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私の世界にようこそ  作者: てけと
第二幕『レギュラーの拠点作り』
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森の異変

 朝日が昇り少ししてから、僕らは南西にある森に向かった。


 街道から森に入るとすぐに、チェレンゴリと遭遇する。襲ってくるそいつを切り伏せる

 

 あまりにも早すぎる…


「明らかに異常だね…アキの考えではどうなの?」


 魔物の研究をしてるという彼女だ、その辺詳しいのではないか?


「はい…この奥に2時間ほど歩いたところが、本来の生息地になります…もしかしたら何かに追い出されたのかもしれません…」


 僕はもう一つの可能性を提示する。


「繁殖しすぎて森から出てるってのは?」


 繁殖して森で食料が足りなければ、活動範囲を広げるのでは?


「それはないと思います…仮に大繁殖してるとしても、街道に出ることはありません、彼らは草食です。この森の奥になってる実をたべて生活しています。反対側の森に彼らが食べられるようなものはありません」

「馬車の中身が目当てとか?」

「それこそありません。そんな知性があれば、町を襲う方が先だと思いますが…魔物にそもそも知性はありません」


 管理者もそんなこと言ってたな…


「とりあえず奥に向かうか…」


 






 数時間歩き、襲ってくるチェレンゴリを倒しながら、だいぶ森の奥に入ってきた。


 木々に囲まれ日の光が、ほとんど見えなくなってきている。


 アキがチェレンゴリの死体を見分したいと、たびたび止まる。これがなければもう奥についてるだろう…


「すごい…これが…」とぶつぶつ言ってるアキ。


 

