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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『イレギュラーは死を手に入れる』
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例外な主人公と正規主人公の邂逅

「アミ、ミカ、ナギ下がって」


 メイドを下がらせるミカヅキ卿。

 俺はココに目配せする。こっちは頼んだぞ?と

 ココはうなずき、俺の後ろに下がる。


「いい女を侍らせてんな?俺が勝ったらくれるか?」


 挑発する。


「じゃあ僕が勝ったら、後ろの可愛い獣人さんたちはもらえるんですか?」

「いいぞ」

 即答する。むしろ連れてけよ?


「なっ!?彼女達はあなたを慕ってるのでは?」

「だからどうした?どうすんの?交渉はせいり…」

 と言われた瞬間俺の心臓に剣が突きさされる。なんだこれ?速すぎて見えないわ。


 ドサッ!と倒れ死んだふりをする。ココたちを引き取ってもらえそうだし…負けるのも…


「そんな…シン?」とココ


「え?この程度で死なないですよね?」とミカヅキ卿が困惑する


 無視して死んだふりをする。この程度っていうけど…心臓に剣が刺さったらふつう死ぬぞ?


「では…私はシンの魂を追うのでこれにて…」

「なっ!?やめろぉ!」


 獣人達の愛が重いよ…たすけて…

 俺は手を翳し、自分を殺そうとしている馬鹿どもの上に金ダライを落とす。


 ガガガガガーンと金ダライが4つと森に一つおちて、馬鹿どもの頭に命中する。


 

「…あのなぁ…俺が死んだら、次の男を探せよ?一緒に死にますとか重すぎるわ…」と立ち上がる。


 頭を押さえて涙目になりながら睨むココ。

 ふざけないでください!!という意味を込めて…


「ふざけないでください!!何がしたいんですかあなたは!?」


 ミカヅキ卿が怒る。


「あわよくば、獣人を、愛され上手なお前になすり…んんっ!お前を愛してもらおうと思ってな。獣人は強い人を、好きになるみたいだしな」

「彼女達を愛する気はないんですか?」


 もっと言ってやれ!とココ達がツバサを応援する。お前らどっちの味方だよ…


「人じゃなければ…愛せるんだがな…んで?俺が本気で戦うと周りが全部死ぬわけだがいいのか?嫁が全部死ぬぞ?ここでやるのか?」


 ミカヅキが消えたかと思うと…いつの間にか俺の腕を掴んでて…


「じゃあ、ステージ移動ですね」


 そう言って俺をブン投げる。空に投げられた俺は十数キロ吹き飛び。


 地面に落ちると、木々をバキバキ折りながら転がる。


 結構な距離を転がり続け、木に叩きつけられ止まる。ソフトにやれよ…まったく…と立ち上がる。


 ドンッ!とミカヅキ卿が俺の前に着地する。


 服がボロボロになったのでジャージに着替える。


「まあちょっとだけ話そうぜ?神に愛されてる主人公さんよ」

「元々そのつもりですよね?いちいち回りくどいんですよ…」

「俺の目的は知ってんのか?」

「ええ…管理者に聞きました。死ぬ旅をしてるとか?」

 

 管理者ね…それが神か


「そそ、その為にお前の力がいるらしい?俺の後ろにいた、背の高い方の狐族の獣人が言うんだよ。だから協力してくれ」

「貴方の為なら協力しませんが…彼女の為ならいいでしょう」

「ケッ…この女好きが…」

「そういうわけではありませんが…それだけですか?」


 後は俺が喧嘩する理由だな。


「サーニャって狼族しってるな?」

「はい…一時僕の奴隷でしたから…」

「あいつの能力も知ってたんじゃないのか?」

「…神獣化というやつですか?」


 殴ることが確定した。


「知ってるか?それが発動すると、見境なく人を襲う。あいつはもうちょっとで、この世界で一番大事な人を、殺すとこだったんだぞ?」

「なっ‥そんな…」

「いいか?俺たちはこの世界の常識から外れた化け物だ。肝に銘じろ。後の事をもっと考えろ。あいつがどんだけ切羽詰まってたか、わかってたはずだぞ?あと……()()


