町の防衛戦
町という単位で物語を妄想すると、いろんな視点がごちゃごちゃになってしまいました。
申し訳ありません。
まったく…なんでこんなにタイミングが悪いんだろう…急速に町を広げた私にも責任はあるんだろうけど…
「さて…魔物の到達まで、どのくらいあるの?」と私はガルドさんに聞く
「明日の日の出には、山の山頂に到達するだろう」
「んじゃあ北と南はそこで迎え撃つね。町に近づけたくないし」
「それがいいだろう…上の位置を取られるのは愚策だ…」
「カインさん衛兵さんで西と東の街道は守れると思う?」
「厳しいと思います…どちらかだけなら守れますが…」
カインさんが渋い顔をする。
「獣人で西を抑えましょうか?」とニーアさんが提案する
「いけるの?」
「もちろん。ちょっと掛け合ってきますね」
ニーアさんが退席する
「南はガルドさん達、冒険者で抑えてくれる?」
「もちろんだ。もしかして北は?」
「私たちが抑えます」
決してドラゴンが見たいわけじゃない。決してだ!
「マオ様は町でお待ちくだ「やだよ?」」
ルイさんが言い切る前に拒否する。
「危ないよ…さすがにマオ様は安全な「やだ!」」
ルルさんが言い切る前に却下する。
「…こうなったら聞きませんね…私たちのご主人様は…」
「マオ様はもうちょっと…まあそこがいい所でもあるのかもね~」
「でも私がこの中で一番強い自信はあるよ?」
「はっ!さすが町長様だ。とりあえず北は任せる」
「マオ様、獣人族の協力は取りつけてきました」
ニーアさんが何処からともなく帰ってくる。
「ありがとう!町の人達に明日は家から出ないように勧告しといてくれる?」
「お任せください。私の戦闘部隊を町に配置しておきます。マオ様は心置きなく北へお向かいください」
町はアミルさんが請け負ってくれるみたいだ。
「ニーアさんは獣人部隊と西、カインさんとアリサさんは衛兵さんと東をお願いします。あとのみんなは、私と北に向かいます」
みんな頷いてくれる。
「では…私たちは一足先に、祭りを楽しんじゃいましょう」
そう言ってニッコリ笑うのだった。
すぐ準備に取り掛かる。各々作戦を立て、持ち場に向かう。
私はドラゴンにワクワクしながら北へ向かう。できればお持ち帰りしたいと思いながら…
~~街道、東~~
東側には1mくらいある芋虫のような魔物と角が50センチほどある牛のような魔物が、押し寄せていた。
その数合わせて200体ほどだろうか?
「衛兵の練度を今こそマオ様に御見せしろ!一匹も通すなよ!」
大楯を持った衛兵が谷を隙間なく並んで構える。その後ろには槍を持った衛兵が構えている。
「さすがにこの勢いだと最初の衝突で突破されかねませんね。アリサ間引きますよ?」
全長2メートルは有ろうかというバスターソードを持ったカインがアリサに言う。
「マオ様の町を襲うゴミを掃討します」
と大きな鋼鉄製のハンマーを持ったアリサが答える。
颯爽と駆け抜けていき、アリサが牛型の魔物の側頭部を殴りつけ、牛の頭が破裂する。そのまま槌を縦回転させ迫ってきている牛を上から潰す。横の円運動と縦の円運動で、空中を舞いながら牛を撲殺していく。
カインは魔物のど真ん中に突っ込んだかと思うと、横薙ぎ一閃で数体の芋虫を切り飛ばす。そのまま縦に斬り、横に返し、下から切り上げ斬り殺していく。
数十体ほど倒したところで、カインがアリサに目配せする。
「アリサ」
「殺し足りませんが…わかりました」
そして二人は衛兵の後ろまで撤退。
「弓構えろ!…打て!」
衛兵による弓の一斉掃射。魔物は駆逐されていくが、時折衛兵の元まで駆けてくる牛型の魔物。
しかし大楯を持った衛兵はびくともせず、槍を持った衛兵にやられていく。
マオの町の衛兵だ。そこら辺の町に衛兵とは練度がちがう。
アミルのお眼鏡に適ったものだけがこの町で衛兵をしているのだ。
「こっちは大丈夫そうですね」
