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私の世界にようこそ  作者: てけと
第二幕『レギュラーの拠点作り』
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ナギは幸せな夢を見る?/ツバサは仕事を探す/???/サーニャは獣のように駆ける

短編集のような感じで詰め込んでます。

~~ナギは幸せな夢を見る?~~


 自分は長くは生きられないだろう、とある町にいた光魔法使いの冒険者に言われた。

 11歳なって間もなく、突然咳が止まらなくなり、回復魔法を使ってもらおうと、高名な冒険者さんの元にお願いしに行った。

 冒険者の人は、これは治せないね、諦めて。そう自分と両親に言った。


 治せないのに…その冒険者は莫大な治療費を請求した…金貨5枚…払えるわけがなく…最後に縋る思いで頼った金の冒険者様は、自分たちを突き放し、家族共に奴隷となってしまった。


 冒険者は憧れの職業…でもその全ての人が…善人なわけないよね…


 最初は自分の家族と一緒にセット売りにされていた。自分はすぐ死ぬから、価値がないとか。

 しかし両親はある日突然、魔人国に向かって売られていった…寂しかったけど…自分はもう間もなく死ぬのだ。

 蹲るように、わらで敷き詰められた床で眠る。このまま起きずに…死んでいればいいのに…


 自分と同じような境遇の二人が、自分の狭い部屋に入れられた。


 寂しかった自分は、ついつい彼女たちといろいろ話してしまう…案の定、死ぬのが怖くなる…


 抱きしめあう腕のない彼女と、誰の所にも行けない、足のない彼女の元に、未来の閉ざされた自分が寄り添い、重なるように、体温を感じられるように。一緒に眠る。


 大丈夫だよ?私たちもすぐ追いかけるから…彼女たちはそうやって自分を励ましてくれる。寂しくないように…




 そして自分たちの運命の日がやってくる…





 最初自分は、死ぬ間際に夢を見てるんじゃないかと思いました。彼女たちと、とてもいいご主人様に買われて、幸せに暮らす。そんな都合のいい夢を…

 ご主人様に触れると感じる体温が、自分の体が生きていることを、感じさせてくれる。

 シャル様やミーシャ様と、楽しくお話しさせていただく時に感じる、温かい心が、冷めた自分の心を満たしてくれる。


「三人は、ツバサのことがすき~?」

 

 いつものように、奥様方と恐れ多くも、お風呂に入っているときに、シャル様が自分たちに言います。

 自分たちは顔を見合わせます。


「そんな…奥様方お差し置いて、恐れ多いです」


 自分たち奴隷如きが、ご主人様に好意を抱くなど…あってはなりません…私たちは所詮物なのですから…こんなに良くしてもらって…これ以上何を望むのでしょうか。


「奴隷だもんね…でもツバサは割と、あなた達のことを気に入ってるみたいなのよ?」

「ツバサは三人のことすきだよ?でも無理はさせたくないからって、がまんしてる?」

「そうね…ツバサは自分の事を純粋に想ってくれてる子を、好きになっちゃうわよね…」


 押し倒せばイチコロよ?なんて楽しそうに話す奥様方…

 …正直言うと、ご主人様と二人で町で食べながら歩いたり、一緒に調理場に立ってるとき…自分の中の女という性別が、喜んでると共に、奥様方への罪悪感もあったりします…

 これが、恋するというものなのでしょうか…?


 だとしたら自分は…ご主人様に…恐れ多くも…愛されたいと思っている。


「ナギはわかりやすいわね~ツバサの近くに一番いるからかしら?」


 ミーシャ様が自分を抱きしめてくれます。少し恥ずかしい…


「三人が、ツバサのことすきなら…シャルたちはきょーりょくするよ?みんながツバサを愛してくれるなら…シャルもうれしい!」


 やはり自分たちは…夢を見ているのではないだろうか?