 俺は剣を具現化し、ミカヅキに迫る。

 しかし…普通に避けられてしまう。


「ちっ…」

「僕たちが殺し合う理由はないはずですが?」

「サーニャを俺に嗾けた件で殴らせろ…と言うつもりだったが…気に入らないから、お前を殺すことにした」

「なら僕も自分を守るために、あなたを殺しましょう」


 いいね。チートな身体能力に、能力を奪い取る力もある。見通す目も。

 最終的に神に至る系のチートだよな。


 俺は剣を振る、しかし一つも当たる気はしない。ミカヅキが俺を殴る。技術も何にもない、ただ速く、ただ力強い。それだけなのに俺は何もできない。

 体は吹き飛び、手足も消し飛び、顔面も何回も吹き飛ぶ。


「御門さんでは僕には勝てません…」

「おいおい…上から目線がむかつくな?絶対泣かす」


 そして俺が蹂躙される戦いが始まる。自分の認識から外れた力には、身を盾にしても勝てない。

 壁を作っても砕かれ、不意打ちに剣を突いても避けられ、殴られた瞬間に殴っても避けられ、ボコボコにされる。


 まったく…三下はつらいぜ…


 数時間ほど殴られ続け…


「いい加減諦めてくれませんかね…?」

「お前がここで…俺を殺せるなら、諦められるんだがな…」

「仕方ありませんね…」


 そう言うとミカヅキ卿は、俺を木に押し付け、木に俺を張り付けるように胸に剣を刺す、手足にナイフを刺す。


「死なないなら動けなくなってもらいます。僕は戻って、獣人さんたちにあとで回収してもらいますよ」

「虫にでもなった気分だよ」

「まあ僕から言えば、虫のようなものですし?」

 

 と挑発される。


「そうか…虫も割と侮れないんだぜ?」

 

 そろそろ数も揃ったからいい頃合いか…


「負け惜しみですね…」



 ドッスン!と俺の前にでっかいミサイルのようなものが落ちる。


「これなーんだ?」とにやりと笑い。

「なっ!?ぐっ…」



 ドォーーーン!と爆発する。


 数キロ先まで衝撃が届き、木々をなぎ倒していく。


 数分すると爆風が収まり、巻き上げた土埃がはれる。


「驚きましたが…この程度では…」


 割と無事な三日月が立っているようだ。地面に足を突き刺し、吹き飛ばされないように耐えたのか?

 俺は縫い付けられている木が倒れたので、仰向けになり、三日月の声だけが聞こえる。


「誰が終わりだって言った?」


 どどどどどっ!と辺り一面に降り注いでいく爆弾。そして爆発していく。


 ドドドォーン!ドドォーン!と辺り一面を更地に変える空爆が始まる。


「なっああぁぁ!?」


 あらゆる方角からの爆風で、さすがのミカヅキも飛んで跳ねてと振り回される。もちろん俺も…


 核爆弾とかそういう効率のいい爆弾ではない。ただ火薬をぶち込んで、広範囲に爆風と鉄の破片をまき散らすだけの物だ。これは上空に作り、傘をつけ上に浮かせておいた。飛空艇で小さなものを作り、実験をして、なるべく広範囲に爆風が広がるように工夫した。デカいのは初めて作ったが…あながち成功だな。傘を消せば落ちてくる。

 それが数十分降り続く…



 爆弾という暴力の雨が収まると、俺は立ち上がり、空から水を降らせ、ミカヅキ卿を探す。服は燃え切って全裸になってたのでまた服を作って着て、傘をさす。山火事とかシャレにならん。


