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私の世界にようこそ  作者: てけと
第三幕『イレギュラーは死を手に入れる』
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再会

 サーニャと共に、首都に戻る。さっき壊してしまった商品を売っていた商人達がいた。


「すまん。今手持ちがないけど、明日必ず弁償するよ」

「いや…魔物から守ってくれたんだ。命に比べりゃ安いもんよ」


 そう言ってくれるが、しっかり顔を覚え、明日来る事にする。


「あ‥しまった…リリア何処の宿取ったんだ…」


 もう日が暮れて夜になっている…どっか道で寝るか?


「シン。あの子の匂いなら辿れる」

「おお‥助かる…あと俺を宿に送り届けたら、ココの所に行ってもいいぞ?」


 匂いがたどれるならココの場所にも行けるだろう。


「ん。大丈夫。すぐ会える気がするから」

「そっか…すぐ?」




 

 数分歩くと匂いがするという宿に到着する。


「割といい所…借りたんだ…よな…?」


 宿というか…家である。普通のそこら辺に建ってる、レンガ造りの大き目の家だった。

 二階建てで長方形の窓が所かしこについており、屋根は寄棟造りになっている。


「サーニャ?ここで合ってるのか?」

「ん。間違いない」


 恐る恐るドアをノックする。


「リリア?シンだけど?いますか?」


 丁寧語になってしまう。何で家借りてんだよ。緊張するだろ…


 ばんっ!!とドアが開き、何かに抱き着かれる。


「シンッ!!!!!やっと会えました!!!!」


 とココが全身で俺の腰のあたりに抱き着いてくる。


 それを捕まえて引きはがし、サーニャに投げつける。


「お探しの品だ。受け取れ…」


「ココ!!!!やっと会えた!!」

「サーニャちゃん!?なんでここに!?」


 俺はづかづかと家に入り、また抱き着かれる。


「お兄ちゃん!!やっと捕まえたよ!」

「先生!約束ですからね!!」


 シユとミーコも…そういう事か…


「うふふ…シンは…やっぱり…愛されてる…ね?」

「もう色々諦めたからいいよ…」


 眩しいまでに本能に忠実に生きる奴らだ…まったく…これはさすがに参った。







 落ち着いたところで、リビングに集まり、椅子に座り話を聞く。


「色々疑問はあるが…答えてくれるのか?」

「もちろんです!」とサーニャの横に座るココが返事する。

「んじゃあ…この家は?」

「シンの為に買った私たちの愛の巣です!」

「は…はぁ…俺のやった武器はどうした?」


 俺の具現化だけで作った武器はある程度場所がわかる。リリアとサーニャにつけてるのは、俺の髪と周りの草や木、魔物の毛皮をベースに作った物だ。俺が死んでも消えないように。これのある場所はわからない。


「感づかれると、シンが逃げていく可能性があったので…泣く泣く集落に置いてきました。それに…シンの力ありきではなく、私たちがちゃんと、自分たちの力だけで強くなるためです」

「頑張ったんだな…俺と別れてどんくらい経ってるんだ?」


 時間の感覚は気にもしてなかったのでわからない。


「シンと別れて212日ですね。もうすぐ一年です」

「そんなに経ったのか…一年は何日だ?」

「300日ですね」

「ちゃんと俺を守れるほど強くなったのか?」


 俺はお前らをちゃんと守れないぞ?


「もちろん!金の冒険者程度なら余裕で倒せるほどには」

「ならいいが…俺は死を探す旅をやめないぞ?それでもいいのか?」

「ふふふ…死ぬための旅じゃなく()()()()旅になってますね。もちろんシンが安らかに死ねるまで、共にありたいです」

「そうか…なら俺に言うことはない。好きにするといいさ…」


 もう好きにさせておこう…俺がどうこう言うレベルは越えている。


「俺はもう寝る…いろいろ疲れた…明日また聞くことにする…」

「はい!では…」


 寝室に案内してくれる。そこにはデカすぎるベットがあった。ほぼ一部屋がベットだけで占領されている。

 しかし疲れた俺は、何にも考えずベットに倒れ込み…そのまま意識を落とした…








 朝日が昇ると同時にいつも通り起きる。


「はぁ…でもまあ…そのくらいはもう許してやるか…」


 俺の胸の上にココがうつ伏せで寝ており、右腕にシユが、左腕にミーコが丸まって寝ていて、その左右にサーニャとリリアが、()()()で寝ていた。俺の服も剥ぎ取られていた。


