白竜
「わぁ~すごい…」
とても綺麗だ…真っ白のドラゴン、目は真紅に輝いてて…欲しいけど…この子が私の大切を傷つけるのなら、倒さないと行けない…
そうならないといいなぁと思いつつ私はとりあえず近くで見ることに決める。
「ん!フーコちゃんは魔法でみんなの援護!私はドラゴンと遊んでくるね!」
魔物はもうその数をだいぶ減らしてた。あとは屋敷メイドの皆なら余裕だろう。
私はルルさんの魔法をヒントに、翼を光魔法で作る、肩甲骨が大きくなるようなイメージだ。
これを出すと翼が消えるまでちょっとかかるが…背に腹は代えられない。
風魔法で空は飛べるんだけど…安定しないんだよね。だからこの翼で姿勢を制御する。
「魔力感覚」
1つ魔法を紡ぎ。ドラゴンと相対する。
やっぱり…この子は…と思考をしていると、目にもとまらぬ速度でその咢が迫り…
「時間停止」
魔法を発動する。
過去の過ちをやり直す、過去に戻れないかと時間魔法を考えていた。しかし過去には戻れなかった。時間を止めるのが精いっぱいだった。
未来は自分で作っていくので、行きたいとは思わない。
この魔法は厄介だった。作った当初、発動した瞬間すべての魔力が喰われた…パタンと倒れメイドさんの悲鳴が聞こえた。
魔力が減ってるので発動はしているのだろう。しかし止まってる世界を認識することができないと意味がない。なので…魔力は減っている…つまり動いているので…魔力に五感を付与する魔法を使えば、認識はできるようになった。
体は動かないんだけどね…なのでこの止まった世界でそーっと私の体を魔力で保護し動かす。止まった世界で動くという事は、光速以上で動くようなものだ…私の非力な体は耐えられない。
慎重に…そーっとドラゴンさんの背中に移動させ…魔法を解除する。
「動け」
バグンッ!と咢を閉じる音が聞こえる。
私はドラゴンさんの背中に乗り体を風魔法でくくりつける。
おぉー!これがドラゴンに乗る感覚!すごい!
するとドッッッ!という鈍い音がし、クルンっとドラゴンが回転する。
おおおおお!錐揉みだよ!すごい!ジェットコースターみたい!
ほしいなーこの子…まず交渉してみよう。
私はてくてくと頭の上に立ち。この子の頭を撫でてあげる
「私の仲間とかにならないかな?」と
「グルア!?」
目を見開き驚くドラゴンさん
「人の言葉わかるよね?声帯がないから話せなさそうだけど…目を見れば、心があるかどうかくらいは、わかるよ?」
襲ってきた魔物は目が死んでいた、というか濁っていた?とにかく生きてる感じはしなかった。でもこの子は違う。
「だから…私のものになってもらうように…調教を始めます」
「ガガガアアアァァァ!!」
私を振り落とすように、頭を振り回す。
さすがに気持ちが悪くなるので、すぐ降りて目の前にもう一回相対する。
すると口を開き、キイイイイィィィィと嫌な音がし、光が収束していく。
これは…魔法じゃないから反射できなさそうだな…とドラゴンのお腹が光ってるのを見て思う。
そうしてもう一度時間を止めるとともにドラゴンのブレスが放たれる…
ゴウッとドラゴンのブレスが放たれ、空を切り裂くように一筋の光が遥か彼方まで飛んでいく。
「マオ様ー!!」
ルイさんが私の横で叫ぶ
「なに?」
「マオ様!?」
目を見開き驚くルイさん
「んじゃあ…≪解放≫!!」
ドドドドッドッドッドン!!!と爆発したり、岩が押し潰すように落ちたり、翼が凍ったりとあらゆる魔法がドラゴンに殺到する。
魔力を使いすぎてフラッとしてしまう‥やりすぎたかなぁ…死んでないよね…?
すると後ろから支えてくれるルイさん。そのままお姫さま抱っこされる。
やめて!恥ずかしい!!
「ルルさーん‥おんぶしてぇぇ!」
「マオ様にはちょっとお仕置きが必要だよね~」と拒否するルルさん
時間を止めてる間は、魔法は発動しないので、仕込んで、後で解放する。
時間を止めてる間の姿は割愛するよ?かっこよく見えるけどさ、時間が止まってる間って結構間抜けなんだよね…ほら…階段を上ってるのに降りてたってさ、移動して階段を2段降ろして、戻って、またおんなじポーズでドヤ顔で待ってないといけないじゃん?間抜けだよね?何の話だ?
