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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『イレギュラーは死を手に入れる』
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生きたい理由

「とりあえず…俺にサーニャを嗾けたやつに、文句を言うことにする」


 馬鹿だろ。こいつがどんだけ切羽詰まってたのか…俺が最初に会ったから良かったものの…


「ツバサはいい人。あんまり怒らないであげて?」

「サーニャ…お前わかってんのか?俺だったからよかったものの…あの力が暴走してたら、ココを殺すとこだったんだぞ?」

「うっ…」と苦い表情をする。

「獣化して泣いてたってことは薄々はわかってたんだろ?」

「…もうココには会えないなって…シンを殺したら…もう森に走るしか…」


 そんな切羽詰まってる奴を離したらどうなるか…はぁ…


「気持ちはわかるが…もっと自分を大切にしろよ…いなくなったら泣く奴だっているんだろ?」


 とサーニャの頭を撫でながら諭す。


「シンがそれを言いますか?」

「シン…にいわれたく…ないよ…ね」

「先生がそれいいます?」

「お兄ちゃん…それはないよね」


 釈然としないが…ごまかすためにサーニャを撫でまわしておく…気持ちよさそうにしてるから大丈夫だろう…


「「「「サーニャだけズルイ!!」」」」


「あ‥後でな…今日は用事があったのを忘れてた…リリア昨日の素材を売った金と、渡してた金返してくれ」

「そういえば…返してなかった…ね」


 皮袋ごと返してくれる。中を見ると金貨3枚ほどは入っていた。銀の身分証も受け取る。


「んじゃあちょっと行ってくる」


 さっと家を出る。このまま逃げてもしてもいいかもしれない。要は同郷を訪ねれば、何とかなるみたいだしな。

 想われるってのは重い…俺には背負えないくらいにな…



 





 北の出入り口周辺の屋台に…いたいたあの辺だな。


「昨日の弁償代だ。銀貨50枚ほどでたりるか?」


 品物を売ってる獣人の男に声を駆ける


「律儀だねぇ…ってか多いよ!銀貨5枚もあれば全部売れたことになって大助かりだ」

「んじゃあ迷惑料込みで10枚だ」


 銀貨10枚置いて次に行く。




 そうして屋台を全部回り終わって、昨日吹き飛ばした衛兵の所に行く。


「昨日吹き飛ばした人にあやまっといてくれないか…?これでうまいもんでも食ってくれってな」


 銀貨20枚渡しお願いしておく。


「あぁ…言っておくよ」





 さて…どのみち魔人国か…だったら…このまま北?北東方面かな?歩いてりゃいつか着くだろう。

 そう思いそのまま北門を出ようとする。


「魔人国なら、この町から東に出たほうがいいですよ?」

「そうなのか…ありが…と…読まれてたのか…」


 俺の後ろに装備を整えた5人が立っていた。


「ツバサの所に行くなら、ココに会えたよ、ありがとうって言いたい」


 逃げ場はないってか…


「わかったよ…もう逃げないから…いったん夕食の食材を買って帰ろう。ココの案に全面的に賛成する」


 全面降伏である。

 

「約束ですよ?」

「わかった。俺は約束は守る主義だ」


 そう約束し、とりあえず市場で食材を買って帰る。米はなかった。








 夕食を食べ終わり、シユが俺の膝の上に乗る、シユの頭を撫でてやりながら話を促す事にする。


「んで?ココの案としてはこの先どうするんだ?」

「はい。首都より東にある町へ向かいます」

「町?経由するとかじゃなくてそこが目的地か?」

「はい。そこが今回の目的地ですね」


 ん?魔人種族の国に行くんじゃなかったのか?もう来るように手回しした?


「そこから飛空艇で、魔人国首都に向かいツバサ…今はツバサ・ミカヅキという貴族さんらしいですが…それを待ち伏せします」

「飛空艇あるんだな…しかし…三日月翼ね……」


 それっぽい名前ではあるな。

 

「ミカヅキ卿は現在魔人国家にてとあるクエスト受けて、奥様方とデートした後、依頼の鉱山の方に向かうようです。その後報告にまた首都に戻り、その後魔女王の町に向かうでしょう。そこを待ち伏せます」


 行動読みすぎだろ…


「三日月が魔女王の町に行くなら、魔女王と一緒にいるときに会ってもいいんじゃないか?」


 手間が省けるしな… 


「二人が敵対した場合、私たちはシン様を守り切れないでしょう。一人なら何とでもなりますが…ほぼ可能性はないとはいえ、ゼロではない。なので一人づつ会っていただきます」


 一人なら何とかなるのかよ。自信過剰か?いや…ココにそれはないか…冷静な分析の結果だろう。


「で?俺は三日月に会ってどうすればいいんだ?」

「いいのですか?私の策に乗っても?」

「いいぞ。どうせ俺は当てもなく彷徨う予定だったし…ココに任せる」

「じゃあ成功報酬はシンの人生をもらいますね!」

「それは断る…」


 ココの策を聞き、頭に入れておく。もう仕上げの段階だ。そんなに難しいことはなかった。

 






 

「俺は何したいんだろうな…」


 風呂から上がり、ベットの上で寝間着姿のミーコを撫でながらポツリと言葉を零す。目標が達成されて、俺が死ねる体になったら…そんなことを考える。


「ん~?先生はやりたい事とかないのですか?」


 撫でられて気持ちいいのか、目を細めながらミーコが聞いてくる。


「いざ問われると…難しいよな~ミーコはなんかあるのか?」

「先生と一緒にいることです!」

「じゃあもし、俺がこの先もミーコといるよ。て言ったら次にミーコがしたいことはなんだ?」

「先生にこうやって、ずっと優しく撫でられていたいです!」


 そうか…こいつらは…本能で動いてるから…考えるまでもないのか…


「生きる…それだけじゃ…だめ?」


 リリアがベットに入ってくる。


「そうだなぁ…何か目標とか、夢とか、生きがいがないと…俺は無理かもしれないな…」


 何かしていないと落ち着かないんだよ…


「シンはめんどくさい」


 サーニャが俺の横に座る。


「俺はめんどくさいぞ~?俺に付いて来るなら、そりゃぁもう、ぶん回されてひぃひぃ言うぞ?」

「楽しそう!!」


 ベットに入ってた、シユが目を輝かせる。


 この世界は生きるだけで必死な人が多い。俺が贅沢言ってる自覚はあるが…


「そんなのはこれから見つければいいですよ。シンのやりたいことを好きなように…シンはやっと自由になれるのです!」


 ココが部屋に入ってそう言う…


「その為に私は、シンの前に立ち塞がる障害を、全て潰して見せましょう」


「おう。任せた」


 それだけ言って俺はミーコを撫でるのやめ、布団に潜り込む。


「私の番を忘れてますよ?」


 そう言ってココが俺に覆いかぶさる。


「そうだったな…」


 俺の胸の上にある頭を右手で撫でてやる。左手に尻尾が置かれる。ふわふわな毛並みに撫でたくなるが…


「尻尾を撫でるとか…どこの変態だよ…」


 人でいうと…尻を撫でるようなもんだろ……そんなのは痴漢……そもそも尻尾を撫でられて喜ぶ動物が…いるかよ…


 そんなことを考えている間に…シンは眠りに落ちる。 


いつもお読みいただき有難うございます。

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