「俺が何かするわけでもないしな…」


 全員を起こさないようにベットから這い出て、風邪をひかないよう、毛布を掛けてやる。


 日課のトレーニングをしたいところだが…今日は朝ごはんを作っておくか…

 調理場には一通り食材はそろっていた。


「お?魚がある…朝はやっぱこれだよな…」


 食材をちょっとづつ味見しながら、作るメニューと組み合わせを考えていく。


「米でもあればなぁ…この硬いパンは…クルトンでも作るか…魚は…包み焼かな‥香草は…サラダのドレッシングは…酢はこれか…マヨはめんどいしな…攪拌すんのが…いい香りのする油もあるしこれで…」


 朝から獣人5人分、しかもよく食うのが二人もいる。朝早くから多めの朝食を作る作業に取り掛かる。

 柔らかい白パンだけは買いに出かける。パンのいい香りがしたのですぐ見つかった。

 作れないこともないが…発酵に時間がかかるから…今から仕込んだとして、できるのはお昼すぎたころだろう。そもそもイースト菌はあるのか?





 俺が起きてから2時間後くらいに、いい匂いがしてきたからだろうか?全員起きて下に降りてきた。


「まず服を着てから降りてこい‥」


 全員裸のままで姿を現す。裸族なのかこいつらは?


「ふぁい‥」と目をコシコシするココ達はそのまま2階に引き返していった。


 全員がリビングにそろったところで朝ご飯を食べる。

 パン、魚の香草ときのこの包み焼、牛乳っぽいなにかでつくったクルトン入りシチュー、肉を載せたサラダ、イタリアンドレッシング風を添えて。

 焼き魚でもいいんだが…米がほしくなるから却下した。


「よく噛んで食べろよー。まだ下ごしらえしてる分があるから、おかわりはあるぞ。特にリリアとサーニャは腹いっぱい食っとけよ」


「くやしいけど、おいしい…魚お代わり」

「はいよ」作ってた分を渡してやる。

「シンの作る料理はやっぱりおいしいですね…あとで教えてください」

「いいぞ?これは俺の故郷の味だ」

「先生すごい!!料理もできるんだ!スープおかわり!」

「はいはい」とシチューをよそってやる。

「お兄ちゃんを追いかけて正解だったよ!お肉頂戴!」

「野菜も食えよ…」とサラダもいれる。

「シン…血を…」

「勝手に吸っていいが…ちゃんと飯も食え」


 もうかれこれ一時間ほど飯に夢中になって食っている。約一名俺の首筋に噛みついているが…

 食べ終わって後片付けをし、全員机の上に突っ伏してダラダラしている。


「普通にお店出せるレベルですよね…しかも高級な…」

「仕事で料理をする気はもうないな…」

「人種族の町で、おいしいもの食べたけど…それ以上」

「お褒めに預かり光栄だ」

「私たちの独り占めだね。ミーコ」

「そうだね!シユ」

「とても…美味しいけど…シンの血には…勝てない…ね」

「俺の血どんだけうまいんだよ…」


 俺は今後の為に本題に入る


「んで…ココの事だ。俺が次に考えてることは予測してんだろ?」

「はい。シンならこの後、魔人種の国に行くのではないかと?」


 お見通しかよ…


「正解だ。何か情報はあるのか?」

「そうですね…私たちは既にほぼ正解に近いところまで来ていると思います」

「というと?」

「シンが死ぬ方法はほぼ見つけてあるというか…まだ確信はしてませんが」

「聞かせてくれ」

「はい…シンは転生者とおっしゃいましたね?」

 

 そんなこと言った気もするな…曖昧だが…


「あぁ…そうだな。それがどうした?」

「この世界にその転生者と思わしき人が2人います。どちらもこの世界の人の力を大きく超えた力を持っています」

「ほう?…その二人なら俺を殺せると?」

「私はシンを殺させる気はありません…ですが…シンの異常な回復能力を抑えられるのではないかと…」


 この力が死ねば…


「この力が死ねば…シンは私たちの為に生きてくれるでしょう?」


 心を読むな…


「それも悪くはないと思ってはいるが…俺は存外気まぐれだからな。約束はできないぞ?」

「そうちょっとでも思ってくれてるなら…私たちは嬉しいです」


 とみんなが頷く。


「そしてその一人が…サーニャのご主人様です」

「ほう?サーニャそうなのか?」


 サーニャが戸惑いながら考える。


「確かにあのご主人様…ツバサはいろいろおかしかった。ありえないほどの身体能力に、他人に力を与えたり、遠い敵の位置が分かってたり…あとは異常な光魔法を使う、シャルという少女もおかしかった」


 んー?それが俺の死とつながるか?