 シャル様とアミ、ミーシャ様とミカでご主人様の寵愛を頂いたそうだ。

 アミとミカが恥ずかしそうに、でも光悦とした表情で…自分に話してくれた。


 自分はスピカ様と一緒に、ご主人様のベットでご主人様を待ちます…しかし…


「今日はスピカとナギか‥二人はもうちょっと成長してからね?」


 自分はもう子を成せる体ではあるのですが…ご主人様の好みでないなら仕方ありませんね。

 それにスピカ様はまだ…心がちゃんと治ってる訳ではありません。


 優しくキスしていただき、自分とスピカ様はご主人様に抱き着いて寝ます…

 これだけでも自分は、十分満たされてしまいました。


 自分はこの愛するご主人様と…死ぬまで共にしたいです…


 もしこれが夢なら…いつまでも醒めませんように…



~~ツバサは仕事を探す~~



 日が経ち、生活もだいぶ落ち着いてきた。

 メイドの養育も一段落し、家を任せも大丈夫になってきた。

 スピカはまだ時折、震えたり、俯いて泣いたり、僕のいない所でそういう兆候があるそうだ。僕のいるところでは、我慢しているのだろう…

 ずっとぐうたらしてる訳にもいかないので、僕は仕事を探すのと同時に、スピカの心を、何とか立ち直らせて、あげられないかと考えながら、冒険者ギルドに赴いていた。


 収入を得ないことには暮らしていけない、今6人もの女の子を養っているのだ。不幸にさせたくない。


「ようこそツバサ様、ミカヅキ卿と呼ぶべきでしょうか?本日はクエスト受注ですか?」


 獣人の受付嬢さんが、対応してくれる…僕が来ると毎回この人だな。


「ここに来るのは一人の冒険者ツバサですので…ツバサでいいです。僕もお金を稼がないと生きていけませんからね。定期的に稼げるようなものはないかなぁと」

「衛兵じゃないんですから…冒険者なら一定期間クエストを受ければ、一年働かずに動けるだけの報酬だって稼げますよ。それに、ツバサ様は金の冒険者なのですから…」


 確かに…毎日働いて老後、余生を暮らす。そんなことをしなくても、お金がほしいときにガッツリ稼いで、あとはのんびり旅行に行ったりするのもいいのかもしれない。

 そういうのは考えたこともなかったなぁ…


「それもいいですねぇ。良さそうなクエストでもありますか?」

「実はツバサ様に、ご指名の案件がありまして…もし駄目ならお断りください」

「ほう‥とりあえずお話だけでも」

「では…っとこれですね。魔人国首都デモニアの貴族様から鉱山の魔物討伐依頼ですね」

「なぜ魔人国から僕に指名依頼が?」

「この貴族様が、元第二王女様といえばわかるでしょうか?」


 王族経由での依頼か…そして依頼主はスピカのお姉さん。


「では詳しくお願いします」

「はい。魔人国はいま財政がちょっときつくなっているそうで、破綻するほどではないにせよ、何かしら手を打ちたいと、そこで凍結された鉱山の一つを開放したい。ここは採掘されていた当初、ミスリルの掘れる鉱山でした。ミスリルは魔石の元にもなる貴重な鉱石ですが、魔人国にとっては石ころ同然の扱いでした。そこで、この鉱山でミスリルの採掘を始め、人種族に流して財政を潤したい。人種族側にとっても、ミスリルはいくらあっても困らないものです。なので…」

「その国家事業の手伝いをしろと…魔人族はなんでそもそも凍結を?」

「石ころしか出ない鉱山を、コストをかけて維持するメリットがなかったからでしょう。人種族との貿易なんて言うのも、ほぼありませんでしたし。しかし人種族の王女様が魔人国家に嫁ぎました。そして魔人国家のとある町で、獣人族との貿易をしているところがありまして…いいモデルケースになったのではないかと?」

「…報酬、期間、条件は?」

「報酬は金貨500枚、期間はできるだけ早くしてほしいとだけ言われています。飛空艇などの移動にかかる費用は依頼元もちになります。達成条件は、鉱山内に住み着いた魔物の殲滅、および鉱山の近くにある炭鉱夫の住む町の解放です」

