例外な主人公と正規主人公の邂逅
「アミ、ミカ、ナギ下がって」
メイドを下がらせるミカヅキ卿。
俺はココに目配せする。こっちは頼んだぞ?と
ココはうなずき、俺の後ろに下がる。
「いい女を侍らせてんな?俺が勝ったらくれるか?」
挑発する。
「じゃあ僕が勝ったら、後ろの可愛い獣人さんたちはもらえるんですか?」
「いいぞ」
即答する。むしろ連れてけよ?
「なっ!?彼女達はあなたを慕ってるのでは?」
「だからどうした?どうすんの?交渉はせいり…」
と言われた瞬間俺の心臓に剣が突きさされる。なんだこれ?速すぎて見えないわ。
ドサッ!と倒れ死んだふりをする。ココたちを引き取ってもらえそうだし…負けるのも…
「そんな…シン?」とココ
「え?この程度で死なないですよね?」とミカヅキ卿が困惑する
無視して死んだふりをする。この程度っていうけど…心臓に剣が刺さったらふつう死ぬぞ?
「では…私はシンの魂を追うのでこれにて…」
「なっ!?やめろぉ!」
獣人達の愛が重いよ…たすけて…
俺は手を翳し、自分を殺そうとしている馬鹿どもの上に金ダライを落とす。
ガガガガガーンと金ダライが4つと森に一つおちて、馬鹿どもの頭に命中する。
「…あのなぁ…俺が死んだら、次の男を探せよ?一緒に死にますとか重すぎるわ…」と立ち上がる。
頭を押さえて涙目になりながら睨むココ。
ふざけないでください!!という意味を込めて…
「ふざけないでください!!何がしたいんですかあなたは!?」
ミカヅキ卿が怒る。
「あわよくば、獣人を、愛され上手なお前になすり…んんっ!お前を愛してもらおうと思ってな。獣人は強い人を、好きになるみたいだしな」
「彼女達を愛する気はないんですか?」
もっと言ってやれ!とココ達がツバサを応援する。お前らどっちの味方だよ…
「人じゃなければ…愛せるんだがな…んで?俺が本気で戦うと周りが全部死ぬわけだがいいのか?嫁が全部死ぬぞ?ここでやるのか?」
ミカヅキが消えたかと思うと…いつの間にか俺の腕を掴んでて…
「じゃあ、ステージ移動ですね」
そう言って俺をブン投げる。空に投げられた俺は十数キロ吹き飛び。
地面に落ちると、木々をバキバキ折りながら転がる。
結構な距離を転がり続け、木に叩きつけられ止まる。ソフトにやれよ…まったく…と立ち上がる。
ドンッ!とミカヅキ卿が俺の前に着地する。
服がボロボロになったのでジャージに着替える。
「まあちょっとだけ話そうぜ?神に愛されてる主人公さんよ」
「元々そのつもりですよね?いちいち回りくどいんですよ…」
「俺の目的は知ってんのか?」
「ええ…管理者に聞きました。死ぬ旅をしてるとか?」
管理者ね…それが神か
「そそ、その為にお前の力がいるらしい?俺の後ろにいた、背の高い方の狐族の獣人が言うんだよ。だから協力してくれ」
「貴方の為なら協力しませんが…彼女の為ならいいでしょう」
「ケッ…この女好きが…」
「そういうわけではありませんが…それだけですか?」
後は俺が喧嘩する理由だな。
「サーニャって狼族しってるな?」
「はい…一時僕の奴隷でしたから…」
「あいつの能力も知ってたんじゃないのか?」
「…神獣化というやつですか?」
殴ることが確定した。
「知ってるか?それが発動すると、見境なく人を襲う。あいつはもうちょっとで、この世界で一番大事な人を、殺すとこだったんだぞ?」
「なっ‥そんな…」
「いいか?俺たちはこの世界の常識から外れた化け物だ。肝に銘じろ。後の事をもっと考えろ。あいつがどんだけ切羽詰まってたか、わかってたはずだぞ?あと……死ね」
俺は剣を具現化し、ミカヅキに迫る。