「サーニャちゃん、あと敵がミイラ化するとか言ってなかった?」

「ん。まるで体液をぜんぶ吸い取ったような…そのあと元に戻ってたけど…」

 

 人間をやめてたり仮面をかぶってたりしないよな?


「私の分析では、身体能力を奪ったり与えたりする能力、そして身体能力を自由にできるという事は、それに付随して、人の力や能力を見たりする力があると思います。遠距離を見通せるのもその力の一端でしょう」

「そいつに俺の能力を奪ってもらう?そいつが不労不死を望むなら有りだが?」

「いえ‥どちらかというと見通す方が重要ですね。シンの力をまず把握することです。そこから対策をしていきたい」

「まず情報か、狐らしくなってきたな」

「シンの為ならあくどい狐にもなりましょう」とにっこりと笑うココ。


 怖いからな?


「それで?もう一人は?」

「こちらの方はいろんな情報が厳重に管理されてて…虚偽も交えて情報が飛び交っているので…私の精査した情報で確実なのは…一つ彼女は幸せの魔法を作成することが目的である。2つ欠損部位を治せる魔法が使える。3つこの世界にない魔道具を多数制作している。最後に人心すら自在に操る魔女王と名乗っている。とこんな所です」

「シャルも欠損部位を治す魔法を使えた。私の尻尾も治してもらった」

「…少しだけ引っかかるんだよな…なんだろう…」


 幸せの魔法?俺にはそんな魔法は使えないな…ん?


「センタクカンソウキという言葉を知りませんか?シン」

「乾燥機付き洗濯機なら知ってるがな…まあ機ということは異世界人だな」


 この世界に機械という概念はない。


「シンは獣人国で、楽しくなる魔法は得意と言いましたよね?」

「あぁ…あれは俺が元の世界で子供をあやすときに使っていた物だ。魔力なんて使わないぞ?」


 ただの手品だ。銅貨を一枚借りる。


「机の上に置いたコインと使うのは手だけだ」


 そして右手で机に置いてあるコインを手のひらで掴む。右手を握ったまま差し出し…


「コインはどこにあるでしょう?」


「「「「「右手?」」」」」


 右手を開いてやる。コインはない。


「残念右手にはありませんでした。ってこんな感じの魔法だよ」


「「「「「「コインどこいったの!?」」」」」」


 コインを掴むときに親指で右方向にコインをはじく。右に置いてあった布の下に滑りこませてある。

 種を明かすと…


「「「「「「すごい…」」」」」」


 いや…酒の席とかでしか使えないぞこれ…

 その後覚えた手品を楽しそうに遊んでたが…


「で?俺がこの魔法を使えることに何の関係が?」


 まだ遊んでいたココに聞く。


「オホン…幸せという概念と、楽しくなるという概念が似ていたので、カマをかけてみたところ…釣れたようでして…もしかしてお知り合いではないかと?」

「んー…実はこの魔法は、やってる方も楽しくてな…ハマったころはいろんな町で、逃亡ついでによくやった物だ…やってる方も楽しいから、みんなが楽しくなる魔法だ」


 しかし若干覚えているきがする‥顔までは覚えていないが…中学生くらいの女の子が、子供に交じってとても楽しそうにしてたのを…

 つい嬉しくてリップサービスもした気もする。


「若干覚えてるかもしれないな…ただその子かはわからないが…」

「先生!!」

「お兄ちゃん!」

「「もっと教えて!楽しくなる魔法!!」」

「いいぞ~ただ少し練習が必要だ…厳しい地味な訓練になるだろう…耐えられるか?」

「「もちろん!!」」


 きっと獣人は魔法を使えないから、憧れるんだろう…

 …これ前も考えたこあるな…元の世界で…


「実はその一人目のツバサと二人目の魔女王は現在魔人国にいます。どうしますか?こちらに誘導もできますが?」


 

 どうしよう?


いつもお読みいただき有難うございます。

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