 しばらく探していると、こちらも全裸になった、ミカヅキ卿が、俺の降らせている雨でびちゃびちゃになって、木を背に座っていた。見る限り無傷だ。


「生きてる?追加する?」

「やめてくださいよ…まいりました…僕は普通に痛みがあるんですから…僕のは回復ではなく、ストックのようなものです…削り切られたら死にます…」


 顔を青くしてこちらを見るミカヅキ卿。 


「まあ俺も気が済んだし、帰るか」

「服造ってくださいよ…」

「断る!全裸で帰れ。あとちゃんとサーニャに謝れよ」

「それはもちろん…しかし服を…」


 結構吹き飛ばされたので帰るのに数時間かかった。服を作って!っと全裸で泣いて足にしがみついてくるミカヅキ…

 流石に可哀想になったので、作ってやる…貴族っぽい黒のスーツだ。木の炭をベースに作ったので消えない。


「これはいいですね…ありがとうございます」

「まあ俺も大人げなかったからな…お前が悪い奴じゃないのはわかった。チートで調子に乗ってる系なら、あのまま死ぬまで攻撃してたからな…」

「なるべく気を付けてたんですが…それに別に戦闘狂ではないので…のんびり嫁と生きていきたいだけです」

「そっか…マオの町には何しに行くんだ?」

「嫁の心が…トラウマを受けていまして…それを治せるかもしれないという。魔女王様の元へ」

 

 こいつはただ、自分の大事な者を守るために生きるんだな。


「魔女王は転生者だ。嫁が治るといいな…」

「そうですか…二人目の転生者なのですね」


 そして元の世界の事をちょっと話す


「御門さんはどうして死ぬ旅をするんです?せっかくもう一回命をもらったのに…」

「俺は世界に絶望したんだよ…何しても理不尽に騙され…動けば動くほど糸に絡まるみたいにな…だから…最後は病気で死んだよ…やっと死ねる…そう思ったらこれだ…御門さんはやめろ。俺の名前はシンだ」

「わかりました…シンさんは死ねない体…というわけですか…僕とちょっと似てますね」

「ほう?」

「僕はトラブルメーカーでした。僕がいるところに災害が起きるような悪質な…信じられます?世界が怖くて引きこもってて、半年ぶりにちょっと徒歩5分程度のコンビニに行ったら、大型トラックが居眠り運転で突っ込んでくるんですよ?しかも僕じゃなく目の前の女性に向かって…」

「それを助けて…か‥お前は世界に嫌われ、俺は世界の人に嫌われたわけだな。…お前はこの世界に来れて、よかったと思うか?」

「ええ…あんなに可愛い嫁がいるのに…幸せですよ」

「けっ!惚気やがって…」

「シンさんこそあんなに、可愛い獣人に慕われてるじゃないですか…」

「俺はあんまり女性が得意じゃ無くてな…」

「それはどういう意味で?」

「仕事の関係でな…昔男娼をやらされたことがあってな…」

「どんな人生歩んだら、そうなるんですかね…」

「つまんない人生だよ…働くか死ぬかの二択しかない。くそったれの人生だ」

「生産系のチートなのに、銃とか作らないんですか?」

「造れるわけないだろ…火薬量も構造も原理もわからん、事前知識がある程度あって、作れるものだな、あれは…火薬を爆発させるだけならできるがな…」

「十分脅威でしたけどね…そうだ!僕の家に給水タンク作ってくださいよ…お風呂入れるの辛くて…」

「お前は…気が向いたら…作りに行ってやるよ…高いぞ?」

「移動費も全部僕が持ちますよ!ぜひ僕の快適ライフのために…」

「はいはい…」


 そんなたわいもない会話をしながら元の街道に戻るのだった。





 そして俺たちはココたちと合流する。

 ココたちは俺の作った小屋でおやつタイムをしているはずだ。女子会ってやつだな。


 ミカヅキをココたちに渡し、おれは三日月の嫁とちょっと話をすることにした。

 心が壊れたって子が気になった。


 街道の馬車の中でツバサを待っているという。

 俺は馬車にノックして入る。


「シンだ。ツバサ・ミカヅキとは同郷で、今殴り合ってきた仲だ。よろしく」

「シャルだよ!」

「ミーシャよ」

「ひぃ…スピ…カ…です…」

「サーニャ」


 シャルの膝の上にサーニャが座り、その横にミーシャとスピカが座っている。メイド三人は外にいる。

 おいサーニャ…まてよ?