ドラゴンは先ほどの魔法で墜落したみたいなので、そこに向かってもらうようにルイさんに言う。
「フーコちゃーん、回復用の魔石あったよね?」
「はい!…これで全部です」
人種族から取り寄せた魔石は効率がいいので、回復用にしておいた。全部もらって魔力を吸っておく。
もしドラゴンさんがまだ私を殺そうとするなら…
諦める用の魔力は持っていないといけないからね…
「あれ?…死んでる?」
ぐったりと舌を出して倒れてる、ドラゴンの姿がそこにはあった。
ルイさんに降ろしてもらい、頭をぺちぺち叩く。
「起きてー?」
ぐったりしたままのドラゴンさん
「むぅ…もう一発爆発魔法を…」
魔法を紡ごうとしると
「グルルアァァ‥」と怯えた表情で頭を下げる。
「喋れないと何言ってるかわからないよね…人になれたりはしないのかな?」
「マオ様~?そもそも魔物に意志はなくて人と見れば襲う習性があるよ?ここで殺して素材にする方がいいと思うんだ」
ルルさんがまっとうな事を言う。そうなんだけどなー
「だって?ドラゴンさん。このまま私たちに解体される?人になれるならまだチャンスがあるんだけど…」
ドラゴンさんが目を瞑り、数分すると、光に包まれ…人型になるが…
「おっきい…」
巨人の女性がそこにいた。白い肌に赤い瞳、真っ白な髪の毛で10mの身長の全裸の女性が。
「これで許してくれますか…」
と涙目になっている女の子。
「ふふふ~、んじゃあ私と一緒に来てくれる?」
私は提案する。ビビッと私の心にきてしまったのだ。
「それで許してくれるなら…行きます…」
「マオ様…人型になったのはいいですが…いや、色々と良くはないのですが‥さすがに目立ちすぎますよ…」
ルイさんが動揺しながらもこの子を連れていくのは難しいと。
まあこの子の大きさだと、どれだけ大きな家が必要なんだろうねーでも…
「ちょっと失礼するねー」
と私は胸元にオリジナル魔法の圧縮の魔法陣を書いて発動する。
すると私とおんなじくらいの身長まで圧縮され小さくなった。
「体に異常はない?苦しいとか痛いとかない?」
生物に使うのは初めてだったが…
「大丈夫です…」
「よかった!んじゃあこれからよろしくね!」
裸はさすがにまずいので、私のローブだけ着せて町に戻ることにした。
「そういえば、なんで私の町に?突然飛んでどこに行こうとしてたの?」
疑問に思うよね。基本魔物は己の縄張りを出ないはずだ。
「ごめんなさい…私はなぜか魔物の姿で意志を持って生まれてきてしまって…仲間は周りにいたんですけど…意志はなくて…それが寂しくて…でも私が異常なので耐えてました。それはもう数百年ほど…」
スケールが大きすぎていまいちわかんないけど…誰かと話したかった。心を通わせたかったのかな?
「ある日、とても大きな力を感じました。しかも人の住む領域で。もしかしたら私と同じように、魔物なのに意志を持った人が、生まれたのかと思って…会いたくて…」
じゃあもしかして…
「この町が目的じゃなかった?」
「いえ…一番近かったのが…ご主人の所だったので…でも人しかいなくて、大きな力を持った人、つまりご主人ですが…人だったので落胆して…私は次に向かおうとして…相対してしまいました…ゴメンナサイ、殺さないで…」
「殺さないよ!?もう…やりすぎたかな…」
次…か、もしかして一人目の人かな?
「次はどこに行こうとしてたの?」
「ここから南東に力を感じるので…ごめんなさい…」
「謝るの禁止だよ!…そういえば名前は?」
「ドラゴンです…」
「んーじゃあセフィーって名付けるね。今日からセフィーだよ」
「セフィーです…」
「うん!んじゃあセフィー、その次の人ってのは私より先に力を感じてた?」
「ご主人が最初…その後少しして感じるようになった…」
「そっか…多分その力を持ってるのも人だよ?」
「そうですか…」と悲しそうにするセフィー
私より後という事は三人目さんがいるってことな?時系列が狂ってる可能性も?いや…それはないかな?管理者さんのあの口ぶりは、もう一人目さんのこの世界での様子を見ている口ぶりだった。
「先に三人目さんに会うのもありなのかな~?」
そんなことを頭の隅に考えつつ、セフィーと仲良くなる方法を考えなければ…と思考する
「セフィー、そんな怯えないで。別に魔物じゃなくてもちゃんと仲良くなれるよ!」
「魔物は人を憎んで殺す。そういうふうにできてます…だから多分無理です…ごめんなさい」
即答される。
「私を憎く思ってる?」
「わかりません…が今は怖いが支配しているので、いつか憎いが勝つかもしれません…」
ごめんなさい…とセフィーは言う
「わかった…やりたくなかったけど…契約で縛ろう…」
「マオ様…」
ルイさんが何か言いたそうにしているが…
「ルイさん、心配しないで…んじゃあ、契約で縛るね…」
私はセフィーの胸に手を当て契約を発動する。
契約内容は、私以外の人に危害を加えられない。契約解除の条件は、セフィーが人と心を通わせ、人を好きになること。そして私を殺す事。この二つのどちらかだ。私を殺して契約解除したらこの子は縄張りに帰るだろう。
「これって…」
セフィーは混乱するが、契約の魔法は完了する。セフィーが受け入れたのだ。
「もし人が憎いって思うなら、私を殺せばいいよ?私は暗殺とかには弱いからね」
私は体力や、筋力は見た目通りなのだ。物理で簡単に死ぬと思う。
「……」
「私は、セフィーと仲良くしたい、でもそれで周りを傷つけたくないし…これは私のわがまま。だから勝負だよセフィー」
「あなたに植え付けられた感情に勝つ!それまで待っててね?」
ビシッと指をセフィーに突き付ける。
「はい…」
胸に手を当て、目を閉じ。そんな時が来るといいなぁ~とセフィーは心で思うのだった…
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