「鉱山の広さと、炭鉱夫の町については?」

「鉱山内部自体についてはそこまで広くありません。歩き回るだけなら1日ほどで回り切れます。住み着いているのは、子鬼やオーガになります。数はわかりませんが…炭鉱夫の町は現在人はほとんどいませんが、鉱山が解放されるなら、そこに住みたいという人も多数いるようです。なので町の周辺を調査し、人々が安全に移住できるようにしてほしいとのことです」


 んー正直あまり食指が動かない…まず遠い、日数がかかりすぎる、報酬は魅力だ。あとは貴族がらみなのが…


「あとこれは、依頼とは関係ないのですが…魔人国には人の心を掌握する魔女王様というのがいらっしゃいます。奴隷の壊れた心を治し、慕われ、崇められているとか」


 心を治す…シャルでもできない事を?


「依頼主は移動費に関してはすべて持つとおっしゃっております。それは例え()()()の旅費であっても…ツバサ様は新婚旅行は行かれないのですか?」


 ……食えない人だ…何かの思惑に乗るようで癪だが…それは魅力的な提案だ。


「分かりました…妻と相談してみます…」

「ええ…またお越しくださいツバサ様」


 そういって獣人の…()()の受付嬢がにこりと笑った。



~~???~~



 クソっ!あの力があれば私の計画は成ったようなものだったのに…

 当初の計画も狂いつつある。

 まるで何かが私たちの邪魔をするかのように…忌々しい!!

 クソクソクソ!!

 私が死ぬまでには必ず…必ず!!成して見せる!

 獣人と魔人が足りない…最悪我が同胞を使うしかない。

 世界の中心で…彼の者を…そしてこの腐った世界を壊すために!!


 深くフードをかぶった人物は黒く煮えたぎる憎悪を胸に、この世界に復讐を誓う。



~~サーニャは獣のように駆ける~~



 ツバサたちと別れて、どれくらいたった?

 ひたすら走り、腹が減っては魔物を貪り、ようやく最西端レイルの町に到着する。


「獣人の嬢ちゃん?通行料は銀貨一枚だ」


 久々に聞く言葉に我に返る。


「ん」とツバサからもらった金貨を渡す。


「余りを返すからちょっと待ってろ…」

「いらない…この町を救ったという獣人の情報がほしい」

「こんな状況、前もあったな…」と苦笑いする衛兵。


 とりあえずこっちで話そう。と町に会った銅像の前に連れていかれる。


「これは…」


 ココにそっくりだ…隣の少年は?


「これがこの町の英雄様の銅像だ。そっくりに作ったはずだ」

「この獣人の名前分かる?」

「ん~たしか…『さすがココだな…』って言ってたから多分ココだな」

「何処に行くとかは?」

「はっきりとは…ただ西の街道を進んでいった。あっちには獣人国しかないはずだ」

「ありがとう」


 そして私はまた走り出す。まだココの臭いは辿れない。でもたまに街道にココの匂いがする。





 途中の関所でも話を聞いた。

 怪我はなかったようだが、ずっと眠ったままのココを見かけたという。

 無事なの?とりあえずまた走る。お腹が減った…魔物を貪る。


 

 ひたすら走る…もうどんだけ走っただろう…日にち‥おぼえてない…お腹減った…



 狐族の集落でココの匂いを感じた。


「サーニャちゃん!どうしたの!?こんなボロボロで…」


 ココのお母さんだ。


「ココは無事よ…今頃は首都にいる頃かしらね?」


 私は首都に向けて走る。


「サーニャちゃん!?」


 後ろでココのお母さんの声がする。それどころではない


 ココ…もうすぐ…会える?


 私は走る…ひたすら走る……………お腹減ったな……走る……


 ココ……あいたいな………

 


 そして私は彼を見た瞬間………人をやめた

いつもお読みいただきありがとうございます。



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