「そうか…サーニャはツバサと行くんだな…残念だが仕方ないな、サーニャをよろしく頼むぞ?シャル」

「まかせて!」とサーニャを抱きしめるシャル。

「まって、ごめん…シン…すてないで…」


 サーニャは無視して、さて…この子が心を壊したという…


「さてお嬢さん。怖がらないで?俺はただの道化師さ。俺の楽しい魔法を魅せてあげるよ」


 







「すご…い!!なんで?」

「それは秘密さ。スピカお嬢さん」

「もう一個だ…け!おねがいします!」

「お嬢さんに俺の魔法が見破れるかな~」


 トランプを具現化して、カードマジックをしている。驚いてくれるお客さんだと、すごく楽しい。

 そんな感じで遊んでいると…


「僕の嫁が数十分で寝取られてる件」といいながら三日月が入ってくる。

「人聞きの悪いこと言うな…そんなつもりは毛頭ない。俺は楽しみ、楽しんでもらいたいだけさ」

「ツバサ様!すごいんですよ!この楽しくなる魔法!」

「スピカ…まさか…心が…」

「あっ…そういえば…」

 

 いつの間にかたどたどしい喋り方が無くなっていた。与えられたトラウマ以上の楽しみを与えてやればいい。それは時間をかければ、ツバサにもできることだ……わざわざマオの町に行かなくてもな。 

 

「スピカ…よかった…」と抱きしめあう二人。

「シンはすごいね!スピカを治しちゃった。シャルでも治せない心を」

「私たちもつい時間を忘れて、楽しんじゃってたわね…」


「俺は人を幸せにする魔法は使えない、それはこれから翼、お前が使うものだからだ。ただ…楽しくなる程度の魔法は使えるんだよ。しっかりその子たちと外にいるメイド、どうしたらそいつらが幸せになるか、想像して、()()浮かべろよ?」


 考えてアイデアを出すのではない、大事な人を想って自分のできることをやる。それがきっと幸せに繋がっていくだろう。


「はい…ありがとうございます。シンさん…」

「俺はただ、俺が楽しいからやっただけだ。他意はないぞ?」



 そして問題のサーニャの神獣化とやらを見せるために外に出ることにした。


「サーニャ本当にごめん…僕たちも一緒に行けば良かった…」と頭を下げるツバサ

「ツバサ…いい。おかげで、大好きな人ができたから」

「そっか…幸せにしてもらえるといいな…」

「それはとても困難…だけど頑張る」



 全員に離れてもらい、首輪を外す。すると徐々に狼になっていき…俺の足元に鼻先をこすりつける。


「これが神獣…」

「きれい!」とシャルが駆け寄るが…


「ぐるるるぅぅう!」と威嚇する。


「あんまり近寄るな。殺されるぞ?こうなったらサーニャはいないらしい。俺には服従してるけどな…」背中を撫でてあげる。すると腹を見せるので、お腹を撫でてあげる。


「…シンさん…ホントすいませんでした…彼女の為とおもっていたけど…」

「もういいよ…存分に殴ったしな」

「あれは痛かったですよ…」

「それよりサーニャが言ってた、シャル。その子はなんだ?異常だって言ってたぞ?」

「あぁ…この子は天人族です。シャル羽だしてもらっていい?」

「はーい!」ときれいな光る羽を出す。

「おぉ~実在したのか…なるほどね…」


 ずっとお腹を撫でっぱなしにしてたサーニャを元に戻し…


「ミカヅキ卿。マオの町は行くのか?」

「卿は正直恥ずかしいのでやめてください…まあ二人目さんとも会っておきたいので、顔だけ合わせたら、また一度拠点に戻ります」

「ココ、予定では同行するんだっけ?」

「のつもりだったんですが…実は私たちは規制を食らってまして…」

「は?なんで?」

「わかりません…ですが…ひとまずあの辺を納める、貴族の元に行きます」

「わかった。んじゃあツバサとはここでお別れだ」


 そう言って具現化した紙を渡しておく。


「これは?」

「なんかあったらこれを燃やせ。そしたら俺が気付く。同郷のよしみだ。助けてやるよ」

「ありがとうございます。では僕はこれを」


 ツバサも俺に紙を渡す。


「ステータス?そんなのあるのか?」

「ええ…僕にしか見えないものですが、シンさんの奥様方の分もあります」

「奥さんじゃないけどな…まあ参考にする、じゃあまた機会があったら会おう」

「ええ、是非」




 そうして三日月翼と別れる。これで俺の旅は前に進んだのだろうか?

いつもお読みいただき有難うございます。

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