……これがお兄さんの言ってた魔法だよね。
私はいい人に恵まれて幸せだよ。彼ら彼女達が、私に使うこの魔法は、とても暖かくて…
「ありがとう!みんな!これからもよろしくね!」
なんて少し涙を流しながらも…笑顔でそう答える。
いつもお読みいただき有難うございます。