 するとサーニャが何かを感じ取る。真眼では森が深すぎて上から見えない…


「ご主人様…何かいる…」

「ん、各自警戒して」


 警戒するように促す。


 すると、まだこちらには気づいていないが、遠目に金色のライオンのような魔物がいた。


「原因はあれかな?強いな…」


 真眼を発動する。



 アラニレオン


 魔物 性別無し


 体力 2600/2600


 筋力 450/450


 魔力 1000/1000


 スキル≪麻痺付与≫


 下手すればこちらがやられるかもしれない…作戦会議が必要である。


「あれは強すぎる…一時撤退して作戦を考える」

「ツバサが言うなら相当なようね…わかったわ」とミーシャが同意してくれる。



 しかし…



「あぁ!!!あれはアラニレオン!幻のレッドレオンの変異種!まさかこんなところで見れるなんて!」


 とアキが走って行ってしまう。


「ッ!?」

「あぶない!」とミーシャが走って追う。


 するとアラニレオンはこちらに気付いたようで…


「もど…」といった時にはもう遅かった。


 5つの閃光がほとばしり、僕ら全員に雷が降り注いだ。


「がっ‥!?」


 痺れて動けない…これが麻痺か…


 アラニレオンは麻痺した獲物を見ると、すぐさま走ってきて獲物に食らいつく。


「ッキャ…」とミーシャがふくらはぎに噛みつかれ、声が出ないのだろう、悲鳴のようなものを上げる。


「ぐっ…シャ…ルッ!!!」

「ツバサ!!」


 シャルは麻痺された自分をすぐ治し、僕の元に走ってくる。


「ハイキュア!」


 すると麻痺が解け、動けるようになる。すぐさま駆けて行く。


「僕の大切に何してる?」


 アラニレオンのタテガミを掴んで持ち上げる。


 ミーシャは足の膝から下が無くなってて、気絶している…このままだと…


「シャル!ミーシャを頼む!全部使っていい」能力を秘匿しなくていい。

「ミーシャ!!」とシャルがミーシャに治療を始める。


 麻痺してるアキを蹴飛ばし、目線を反対に向けさせる。


 僕の右手に捕まれて、暴れて噛みついてるレオン。


「じゃれてくんじゃ…ねぇ!」


 ブンッと上に向けて投げる。持ってたタテガミは千切れ、上にあった枝をバキバキと降りながら上昇していく。


 それを追うように、飛び上がる。


 空中で反転したアラニレオンが僕を睨み、また雷を放とうとするが…


「遅い…っ!」


 弾丸のように迫る僕に、魔法を放とうとするのは愚策だ。


 そのままガシっと首を捕まえる。


「苦しみながら死ね」


 ググッっとゆっくり首を絞めていく。


 落下しながら首を絞めていると、なぜか力を吸い取る感覚を得た。


「ん?」


 下に落ち切る前には、アラニレオンはまるで血を吸い尽くされたようにミイラ化していた。


 力があふれる感覚…真眼で自分を見る。 



 ミカヅキ ツバサ


 人種族♂


 16歳


 体力 11000/9999


 筋力 9000/9999


 魔力 1400/500


スキル ≪能力操作≫≪真眼≫≪麻痺付与≫



 能力付与が操作に代わってる…麻痺付与も吸収したのか…


 しかしそれどころではない。ミーシャが心配だ。


 すぐミーシャの元に向かう。


「ツバサ!魔力が足りない…」


 シャルが僕に泣きつく。ミーシャの足は再生しているが、血が足りないのだろうか…顔が青いままだ…


 ミーシャに近づき、胸元に手を当て体力だけを流すイメージで…


「ん…あっ…」


 ある程度流すと、顔に赤みが戻ってきた。これで大丈夫だろう…


「ふぅ‥んじゃあ町に帰ろうか…シャル歩ける?」

「だいじょうぶ!」


 背中にミーシャとサーニャを背負って紐でくくりつける。大き目の木を引き抜き、その上にアキとアラニレオンをひもでくくりつけ引きずって帰る。


 筋力はあるので重たくは感じない。サーニャの麻痺を治す魔力がシャルに残ってないので、背負っておく。


 シャル曰く、半日くらいは痺れが取れないかも?だそうだ。


 しかし…あれほど警戒するミーシャが、なぜこいつを信用したんだ?


 







 アラニレオンの死骸のおかげなのか、帰り道で魔物に襲われることはなかった。


 僕の能力で、ミイラだった死骸はちゃんと普通の死骸に戻してある。これを見せてギルドに今回の件を確認してもらうためだ。



 ミーシャとサーニャを宿のベットに寝かせ、木ごとギルドに向かう。シャルも宿に残しといた。


 アキ?木に括りつけたままだ。こいつはギルドに引き渡す。



「ツバサ様?これはいったい?」


 受付嬢さんをそ外に連れ出して確認してもらう。


「この魔物が、今回の騒動の元凶だと思います。一緒にくくりつけてる冒険者に詳しくは聞いてください」


 じゃあ僕はこれで…と宿に帰ろうとする。


「報酬はどうしますか?」


 忘れてた…しかし…仲間が心配だ。


「この町にある孤児院の責任者に全額寄付しておいてください。匿名で」


 




 宿をもう一泊お願いし、自分の部屋に戻る。夕食には麻痺も解けてるだろう。


 ベットで横になってボーとしてるといつの間にか眠ってしまっていた…





「ん…あむ‥んんっ‥」


 目を開けるとミーシャが僕の唇を貪っていた…なぜ…


「んーしゃ‥?」


 まだ若干寝ぼけた頭で…何が起こってるのかよくわからない…夢?


「んん‥っ…あんむ‥んっ…」


「ミーシャ!?」


 肩を掴んでミーシャを離す。


「ツバサ…もうちょっとだけ…体が火照って…我慢できない…の…」


 んんっと艶かしい声で、潤んだ瞳で僕を見てくる。そのまま押し倒され。また唇を貪られる。


 …能力操作の副作用かな…昨日シャルに、魔力を流されたときのような感覚。あれをもっと強くしたものだろう…僕だったら襲い掛かってしまうかもな…


 僕の唇だけなのは、ちょっとは理性が残っているのだろう…まあ僕も嫌ではないので…落ち着くまで待とう…

 

 数分して、ミーシャが僕から離れる。


「その…ツバサ…ごめんなさい…我慢できなくなって…」


 と正座して俯いて謝るミーシャ。


「僕の能力の所為だから…それに僕も嫌じゃなかったからいいよ」

「そう…よかった…」


 胸に手を当てホッとするミーシャ。僕は一つ聞いておかなければならないことがあった。


「ミーシャ、なんでアキのことを信用したの?」


 僕にすぐ信用するなという割に、あの子に関してはすぐ信用したように見えたからだ。


「その…彼女の身の上のことを聞いてると…同情してしまって…ごめんなさい…」


 仲間の冒険者を殺されたし、かわいそうだから?