バスターソードを背中に背負い、カインがつぶやく。
「万が一が合ってはいけませんから…気は抜きません」
とハンマーを右手に肩に担ぐアリサ。
「マオ様がご無事ならいいのですけど…」とアリサは心配そうにつぶやいた。
~~街道、北~~
西にある街道を駆ける獣人たち。守るのではなく、狩るのが得意な彼らは、防衛戦ではなく、殲滅戦に出た。
「魔物の位置は?」
ニーアが尋ねる。
「ここから北に48、北西に24、南西に16、西に23かな?」
犬耳の獣人が答える。
「それで全部?」
「ちょうど西から風が吹いてるからね。全部で間違いないと思う」
「北は私ともう一人…兎の子を頂戴。あとは任せる。何かあったら知らせて。後の細かい指示は狐の子に従って」
「わかったわ。頑張ってね」
そう言いニーアと兎耳の少女が北に向かう。
「細かい策敵はお願いね」
「お任せください!」
まったく…マオ様の町を荒らそうだなんて…運の悪いというか…
「マオ様に危害を与えるものは…殲滅するにゃ…と」
気を抜くと語尾が変わってしまう…猫族にとっては恥ずかしいことだ…
「接敵します。正面3、その奥右に2、左に1」
「了解!」
ニーアは武器を持たない。自分の敏捷性を最大限生かすために。
綺麗な手から爪が伸びる。
すれ違いざま正面の狼型の魔物の首を落とす。そのまま右の木を足場に左に跳ね、残りの2頭の首も切り裂き殺す。
森などの立体的な場所ではニーアの独壇場だ。そして音で策敵をする兎耳の少女が的確に敵の位置を知らせ…
特に傷を負うこともなく、北側の魔物を殲滅する。
「他も心配なさそうですが…一度本部に戻りますか…」
狐の獣人を本部に置き、各戦闘場所に伝言役を置いてある。私が一人で行かなかったのは、もし対処しきれなかった時の伝言役がほしかったからだ。
「北は大丈夫だろうけど…南は行けるのかな?」
なにせあのルイ様とルル様がいるのだ。彼女たちにはここの獣人が束になっても勝てるかどうか…そんな化け物だ…
「帰ったらモフモフしてもらおう」
~~南の山頂~~
ドドドドドッと地響きを立てて迫ってくる魔物たち。ざっと5、600体くらいだろうか。芋虫型と蟻のような魔物だ。どちらも1mほどあるだろうか。
約100名の冒険者でそれを迎える。
「一人たかが5,6匹だ!余裕だな!」
「またギルド長が無茶言ってるぞ…」
「あのひと基準で考えてほしくないよな~まぁやるがな!」
「稼ぎ時だ!気合入れろ!石弓構え!魔法準備!」
すべての冒険者が魔人族ではない。魔法を使えない冒険者は、町から運んできた攻城用の弓をつかう。
「……撃て!」
地形を利用し、上から降り注ぐように飛んでいく矢と魔法。先頭にいた200体ほどの魔物を絶命させる。
「弓止め!」
ある程度上ってこられたら弓を止める。そして…
「魔道士はそのまま援護!盾持ちを前に近接戦いくぞ!」
「ウオオオオオオォォォ!」
約60名ほどの冒険者が突っ込む。
ガルドは風魔法で魔物のまさにど真ん中に降り立つ。殺到する魔物。しかし
「エクスプロージョン!」ドドドドンと4方向に向けて爆発が起きる。そして群れに突っ込んでいき…
「がはははははっ!対人戦も面白いが…魔物戦も楽しいじゃねえか!」
無詠唱で放つ、いろんな属性の矢が周りにまき散らさる。噛みつこうとした魔物の口内で爆発が起きる。剣で斬りつければ魔物が燃え、気づけば魔物が凍ってて動けなくなっている。
ガルドは別に魔力量が少ないわけではない、むしろ多い方だ。闘技場の奴隷として対人に特化しただけで、遠慮がいらない魔物戦は、その魔力を存分に発揮する。
無駄を省き、隙を無くす対人戦では味わえない、魔力量に物言わす戦いは割と気にいったようで、魔物がいなくなるまで楽しそうに踊るガルドであった。
~~北の山頂~~
「何というか…これはすごいねぇ~」
遠目に見ると、黒い影が辺り一面に蠢いていた。その数2、3000ほどいるだろうか?