しかし…普通に避けられてしまう。
「ちっ…」
「僕たちが殺し合う理由はないはずですが?」
「サーニャを俺に嗾けた件で殴らせろ…と言うつもりだったが…気に入らないから、お前を殺すことにした」
「なら僕も自分を守るために、あなたを殺しましょう」
いいね。チートな身体能力に、能力を奪い取る力もある。見通す目も。
最終的に神に至る系のチートだよな。
俺は剣を振る、しかし一つも当たる気はしない。ミカヅキが俺を殴る。技術も何にもない、ただ速く、ただ力強い。それだけなのに俺は何もできない。
体は吹き飛び、手足も消し飛び、顔面も何回も吹き飛ぶ。
「御門さんでは僕には勝てません…」
「おいおい…上から目線がむかつくな?絶対泣かす」
そして俺が蹂躙される戦いが始まる。自分の認識から外れた力には、身を盾にしても勝てない。
壁を作っても砕かれ、不意打ちに剣を突いても避けられ、殴られた瞬間に殴っても避けられ、ボコボコにされる。
まったく…三下はつらいぜ…
数時間ほど殴られ続け…
「いい加減諦めてくれませんかね…?」
「お前がここで…俺を殺せるなら、諦められるんだがな…」
「仕方ありませんね…」
そう言うとミカヅキ卿は、俺を木に押し付け、木に俺を張り付けるように胸に剣を刺す、手足にナイフを刺す。
「死なないなら動けなくなってもらいます。僕は戻って、獣人さんたちにあとで回収してもらいますよ」
「虫にでもなった気分だよ」
「まあ僕から言えば、虫のようなものですし?」
と挑発される。
「そうか…虫も割と侮れないんだぜ?」
そろそろ数も揃ったからいい頃合いか…
「負け惜しみですね…」
ドッスン!と俺の前にでっかいミサイルのようなものが落ちる。
「これなーんだ?」とにやりと笑い。
「なっ!?ぐっ…」
ドォーーーン!と爆発する。
数キロ先まで衝撃が届き、木々をなぎ倒していく。
数分すると爆風が収まり、巻き上げた土埃がはれる。
「驚きましたが…この程度では…」
割と無事な三日月が立っているようだ。地面に足を突き刺し、吹き飛ばされないように耐えたのか?
俺は縫い付けられている木が倒れたので、仰向けになり、三日月の声だけが聞こえる。
「誰が終わりだって言った?」
どどどどどっ!と辺り一面に降り注いでいく爆弾。そして爆発していく。
ドドドォーン!ドドォーン!と辺り一面を更地に変える空爆が始まる。
「なっああぁぁ!?」
あらゆる方角からの爆風で、さすがのミカヅキも飛んで跳ねてと振り回される。もちろん俺も…
核爆弾とかそういう効率のいい爆弾ではない。ただ火薬をぶち込んで、広範囲に爆風と鉄の破片をまき散らすだけの物だ。これは上空に作り、傘をつけ上に浮かせておいた。飛空艇で小さなものを作り、実験をして、なるべく広範囲に爆風が広がるように工夫した。デカいのは初めて作ったが…あながち成功だな。傘を消せば落ちてくる。
それが数十分降り続く…
爆弾という暴力の雨が収まると、俺は立ち上がり、空から水を降らせ、ミカヅキ卿を探す。服は燃え切って全裸になってたのでまた服を作って着て、傘をさす。山火事とかシャレにならん。
しばらく探していると、こちらも全裸になった、ミカヅキ卿が、俺の降らせている雨でびちゃびちゃになって、木を背に座っていた。見る限り無傷だ。
「生きてる?追加する?」
「やめてくださいよ…まいりました…僕は普通に痛みがあるんですから…僕のは回復ではなく、ストックのようなものです…削り切られたら死にます…」
顔を青くしてこちらを見るミカヅキ卿。
「まあ俺も気が済んだし、帰るか」
「服造ってくださいよ…」