 んー?彼女は多分同情されるように計算したのではないだろうか?僕は初対面で申し訳ないけど、彼女を信用できなかった。


 なんか嫌な目をしていたのだ。利用してやろうという感じを…


「憶測だけど、ミーシャは騙されてるよ?彼女は強い冒険者といれば、自分の研究がはかどる。それだけのために近づいてきたと思う」


 この子は本当に…悪意に敏感なくせに、人に優しい…最後の最後で結局信用してしまうのだ…


「そっか…守るつもりが…逆に危ない目に合わせちゃったわね…どうする?私を捨てていく?」


 そう言ってミーシャは俯いてしまった。 


 ミーシャの今の力なら、この町でも冒険者としてやっていけるだろう…でも…


「僕はミーシャが欲しいよ?だから…ミーシャが僕に呆れて、離れたいって言っても離すつもりはないから」


 諦めてね?とミーシャの顎を持ち上げてキスをする。


「んっ…ありがとう…ツバサ」


 ミーシャの頬に一筋の涙が流れていた。









 夕食の時間になるとサーニャも回復したようで、一緒にご飯を食べる。

 シャルは体が怠いようで、フラフラしていた。

 食事の途中でアキが僕たちのところに来て土下座していたが無視して、食べ終わると部屋に帰った。


 シャルを部屋に呼んで、僕から魔力を吸っていいよ、というと僕の体に魔力を通して結構吸っていった。


 吸われたけど…特に倦怠感はないんだよな…ちなみに僕の魔力の上限は500みたいでそこからは回復しないようだ。


 シャル曰く、ツバサの感じがしないねーこれ…、と残念そうにしていた。





 宿で一泊して、朝、冒険者ギルドが報酬に用意してくれた御者付きの馬車に乗って次の町に向かう。


 そこにまたアキがいた。


「ツバサ様!どうかお許しください!」 

 

 と頭を下げていた。僕はみんなを先に馬車に乗せ対応することにした。


「ふーん。周囲の人間を利用して、罪悪感を生むように計算したんだね」


 僕らの周りには昨日の件でお世話になったと、挨拶してくれる人が多数いた。


「そんなことはありません!今回の失態はいつか‥」

「失態だと?普通のパーティーなら、あそこで全員死んで終わりだ。もう終わったんだよ。いつかなんてない」


 取り返せるわけがない。倒すべき敵より怖いのは、無能な味方である。


「ですが…ツバサ様のパーティーなら…」

「そうだね。僕のパーティーは無事だったよ?だからなに?味方を殺す敵をわざわざ後ろに置けと?ホントに言ってる?」


 こいつはホント腐ってるよ…


「そもそも、仲間の冒険者が全員死んで、その夜に他のパーティーに志願する?よっぽど感情の冷めたやつなんだね君は」

「それは…と…弔いに行きたくて!仇を討ちたくて!」

「あのさ?君一体も倒してないじゃん。むしろ喜々として死んだ魔物を調べてたよね?」

「いいじゃないですか!私一人くらい余裕で連れていけるでしょ?今回も結局無事だったんですから!なんなら私の体をあげても…」


 そこまで言ったところで、僕はこいつの首を掴み持ち上げる。


「おい‥別にあの森で、お前を捨てて行っても良かったんだぞ?せっかく拾った命は大事にしろよ?な?」

「かはっ‥」

 

 ぽいっっと横に放り投げる。


 結構な力で投げられたアキはそのまま民家にぶつかり、苦しそうな顔をしている。


「次僕の前に姿を見せてみろ…粉々にして跡形もなく潰してやるぞ…クソビッチが…」


 足元にあった、手のひらサイズの石を、握力で粉々にして静かに囁いておく。


 怒りは収まらないが…切り替えよう…馬車に乗り、次の町に向かう。



 首都に行くまでに、もう何もなければいいんだけどな…なんて思いながら。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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