その数の魔物が密集してこちらに突っ込んでくる。
「ドラゴンはまだ見えない…?あ‥あれか~」
小さくみえるここからではまだカモメのようにも見えるが…多分あれだろう
「魔物さんの勢いを止めつつ迎え撃つよ!フーコちゃん!」
「はーい‥マオ様」
花火用に使うつもりだった大筒にマオが実験で魔法を詰め込んでいた魔石を撃つ。
ボウッ!と遠方で発動し、先頭にいた魔物数十体が火に包まれる。
「マオ様…あの魔石は何を詰め込んでたの…?」
「ん~?火魔法と水魔法の混成魔法だね。お湯魔法の失敗作だよ」
火魔法を強く、水魔法を弱くすることで水素爆発を起こす魔石だった。
「相反する属性なのに…マオ様はやっぱり…すごいです」
「失敗作だって!在庫処分セールだよ!フーコちゃん撃ち尽くしちゃって!!」
ドドドドドドッと土と水の土砂魔法や、火と土の溶岩魔法、水と雷の雷雲電撃魔法などなど、マオが生活魔法を作る過程で失敗した魔石を撃ちまくる。
「撃ち洩らしは頼むよ皆!」
「いきます!」
ルイを筆頭に前に出る屋敷メイド達。
狼型牛型トカゲのような者や多種多様な魔物が殺到するが、全く相手にならず、殲滅されていく魔物たち。
その数をどんどん減らしていき…
魔物の数がまばらになってきており、そしてとうとう、ドラゴンの全貌が見えてくる。
真っ白なドラゴンだった。大きな姿で10~15mほどだろうか?そんなドラゴンがこちらに迫ってきていた。
「わぁ~すごい…」
目を輝かすマオ
「マオ様…魔石もうなくなった…」
フーコが大筒を放棄してマオに言う
「ん!フーコちゃんは魔法でみんなの援護!私はドラゴンと遊んでくるね!」
そういいマオは光魔法で自分の背中に翼を作り、風魔法で空に飛んでいく。
「すごい…マオ様天使みたい‥」
光悦とした顔でつぶやくフーコ
「マオ様!?」
突然のご主人様の乱心に気が気でないルイ。
「さすがにドラゴンと一騎打ちはやばいんじゃないかな~?」
マオの強さを知ってるけど、ちょっと心配なルル。
しかし空を飛べない彼女たちに止める術もなく、ドラゴンと相対するマオ。
目にもとまらぬ速さでドラゴンは首を伸ばし…
バグンッ!とマオを一飲みし、ゴクンと嚥下する。
「マオ様!?」と呆然する屋敷メイドたち。
「ルル!」「ルイ姉!」と同時にお互いを呼び。
ルルは空気椅子のような格好で、ひざ下に両手を組んで構える。
ルイはルルの両手に走り乗り、上に飛ぶ…
「いけええええぇぇぇ!!」とルルがルイを上に押しやる。
風魔法と火魔法で後方を爆発させ、さらに加速し、まるで流星の如くドラゴンの腹に迫り…
「マオ様を吐き出せええぇぇ!!」
肩からドラゴンの腹にぶつかる。
ドッッッ!と鈍い音が鳴り、ドラゴンが、すこし苦しそうにするが…
「ガアアァァァッ!」
吠えると、体を捩るように回転し、ルイを弾き飛ばす。
「くっ!」
「ルイ姉!」
地面に激突する手前で、ルルが横から飛び出しキャッチする。
「あの腹掻っ捌いてやる…ルルもう一回!!」
「いや…大丈夫だよ。ルイ姉」
「なにがッ!?」
ルイは気が気ではない。早く助けないと…マオのことを考えると、胸が張り裂けそうになる。
しかしルルは苦笑いしながら言う。
「さっきドラゴンが回転したときに見えちゃった。マオ様がドラゴンの背中に乗ってて…」
まったくあのご主人様は…と思いつつ
「すっごく楽しそうな顔してたよ?私たちと会った時のような笑顔で」
複雑な気持ちでルイにそう言うのだった。
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