「断る!全裸で帰れ。あとちゃんとサーニャに謝れよ」
「それはもちろん…しかし服を…」
結構吹き飛ばされたので帰るのに数時間かかった。服を作って!っと全裸で泣いて足にしがみついてくるミカヅキ…
流石に可哀想になったので、作ってやる…貴族っぽい黒のスーツだ。木の炭をベースに作ったので消えない。
「これはいいですね…ありがとうございます」
「まあ俺も大人げなかったからな…お前が悪い奴じゃないのはわかった。チートで調子に乗ってる系なら、あのまま死ぬまで攻撃してたからな…」
「なるべく気を付けてたんですが…それに別に戦闘狂ではないので…のんびり嫁と生きていきたいだけです」
「そっか…マオの町には何しに行くんだ?」
「嫁の心が…トラウマを受けていまして…それを治せるかもしれないという。魔女王様の元へ」
こいつはただ、自分の大事な者を守るために生きるんだな。
「魔女王は転生者だ。嫁が治るといいな…」
「そうですか…二人目の転生者なのですね」
そして元の世界の事をちょっと話す
「御門さんはどうして死ぬ旅をするんです?せっかくもう一回命をもらったのに…」
「俺は世界に絶望したんだよ…何しても理不尽に騙され…動けば動くほど糸に絡まるみたいにな…だから…最後は病気で死んだよ…やっと死ねる…そう思ったらこれだ…御門さんはやめろ。俺の名前はシンだ」
「わかりました…シンさんは死ねない体…というわけですか…僕とちょっと似てますね」
「ほう?」
「僕はトラブルメーカーでした。僕がいるところに災害が起きるような悪質な…信じられます?世界が怖くて引きこもってて、半年ぶりにちょっと徒歩5分程度のコンビニに行ったら、大型トラックが居眠り運転で突っ込んでくるんですよ?しかも僕じゃなく目の前の女性に向かって…」
「それを助けて…か‥お前は世界に嫌われ、俺は世界の人に嫌われたわけだな。…お前はこの世界に来れて、よかったと思うか?」
「ええ…あんなに可愛い嫁がいるのに…幸せですよ」
「けっ!惚気やがって…」
「シンさんこそあんなに、可愛い獣人に慕われてるじゃないですか…」
「俺はあんまり女性が得意じゃ無くてな…」
「それはどういう意味で?」
「仕事の関係でな…昔男娼をやらされたことがあってな…」
「どんな人生歩んだら、そうなるんですかね…」
「つまんない人生だよ…働くか死ぬかの二択しかない。くそったれの人生だ」
「生産系のチートなのに、銃とか作らないんですか?」
「造れるわけないだろ…火薬量も構造も原理もわからん、事前知識がある程度あって、作れるものだな、あれは…火薬を爆発させるだけならできるがな…」
「十分脅威でしたけどね…そうだ!僕の家に給水タンク作ってくださいよ…お風呂入れるの辛くて…」
「お前は…気が向いたら…作りに行ってやるよ…高いぞ?」
「移動費も全部僕が持ちますよ!ぜひ僕の快適ライフのために…」
「はいはい…」
そんなたわいもない会話をしながら元の街道に戻るのだった。
そして俺たちはココたちと合流する。
ココたちは俺の作った小屋でおやつタイムをしているはずだ。女子会ってやつだな。
ミカヅキをココたちに渡し、おれは三日月の嫁とちょっと話をすることにした。
心が壊れたって子が気になった。
街道の馬車の中でツバサを待っているという。
俺は馬車にノックして入る。
「シンだ。ツバサ・ミカヅキとは同郷で、今殴り合ってきた仲だ。よろしく」
「シャルだよ!」
「ミーシャよ」
「ひぃ…スピ…カ…です…」
「サーニャ」
シャルの膝の上にサーニャが座り、その横にミーシャとスピカが座っている。メイド三人は外にいる。
おいサーニャ…まてよ?
「そうか…サーニャはツバサと行くんだな…残念だが仕方ないな、サーニャをよろしく頼むぞ?シャル」
「まかせて!」とサーニャを抱きしめるシャル。
「まって、ごめん…シン…すてないで…」
サーニャは無視して、さて…この子が心を壊したという…
「さてお嬢さん。怖がらないで?俺はただの道化師さ。俺の楽しい魔法を魅せてあげるよ」
「すご…い!!なんで?」
「それは秘密さ。スピカお嬢さん」
「もう一個だ…け!おねがいします!」
「お嬢さんに俺の魔法が見破れるかな~」
トランプを具現化して、カードマジックをしている。驚いてくれるお客さんだと、すごく楽しい。
そんな感じで遊んでいると…
「僕の嫁が数十分で寝取られてる件」といいながら三日月が入ってくる。
「人聞きの悪いこと言うな…そんなつもりは毛頭ない。俺は楽しみ、楽しんでもらいたいだけさ」
「ツバサ様!すごいんですよ!この楽しくなる魔法!」
「スピカ…まさか…心が…」
「あっ…そういえば…」
いつの間にかたどたどしい喋り方が無くなっていた。与えられたトラウマ以上の楽しみを与えてやればいい。それは時間をかければ、ツバサにもできることだ……わざわざマオの町に行かなくてもな。
「スピカ…よかった…」と抱きしめあう二人。
「シンはすごいね!スピカを治しちゃった。シャルでも治せない心を」
「私たちもつい時間を忘れて、楽しんじゃってたわね…」
「俺は人を幸せにする魔法は使えない、それはこれから翼、お前が使うものだからだ。ただ…楽しくなる程度の魔法は使えるんだよ。しっかりその子たちと外にいるメイド、どうしたらそいつらが幸せになるか、想像して、想い浮かべろよ?」
考えてアイデアを出すのではない、大事な人を想って自分のできることをやる。それがきっと幸せに繋がっていくだろう。
「はい…ありがとうございます。シンさん…」
「俺はただ、俺が楽しいからやっただけだ。他意はないぞ?」
そして問題のサーニャの神獣化とやらを見せるために外に出ることにした。
「サーニャ本当にごめん…僕たちも一緒に行けば良かった…」と頭を下げるツバサ
「ツバサ…いい。おかげで、大好きな人ができたから」
「そっか…幸せにしてもらえるといいな…」
「それはとても困難…だけど頑張る」
全員に離れてもらい、首輪を外す。すると徐々に狼になっていき…俺の足元に鼻先をこすりつける。
「これが神獣…」
「きれい!」とシャルが駆け寄るが…
「ぐるるるぅぅう!」と威嚇する。
「あんまり近寄るな。殺されるぞ?こうなったらサーニャはいないらしい。俺には服従してるけどな…」背中を撫でてあげる。すると腹を見せるので、お腹を撫でてあげる。
「…シンさん…ホントすいませんでした…彼女の為とおもっていたけど…」
「もういいよ…存分に殴ったしな」
「あれは痛かったですよ…」
「それよりサーニャが言ってた、シャル。その子はなんだ?異常だって言ってたぞ?」
「あぁ…この子は天人族です。シャル羽だしてもらっていい?」
「はーい!」ときれいな光る羽を出す。
「おぉ~実在したのか…なるほどね…」
ずっとお腹を撫でっぱなしにしてたサーニャを元に戻し…
「ミカヅキ卿。マオの町は行くのか?」
「卿は正直恥ずかしいのでやめてください…まあ二人目さんとも会っておきたいので、顔だけ合わせたら、また一度拠点に戻ります」
「ココ、予定では同行するんだっけ?」
「のつもりだったんですが…実は私たちは規制を食らってまして…」
「は?なんで?」
「わかりません…ですが…ひとまずあの辺を納める、貴族の元に行きます」
「わかった。んじゃあツバサとはここでお別れだ」
そう言って具現化した紙を渡しておく。
「これは?」
「なんかあったらこれを燃やせ。そしたら俺が気付く。同郷のよしみだ。助けてやるよ」
「ありがとうございます。では僕はこれを」
ツバサも俺に紙を渡す。
「ステータス?そんなのあるのか?」
「ええ…僕にしか見えないものですが、シンさんの奥様方の分もあります」
「奥さんじゃないけどな…まあ参考にする、じゃあまた機会があったら会おう」
「ええ、是非」
そうして三日月翼と別れる。これで俺の旅は前に進んだのだろうか?
いつもお読みいただき有難うございます。




